アーノンクールさんを偲ぶ。

 3月5日、オーストリアの大指揮者、アーノンクールさんが亡くなりました。86歳でした。


 昨年12月、引退を表明した時の自筆メッセージ、こちら。(公式HP)

 今となっては、涙無しでは読めません。


 一部をわたしなりに訳しました。↓

 ステージ上のわたしたちとホールのあなた方との間には、信じられないくらい深い結びつきが築き上げられてきました。わたしたちは幸福な「開拓者の共同体」となったのです!
 多くのことは、これからも続いてゆくことでしょう。




 追悼、アーノンクールさん


 音楽は、音として鳴った瞬間に、歴史の渦の中に消え去ってしまう宿命を追っている。その「音楽」の再現に、アーノンクールさんは、その生涯のすべてをかけて挑んだ。
 こんなにもエネルギッシュで若々しく、音楽に身も心も捧げた人はいなかったのではないか。

 そんなアーノンクールさんが、昨年、自身のライフワークとしてベートーヴェンの全集録音をスタートさせながら、最初の一枚をリリースした時点で引退を発表した。このような仕事をアーノンクールさんが途中でやめてしまうというのは、よほどのことなのでは、と心配していた。
 (10月に予定されていたという第2弾、7番、8番のコンサートは実現したのだろうか)

 アーノンクールさんの音楽は、最後まで実験と冒険で満ち溢れていた。
 しかしながら、その「冒険」ばかりがクローズアップされがちであまり語られることは無かったけれど、晩年の演奏は、それ以上にあたりを振り払うような格調の高さ、高い次元の普遍性に貫かれ、それに熟練の技と持ち前の自由闊達さが作用して、唯一無二の大巨匠の音楽に到達していたと思う。

 2010年、おそらくこれが最後だろうと言って来日してくださった時のロ短調ミサ曲は、曲、演奏含め、わたしがこれまでに聴いたあらゆる音楽ライブの中で最高のものの一つです。(記事、こちら
 NHKの放送を録画したブルーレイは、今でも、そしてこれからも、大切な宝物です。

 かつてアーノンクールさんがブルックナーのCDをリリースした時、誰もが「古楽のアーノンクールが??」と驚きましたが、わたしはそのCDを聴いたとたん、この人はたぶんブルックナーが大好きなんだな、と確信しました。
 そして、それは、思った通りでした。その後、次々と目もさめるような魅力的なブルックナーのCDをリリース。
 結局、残念ながらアーノンクールさんのブルックナーを生で聴くことはできませんでしたが、終楽章のフラグメント付(それらが何と丁寧に心を込めて演奏されていたことか!)の9番のCD、最近では、ブルックナーもアーノンクールさんもまるで青年になってしまった??と思わず見紛うばかりに颯爽とした5番のブルーレイなどは、これらの曲の最高の演奏として、これまた大切な宝物です。(記事、こちら

 アーノンクールさん、

 わたしが心から愛するバッハとブルックナーの最高の作品で、正にそれにふさわしい飛びっきりの演奏を聴かせてくださり、ありがとうございます。
 レオンハルトさんとともに、歴史上初めてバッハのカンタータの全集を作ってくださり、ありがとうございます。
 何よりも、古楽という広大な沃野に、わたしたち音楽ファンを導いてくださり、ありがとうございます。

 今頃レオンハルトさんとお会いしているでしょうか。
 二人が会ってもほとんど会話が成り立たなそうですが、二人とも大好きでした。

 心よりご冥福をお祈りいたします。



▽ アーノンクールさんが遺してくれた遺産。生前リリースされた最後の一枚。


 ベートーヴェン 交響曲第4番、第5番

  アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス


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