「ムーミン谷の彗星」&「ムーミン 南の島で楽しいバカンス」~ムーミン天国・池袋でムーミン映画を観る

画像




 今年はシベリウス生誕150年ですが、それだけではなく、フィンランドの誇る世界的文学&芸術作品に関する記念年でもあります。
 ムーミン童話誕生70周年記念。


 劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション

  2010年 フィンランド マリア・リンドバーグ監督(編集)作品

  オリジナル:

  1978年 ポーランド&オーストリア セマフォー・フィルム・スタジオ制作(トーベ・ヤンソン監修)

  @ シネ・リーブル池袋 以降、順次全国公開


画像


画像



 数年前、NHKBSの北欧スペシャル~しあわせの国から(フィギュアスケートのコルピ選手がイメージガールを務めていた)の一環で放送されたムーミンのパペットアニメーション(ポーランド&オーストリア制作)は、トーベ・ヤンソン自身もかかわっていることもあり、何よりも原作に忠実、その独特な世界観を色濃く表現することに成功しているすばらしい作品だった。
 その時に、部分的ながら可能な限り録画して、それを現在も楽しんでいる。

 これはそのオリジナル版から、あまりにも有名な童話シリーズの第2作、「ムーミン谷の彗星」に相当する数話を抜き出して、リマスター&再編集した、長編作品。
 すでに、DVDは発売されていたが、今回、ムーミン童話誕生70周年を記念しての劇場大画面で公開、となった。
 ちょうどオリジナル版の「彗星」の部分は、たまたまほとんど録画できていなかったこともあり、早速観てまいりました。


 想像をはるかに上回る完成度だった。

 ムーミン童話の中でも特に「ムーミン谷の彗星」は、トールキン博士の「指輪物語」と同じくらい、いやそれ以上に映像化困難な、圧倒的なイマジネーションが炸裂する超傑作ファンタジーだと思うが、
 この長編アニメーションは、当然ながらアニメシリーズのオリジナル版の他の回と同様、とにかく徹底的に原作に忠実、キャラも原作そのまんま、映像も、パペットアニメーションならではのシンプルながら無限に想像力を駆り立てられる不思議な美しさをたたえたものになっていて、そういう意味では、原作の独特の魅力あふれるイメージの世界が、現実の映像作品として見事に再現されている。
 その上、必要最低限以外のあらゆる要素を思い切って削ぎ落としたスピード感あふれるストーリー展開によって、ラストの絶対的な平安に向かってすべてが集約されていく息もつかせぬ迫力は、原作にも決して負けないものがある。
 しかも、客観的にはどう考えても緊迫感と絶望感でいっぱいのはずの「旅」のあちこちに、例えようも無く美しいものや、のどかで楽しいことがたくさん散りばめられている点も、原作には及ばないにしても、しっかりとていねいに描かれている。


 原作とのちがいという点では、
 冒頭でムーミンたちが、まだ美しかった海に探検にでかけ、スニフが子猫と洞窟を発見するプロローグ、
 ムーミン一行が過酷な旅の果てについにムーミン谷にたどり着いた時、知り合いたちがみんな彗星から避難しようとムーミン谷から逃げ出してしまったというのに、ムーミンやしきを見てみると、家の中で、ムーミンママが、まったく何事も無いかのように「しょうがビスケット」を焼いている、という感動的なシーン。
 彗星衝突時間まであとわずか、という時に、いなくなってしまったスニフを探しに洞窟の外に飛び出そうとするムーミンを、スノークのおじょうさんが止めようとするのに対し、ムーミンママが言い放つ、「これは、しなくちゃならないことよ。いそいで、できるだけ早く。」というせりふ。
 物語の最後に、ムーミンママが、子猫の首飾りに、と大切なエメラルドをスニフにプレゼントするシーン、
 などなど、これらの部分はすべてカットされている。

 こうして改めて並べてみると、作品のキモになるような重要な部分(しかもわたしが大好きな部分)ばっかりで、あれれ?と思ってしまうが、実際に作品を鑑賞している時にはまったく気にならなかった。
 まあ、これらは、文学としての物語のテーマ、骨子を形作るような事柄ばかりで、文学作品としては無くてはならないポイントだけれど、映像作品としてその作品世界を無条件に楽しむには直接は必要ないのかもしれない。
 むしろ短い作品の中でこれらの部分をすべてきちっと描いていたら、説明っぽくなってしまうかもしれず、いずれにしても、どれもみなあらかじめ知っていればそれでいいこと。
 一応、原作を読んでからか、あるいは原作に以上のようなシーンがあることをふまえて映画を観ることをおすすめしておきます。

 「ムーミン谷の彗星」は、美しいファンタジーであると同時に、世界が破滅してしまうようなたいへんな状況の中で、登場人物一人一人が、それぞれの一番大事なものを最後まで守り抜く物語

 この映画も、原作に限りなく迫るすばらしい出来だった。
 大人でも子供でも楽しめて、上記したような大切なテーマがひしひしと伝わってくる最高の作品になっていると思う。


 わたしは、ムーミンを読むとすぐに「ホビットの冒険」や「指輪物語」を思い浮かべてしまうが、このように良くできた映画を観ると、映画「ホビット」も、こういう風にはできなかったのか、と、ついつい思ってしまう。

 映画「ロード・オブ・ザ・リング」については、ほんとうに圧巻だった。あれはあれで、あのようにつくって大正解だったと思う。
 でも、「ホビット」まで、まさか同じテイストでつくってしまうとは思わなかった。
 例えば、このムーミンの旅を、リアルに、「ロード・オブ・ザ・リング」ばりの大作として描きつくしたら、あまりの内容のつらさに誰も観たくはないだろう。
 「ホビット」も同じだと思う。大人でも子供でも無条件に楽しめる作品として観てみたかった。
 原作がそうなのだから。


 作品の最初と終わりに、ビョークが歌うテーマソングが流れる。(この部分の映像は映画用に新しく製作されたアニメらしい)
 できれば、せめてどちらかだけでも、オリジナルアニメーションのテーマソングを使ってほしかった。いい歌なのだ、とっても。

 それだけが、唯一不満な点。


 パンフ。

 ムーミンがムーミンやしきにたどり着いた場面。

画像
画像



 限定DVDボックスセットを速攻で購入!

 映画は、英語版だったが、日本語版、スェーデン語版、そしてフィンランド語版を楽しめる。

 オリジナルグラス付。
 グラスが収納されていた箱の表面には、メダル、鏡、子猫、切手、帽子などなど、みんなが大事に守った大切なものの絵がちりばめられている。

 背後の絵は、特典ポスター。

画像



 原作本。必読!

 「彗星」の方の表紙の絵は、彗星のせいで干上がってしまった海の底を、ただひたすら進むムーミン一行。

画像



 限定、コメットカルピス

画像
画像




 続いて、こちらは、昨年、トーベ・ヤンソン生誕100年記念作品としてつくられた映画。 


画像



画像



画像



  劇場版 ムーミン 南の島で楽しいバカンス MOOMINS on the RIVIERA

  2014年 フィンランド グザヴィエ・ピカルド監督作品(ハンナ・ヘミラ共同監督)

  @ 池袋HUMAXシネマズ (その他の上映館は、こちら


画像



画像



 極上の音楽と絵。

 原作は、童話シリーズではなく、新聞連載の肩肘張らないコミックス。
 童話シリーズが持っている、(たとえば、正に上記「ムーミン谷の彗星」で見られたような)
 圧倒的な世界の広がり、さまざまなエピソードが複雑かつ有機的に絡み合いながら大きな物語となって突き進んでゆく迫力、主人公一人一人の心の動きが丁寧に描かれる面白さ等は、ほどんど感じられないが、これはひとえに原作のコミックスに忠実なためでもある。
 せりふ、要所要所の構図までもが、コミックスのまんまで、スタッフが一番力を注いだのが、いかにモノクロのコミックスの絵に美しい色彩を施すか、ということだったという。
 そういう意味では最高の仕事が成し遂げられており、登場人物のキャラも原作通り、ハチャメチャぶりも愉快。
 結果的に、絵や音楽の美しさにひたりながら、楽しく観られる作品になっている。
 ただし、長さの割に映画的な盛り上がりには欠けるストーリーなので、小さなお子さんが映画館で観たら少々退屈してしまうかも。

 本音を言えば、未映像化の童話の映画化をしてほしかったが、やはり、基本的にムーミン童話は、映像化困難なのだろう。

 童話の映画化が果たせなかった分、原作コミックスには無い冒頭部分、ムーミン谷にスナフキンがやってきてから、ムーミン一家が南の島に旅立つまでの映像に、制作者のすさまじいまでの気合が感じられた。
 ムーミン世界に対する愛情がストレートに伝わってきて、この部分に限っては、童話シリーズの世界観が最もよく出ていたような気がする。


 パンフ&サントラ

画像
画像



 原作コミック

画像



 映画館のディスプレイ。

画像


画像




 この二つのムーミン映画が同時に観られるのは、東京では池袋だけ。(3月9日現在)


 そして、その他にも・・・・、


 サンシャインのムーミン・スタンド

画像
画像


画像



 それ以外にも、ルミネをはじめ、パルコ、ISP等の雑貨ショップに、ムーミングッズが大増殖中!


 
 こちら、池袋ではないが、マーチ・エキュート・万世橋

 期間限定、ムーミンショップ。

画像
画像


画像



 六本木の期間限定ムーミン・カフェには、フォトスポットなどもあったようだが、行きそこなった。



 我が家にかなり昔からあるマグカップ。

 大人気のアラビア(ARABIA FINLAND)のムーミンマグだが、最近雑誌のムーミン特集を見ていたら、これは、デザイナーのトーベ・スロッテさんが一番最初にデザインした4点のうちの1点らしい。
 けっこうぞんざいに扱っていたのだが、あわててきれいに洗ったのは言うまでもない。

画像






画像






そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

画像





この記事へのコメント

ANNA
2015年03月12日 09:47
Noraさんこんにちは。

ムーミン童話、私も大好きです。採用試験の面接思わず愛読書について質問されたときも迷わず、ムーミン童話シリーズをあげたほど。

とっても 「~らしい」それぞれの考え方や行動に、くすりとしたり考えさせられたり。個性豊かなキャラクターが繰り広げるお話は、大人になった今でも魅力的です。
ご紹介の今回の映画も観に行く予定です。
もともと東欧のパペットアニメーションを愛する私。ムーミンのパペットアニメーションが観れるのは、とても嬉しいです。

我が家にもムーミンカップが、いくつかあります。Noraさんがお持ちのマグカップ、初めて見ました。
2015年03月13日 10:57
 ANNAさん、こんにちは。
 企業によるとは思いますが、面接で愛読書にムーミンをあげるのは、なかなかリスキーな気も・笑。
 ある程度の年齢以上の方だとTVの子供向けアニメのイメージが強いでしょうし、若い方だとかわいいキャラとしての認識しか持っていない場合も多いでしょう。
 わたしも小学生の頃図書館で童話を読みましたが、アニメとのギャップになかなかついていけなかった記憶があり(絵もだいぶちがうし)、その真価を知ったのは大人になって読み返してからです。

 映画「ムーミン谷の彗星」、現在東京では池袋でしか上映されておらず、にもかかわらずお客さんは数人程度でした(わたしが行ったのは平日の夜でしたが)。
 ぜひご覧いただきたいですが、その際には早めに上映スケジュール等ご確認ください。
 一応DVDも発売されております。(他に、同様の編集長編「ムーミン谷の夏祭り」、オリジナルシリーズのBOX等もあります。オリジナルシリーズの吹き替えは、松たか子さんと段田安則さんがすべての声を演じ分けていて、ちょっとすごいです)

この記事へのトラックバック

過去ログ

テーマ別記事