無条件に楽しい!新年ならではの極上エンターティンメント・通し狂言 「南総里見八犬伝」 @国立劇場

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 初春歌舞伎公演

 南総里見八犬伝刊行開始200年記念

 通し狂言 南総里見八犬伝

  @ 国立劇場 大劇場


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 発 端 (安房)富山山中の場
 序 幕 (武蔵)大塚村蟇六内の場
          本郷円塚山の場
 二幕目 (下総)滸我足利成氏館の場
           同 芳流閣の場
 三幕目 (下総)行徳古那屋裏手の場
 四幕目 (武蔵)馬加大記館対牛楼の場
 大 詰 (上野)白井城下の場
      (武蔵)扇谷定正居城の場


 出演:尾上菊五郎、尾上菊之介、尾上松緑、中村時蔵、市川左團次ほか



 国立劇場の2月雅楽公演は管絃のみで舞楽が無く、どうしたものか迷っていたのですが、
 新春歌舞伎の演目を見てみると、八犬伝、しかも通し狂言だという。国立劇場では24年ぶり、4回目の上演とのこと。 
 この機会を逃す手は無いと、今年は歌舞伎にでかけることにしました。


 滝沢馬琴のライフワーク、「南総里見八犬伝」は、言うまでも無く、その後の日本のファンタジー小説や映画、コミック等に決定的な影響を与え続けている日本最大の伝奇小説。
 お話の舞台にはタイトル通りの南房総・安房はもちろんのこと、武蔵の国・大塚やら池袋、本郷と、わたしにとって身近なところがやたら登場するので、八犬伝には作品の偉大さそのものに対するトリビュート以外にも、妙な親しみみたいなものも感じている。

 その八犬伝、馬琴が28年の歳月をかけて書き上げた、全9巻106冊の複雑怪奇な大長編を、一息に通して演じてみせる通し狂言。
 一度観てみたいと思っていたのだ。
 

 今回のバージョンは、戦後初の脚色を基本に、105年ぶりの上演となる「白井城下」の場をアレンジしたものを加えるなどして再構築したものだという。
 発端(プロローグ)、大詰も含めると、全7幕、9場、

 これだけ場面転換をするだけでもとんでもないことだと思うが、よくぞこれだけの舞台をつくりあげたものだと思う。

 誰もが知っている、伝奇趣味満点の印象的な伏姫・八房のプロローグの後、
 新年お正月の「蟇六家」の志乃と浜路の別れの場面から始まり、
 雪降りしきる深夜の「円塚山」の、道節に志乃のことを託して浜路が亡くなる場面、
 春爛漫の「芳流閣」の志乃と現八の大立ち回りの場面、
 星と蛍の光きらめく夏の夜の岸辺、「古那屋裏手」の犬士たちの巡り合いと誓いの場面、
 紅葉色づく「対牛楼」の、毛野が小文吾を救出する場面、
 そして、再び春、桜満開の中での大団円。
 四季折々の美しい舞台が、きちんと一年の順番に展開してゆくのが何ともぜいたくで気持ちが良い。
 その四季の移り変わりに包まれて、有名なシーンが次々とテンポよく繰り広げられてゆく。

 上記夏の夜の「古那屋裏手」の場などは、ほんの15分ほどの短い場だが、前後に休憩をはさんでいる。タイムテーブルを見た時は、どうして前か後の幕と合わせてやらないんだろう、と思ったが、あの青く透き通った美しい川辺の情景を造ってまた壊すのには、どうしても一定の時間が必要なんだろう、と勝手に納得。
 それほどまでに印象的、まるで実際に夜の川の風が感じられるような風情だった。
 その後に八犬士のだんまりが展開することもあって、短いながら、見事に一幕としての充実感があった。

 ただ、これだけ多くの場があっても、原作があまりにも膨大なため、実際は、そのおおまかな骨子をなぞるのにも足りないというのが実際のところ。
 その点、この通し狂言の演出は、ほんとうにおもしろいポイントだけを無理なくつなぎあわせてあって、長大で複雑極まりない物語が実に要領よくまとめられているのが何よりもよかった。(玉梓(たまずさ)、 ゝ大(ちゅだい)など、ややこしいキャラのからみはすべてカットされていたが、正解だと思う)
 
 そして、そのただでさえ美しく、おもしろい舞台に、さらに、立ち回りにおけるアクロバット、八犬士勢ぞろいのだんまり、毛野による女田楽の剣の舞、道節の妖術の豪華絢爛なけれん(2階席から観てもすごかったが、これは舞台のすぐ前で金粉をあびたかった!これが105年ぶりに再演されたという「白井城下」の場)などなど、歌舞伎の醍醐味とも言える要素が、これでもか、これでもか、と盛り込まれ、
 正に、お正月にぴったり、誰もが無条件に楽しめる極上のエンターティンメントになっていた。


 わたしはそれほど歌舞伎を観ているわけではないが、これまで観てきた有名作の中には、現代からするとあまり心から共感できない、というか、ありえないような妙ちくりんなシーンを、思い入れたっぷりにシリアスに演じるようなこともけっこうあって、そんな時にはちょっと困ってしまう。
 その点、この八犬伝の場合は、馬琴の原作の近代性のせいかそのような点がほとんどなく、ストーリー自体圧倒的によくできているので、それをこのように淡々と演じてみせられると、かえって物語のおもしろさや主人公の心情みたいなものがひしひしとストレートに伝わり、それがお正月ならではのぜいたくな舞台と相俟って、心から楽しめた。
 歌舞伎というと、日本を代表する伝統芸、妙に構えてしまうところもあるが、江戸時代の歌舞伎などは、実際はこんな雰囲気だったのではないだろうか。


 八犬士は基本的に若い役者さんが演じていて、颯爽とした感じがまたよかった。
 但し、道節と毛野は重鎮の方が演じていた。
 道節の尾上菊五郎さんは、この歌舞伎自体が道節のリーダー的存在としての立場を強調している演出なので、まあこれはこれでぴったり。ちょっと立派すぎるぐらいで、やはりすごい存在感。
 毛野の中村時蔵さんは、声こそさすがに少々年季が入っていたが、その立ち居振る舞いのあでやかさ、剣の踊りの妖艶さ、シャープさは年齢をまったく感じさせずびっくりした。というか、年齢や経験あってこその、あの演技だった、ということか。



 玄関のお正月飾り

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 国立劇場のマスコット・くろごちゃんとおなじみ千葉関係の方々がお出迎え。

 左から鴨川市のたいよう君、千葉県のチーバくん、くろごちゃん

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 そして、この方も!
 館山市のダッペエ!!
 この晴れ舞台に盛装?おなつかしゅうございます。(以前お会いした記事、こちらなど)
 ダッペエは、もともと首飾りをしているが、これは八犬士の珠なのだ。
 (右は、2次元での姿)

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 お正月らしいロビーのにぎわい。

 キャラたちが華?を添えている。

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 八犬伝の世界を伝える様々な飾り。

 さながら八犬伝博物館。

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 休憩中の楽しいスナップ。

 かっこよくポーズを決めているチーバくん。
 後ろに写っている背びれは、たいようくん。足が見えないので、魂が抜けた状態か??

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 この写真のたいようくんも魂が抜けた状態。くろごちゃんにいいように遊ばれている。

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 ふつうに階段をおりているたいようくん。

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 南房総物産コーナーも充実

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 帰りも、見送ってくれた。

 左の写真を撮っていたら、いきなりくろごちゃんが画面に入り込んできた。(右)
 くろごちゃん、とにかく人懐っこい。

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 お芝居自体も、上のような華やかな雰囲気そのままの、楽しいこと盛り沢山な、お正月らしいものでした。

 大満足!

 がんばれ、南房総!目指せ、大河ドラマ!(新機軸、ファンタジー大河もいいではないか)



 早春の花々

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 終演後、左上の写真の背後に写っている、ホテル・グランドアーク半蔵門の1Fにある、

 カジュアルレストラン「パティオ」で軽く食事をしていく。

 成人式の晴れ着姿の女の子がたくさんいた。
 クスクスがおいしかった。

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 思いがけず、房総みやげゲット!

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