カンタータの好企画盤2種類!~今年聴いたCD・クリスマス・スペシャル!バッハ編

 早いものでいつの間にかもうすぐ待降節も終わり。CDの紹介もほとんどできていませんが、今年はなかなか凝った好企画のカンタータのCDが2種類リリースされたので、取り急ぎご紹介しておきます。
 クリスマスにぴったりなCDもあるので、ぜひ!



 まずは、これ。

 バッハからのクリスマスプレゼント。

 今年のクリスマスは、これだ!


 ライプツィヒにおけるバッハ最初のクリスマス晩課の再現 ~1923年12月25日

  マニフィカトホ長調 BWV243a(初稿版)、
  カンタータ第63番 BWV63、他、オルガンコラール等

  バット&ダニーデン・コンソート  ライプツィヒのクリスマス


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 バッハが書いたラテン語作品は、数こそ少ないですが、すべて大傑作。
 まず思い浮かぶのは、ロ短調ミサ曲を始めとするミサ曲ですが、マニフィカト BWV243も忘れてはなりません。
 このBWV243、あのBWV147やドイツ語マニフィカトBWV10と並ぶ、マリアのエリサベト訪問の祝日のための名作中の名作。
 この3曲のうち、BWV10はまごうことなき第2年巻のコラールカンタータ、オリジナルですが、他の2曲は、実はもともとちがう機会のための音楽を改編したもの。
 BWV147は、ライプツィヒ1年目に現在の形になりましたが、初稿はもともとヴァイマール時代の待降節のためのカンタータ(BWV147a)、
 そしてBWV243は、かなり後年になってから現在の形に整えられたものですが、もとはと言えば、ライプツィヒ1年目のクリスマスのための音楽でした(BWV243a)。
 つまり、名作揃いのマリアのエリサベト訪問の祝日のための音楽は、ちょうど現在の季節、クリスマス前後とも密接な関係にあるのです。

 わたしはこのマニフィカトBWV243のクリスマスヴァージョン(BWV243a)が大好きで、この曲に関しては、これまでもたくさん記事を書いてきました。
 BWV243aは、前述のように、バッハがライプツィヒにやってきて初めてのクリスマスのために書いた曲。
 調性からして、BWV243の輝かしいニ長調に対して、BWV243aは、おだやかな変ホ長調。
 BWV243のような圧倒的な完成度は無いかもしれませんが、全編素朴だけど若々しい響きに満ち満ちて、しかもとびっきり美しいクリスマス用の挿入曲が4曲もちりばめられています。

 さて、今回ご紹介するのは、このBWV243aが収められたCD。
 BWV243aの愛聴盤には、これまでヘンゲルブロックの鮮烈な演奏を収めたCD等がありましたが、ここにまた魅力的な一枚が加わりました。

 しかもこのCD、それだけではありません。
 何と、その時に一緒に演奏されたカンタータ(BWV63)やオルガンコラール等も収録しており、
 バッハのライプツィヒにおける初めてのクリスマスの礼拝(つまりバッハにとっての初めてのクリスマス・スペシャル・ライブ!)を再現しよう、というもの。

 ライプツィヒに登場したバッハが、初めて迎える晴れ舞台!クリスマス。
 バッハの気合、若々しい覇気、そしてクリスマスの瑞々しい喜びが、ストレートに伝わってくる!

 今年のクリスマスは、これだ。おすすめ!



 カンタータ第80番 「われらが神は堅き砦」

 2ヴァージョン、初期稿断片、W.F.バッハ編曲ラテン語版

  クリストフ・シュペリング&ダス・ノイエ・オーケストラ


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 BWV80は、ルター自身による有名なコラールを基にした、バッハのカンタータの最高傑作の一つ。

 とは言えこれまで何度も書いてきたように、単純な第2年巻・コラールカンタータ年巻の作品ではなく、
 初稿はすでにヴァイマール時代に復活節前のカンタータとして成立(BWV80a)、それが、(おそらく)1724年、すなわちコラールカンタータの年に宗教改革記念日のカンタータに改編され、さらにその後生涯の最後の最後にいたるまで改作・上演が行われた作品です。
 それに加えて、バッハの亡くなった後も息子のフリーデマンによって編曲されたことでも知られ、以前の録音にはその版による演奏も多く見られ、コープマン全集には、最終巻のおまけとして収録されていました。

 フランクの歌詞が基本となっているので、厳密に言えばコラール・カンタータとは言えないかもしれませんが、それはコラールカンタータの年のカンタータにしては珍しく旧作のパロディであるため。
 他ならぬコラールカンタータの年に宗教改革記念日のためのカンタータとして位置づけられ、しかもその後、より「完全なコラールカンタータ」に近づける大改作が繰り返されたことを考えると、BWV80は、バッハのコラール年巻の中の1曲としていいように思います。しかもコラールカンタータ年巻の中でも特に重要な1曲。
 少なくともバッハはそのように考えていたのでは。何より、BWV80の最終形は、全体的にルターのコラールから派生し、それをこれ以上無いくらいに発展させたものとなっていますし、極めて重要な祝日のためのものなのにもかかわらず、他の年巻補完作品が無いのですから。

 いずれにしても、BWV80は、BWV82などとともに、バッハが最も愛着を持っていたカンタータであり、すなわちイコール、バッハのカンタータの最高傑作と言ってもいい作品なのです。
 そのあたりの経緯については、こちらの記事をごらんください。
 なお、それ以降、全部で4回にわたって、BWV80に関連する記事が続いています。


 さて、そんなBWV80のちょっとすごいCDがリリースされました。
 
 このCD、収録作品はBWV80だけです。
 ただ、上記フリーデマン編曲版も含めた、BWV80の約四半世紀にわたる変遷の全容を実際の音楽で鑑賞することができる内容になっています。
 生涯の後半をトマスカントルとして過ごしたバッハ、
 カンタータはそのバッハが日常的に演奏し続けた音楽です。
 一言で言うと、「カンタータ第80番」、ただ一曲のカンタータですが、このような複雑な成立過程、様々な版や異稿が存在し、それはCD1枚分を軽く埋めてしまうだけの内容を有しているのです。

 これは他のカンタータにも多かれ少なかれ言えることですが、とりあえずここでは、その代表として、BWV80をお楽しみください。
 演奏も、それぞれのバージョンの時期や特徴にふさわしいものになっていて、ドキュメント的な作品として、十分楽しむことができます。



 今年は、ケーテン侯レーオポルトのための葬送音楽のCDをご紹介しましたが、

 こちらはその最初の録音と最新版。どちらもそれぞれ特色あります。


 『ケーテン侯レーオポルトのための葬送音楽』 完全復元版

  パロット&タヴァナー・コンソート&プレイヤーズ


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 最新版

 レオポルト侯のための葬送音楽

  グリヒトリーク&ドイツ・ホーフムジーク


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 今年は、ロ短調ミサのすばらしいCDもリリースされた。


 ミサ曲ロ短調(CARUS社新校訂版)

  ラーデマン&フライブルグ・バロック管、シュトゥットガルト・ゲヒンガー・カントライ


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 フライブルグ・バロック・オーケストラのロ短調ミサ、わたしにとってはそれだけでも特別。

 しかも、興味深い版による演奏です。具体的には、カール・フィリップ・エマヌエルによる加筆部分を取り除き、ドレスデン宮廷の図書館のパート譜(ドレスデン・パート)に基づく校訂を加えているとのこと。
 実際に聴いてみると、演奏によるところも大きいとは思いますが、颯爽としたしなやかさ、躍動感がより感じられるものとなっています。

 おまけに、上記BWV80のCDと同様、ロ短調ミサの複雑な成立史を、実際に耳でたどることができるようなトラックもついています。

 さらに、ボーナスDVDも。



 そして、ついに、出た!


 ガーディナーのミサ曲ロ短調!最新盤!

 
 おそろしくて、まだ聴いていない。

 ガーディナーのSDG巡礼、ここについに完結か????


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 おまけ、

 カンタータを聴きはじめた頃に、中古CDを買いあさったり、図書館のCDを録音したりして、すでに大部分を持っているが、
 何と、76%オフの8,590円だったので、思わず買ってしまった。


 レオンハルト&アーノンクール バッハ 教会カンタータ全集

 
 レオンハルト先生は今は無く、アーノンクールも、元気いっぱいだったのに、引退してしまった。
 しかし、この全集は、今後も大切に聴き続けてゆくことになるだろう。


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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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