最近聴いたCD・ロマン派編~シューベルト、シューマン他、「ロマチック」な音楽の諸相【三位一体後8】

 今度の日曜日(7月26日、三位一体節後第8日曜日)のカンタータは、

 初期作を改変したと思われる、BWV136
 第2年巻のコラール・カンタータ、BWV178
 後期のBWV45

 の3曲です。


 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第8日曜>

    三位一体節後第8日曜(BWV45他)
    真夏の幻影、あるいは「夏の夜のオペラ」(BWV45、168)



 たまってってしまった昨年~今年聴いたCDの感想。
 今回は、モダン・ピリオドの垣根をはるかに飛び越えてしまったロマン派ど真ん中の名演の数々を。



 シューベルト


 今や世界を代表すると言っていい2大巨匠が、「いつもとちょっとちがう楽器」で、シューベルト最晩年の2大名曲にチャレンジしています。


 弦楽五重奏曲 

  クイケン四重奏団、ミシェル・ブーランジェ


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 ピアノ・ソナタ第21番、第18番『幻想』、即興曲集、楽興の時、他

  アンドラーシュ・シフ(フォルテピアノ)


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 クイケンはモダン楽器で、シフはフォルテピアノで、シューベルト晩年の深~い深い世界にわたしたちを誘ってくれます。
 ご存じのとおりシフはもともとフォルテピアノの名手で、以前ご紹介したディアベリバリエーションのモダン・フォルテ弾き比べの超名演が記憶に新しいが、クイケンの方はちょっと意外だった。
 でも、古いレコードのウィーン・コンチェルトハウスの夢まぼろしのような響きがいまだに耳に焼き付いて離れないわたしにとっては、モダン楽器の重なりが織りなすこの独特の響きこそが、やはりシューベルトの室内楽!

 いずれにしても、ヘンゲルブロックの日本公演ライブの感想でも書きましたが、もはや古楽器、モダン楽器、あるいはピリオド奏法、モダン奏法など、より高い次元の表現のための一手段にすぎないのだ。
 とにかくここに響いている音楽そのものに、耳を傾けてみましょう。

 両者とも、よくここまでの境地に到達したものだ。
 そして、それはそのまま、シューベルト最晩年の境地でもある。



 この2曲が出たら、やはりこの曲も。


 最近リリースされたばかりの、大ハ長調交響曲の、究極の名演。
 何とか間に合ったので、出しておきます。


 シューベルト 交響曲第8番 「グレート」

  アバド指揮、モーツァルト管弦楽団
 
 
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 アバドさんが最晩年に残してくれた思いがけない宝物がまた一つ。
 2011年のボローニャでの録音。
 何とセッション録音らしい。
 しかもこの鮮烈なジャケット!2枚組LPが同時発売とのことだから、それをにらんでのことか。
 20世紀の名盤の時代を彷彿とさせるアルバムの造り方、そして出来栄えだと思う。 
 アバドさんが残してくれた録音を、かけがえのない現代の名盤として残してゆこうという気合がみなぎっている。
 もちろん演奏は、それにふさわしいもの。
 この大交響曲の、天馬空をゆく大演奏は数あれど、この演奏は、自由自在に、天空を浮遊するような演奏。
 アバドさんも、楽団員たちも、楽しそうだ。ほんとうに楽しそうだ。音だけでも、それがわかる。
 そしてまたシューベルトその人も、この曲を作っている時、楽しかったのではないだろうか。



 メンデルスゾーン 交響曲第3番 「スコットランド」、フィンガルの洞窟
    &
 シューマン ピアノ協奏曲
 

  ガーディナー指揮、ロンドン響、ピリス(ピアノ)


 * ブルーレイ・オーディオつき


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 メンデルスゾーンでは、ウィーンフィルと組んで過去にすでに定評のある録音をリリースしているガーディナー、
 現在、満を持して、新交響曲全集に取り組んでいます。
 「宗教改革」&管弦楽曲の第2弾もすでに出ていますが、これは、ピリスとの共演のコンチェルトがカップリングされた、記念すべき第一弾の方。

 実はロマンの人、ガーディナーの現在を伝える、貴重な録音でもある。

 SACDハイブリッド盤といっしょに、ブルーレイ・オーディオ盤もついていて、この盤のビデオパートには、当日のライブ映像もまるっと収録されており、映像も楽しめる超お得盤。
 普通のCDとしてはちょっと高い値段だが、この内容だと、むしろかなり安い。


 このアルバムでは、当然のことながら、ピリスのコンチェルトがたいへんな聴きもの。

 ピリスは、今は亡きブリュッヘンとの共演で時代ピアノを演奏したベートーヴェンのピアノコンチェルトが話題になったが、ここにもまた、表現のために垣根を軽々と超越するアーティストが。



 シューマン 合唱作品集(9CD)

  デュッセルドルフ州立楽友協会合唱団
  サヴァリッシュ&ベルリン・フィル、クレー&デュッセルドルフ響、他
 

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 以前ご紹介したメンデルスゾーン合唱曲集に続き、シューマンの合唱曲集。

 メンデルスゾーンに比べると、「バッハ度」はやや低いが、それでもやはり、バッハ・チルドレンの面目躍如。
 ロマンの香りあふれる大作多し。あの「楽園とペリ」も。





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この記事へのコメント

ANNA
2015年08月01日 12:35
Noraさん、こんにちは。

私の好きな曲のご紹介があったので、思わず。
シューベルトの弦楽五重奏曲。出会いは、ベルリン・ブランディス・カルテットに、
チェロのイェルク・バウマンを加えたメンバーによる演奏でした。
好きな曲なので、この曲のCDを見つけると聴いてみたくなり、買い求めています。
ご紹介のクイケン四重奏団、ミシェル・ブーランジェのCDも聴いてみたくなりました。
2015年08月07日 10:24
 ANNAさん、こんにちは。出かけていて、お返事が遅れ、失礼いたしました。

 シューベルトのクインテット、いいですよねえ。シューベルトの晩年の作品はどれもこれも絶品ですが、この曲の1、2楽章などは特に心に沁み渡るような気がします。
 名曲だけに名盤ぞろいですが、このクイケンほかのCDも室内楽の王道を行くような演奏だと思います。
 モダン楽器のアンサンブルのどこか懐かしい響き、そこにファミリーの常設カルテットならではの親密さが加わって、安心してどっぷりとひたることができる音づくりになっていますが、正にその点が、シューベルトの音楽の本質に限りなく迫る結果につながっているような気がします。

 シフのソナタもいいですよ。わたしはこれまで、シューベルトの最後のソナタというと、上記クインテットなどと比べどこか空疎な感じが否めないでいたのですが、このシフの演奏で聴くと、クインテット等に負けない充実した内容を持った作品であることが実感できます。
 静寂の中にあふれるような滋味と叡智を漲らせた驚くべき名演だと思います。

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