そして、花巻へ~賢治の青春の街モリーオ市再訪記3日目(最終日)・特別完結編

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 もうだいぶたってしまいましたが、旅行最終日。
 最終日は、東北で最も観たかった仏像にお会いするため、賢治さんの故郷、花巻(新花巻)にちょこっと立ち寄ります。
 もちろん賢治さんも観た仏像。



 1月11日(月) 最終日



 岩手山は、ほんとうに盛岡の街のどこからでも見える。
 いつも、盛岡の街を見守ってくれている。

 大きな山が見える街にはあこがれる。


 最終日の朝、ホテルからのながめ。

 ホテルの展望レストランからはばっちりと見えた。

 そばっちと岩手山

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 盛岡を離れる前に、駅近くの展望台に行く。


 マリオス展望室から。

 盛岡駅(右下の建物)と岩手山(地平線上左よりの、巨大な雲みたいなもの)

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 マリオス展望台

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 開催していたイベント。

 貴麗絵展

 浮世絵を丁寧に装飾した作品。浮世絵等に布きれや糸等を貼りつけてあり、実に鮮やかで美しい。
 貴麗絵というのだそうだ。

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 盛岡から新花巻に移動する新幹線の車窓から。


 ついに裾野の全体が見渡せた。

 盛岡側から見ると、向かって右は女性的でなだらか。岩手富士の名の通り。
 それに対して向かって左は、男性的で勇壮な雰囲気。
 正に独特。

 今回の旅の目的である、NHK杯フィギュア スペシャルエキシビションが行われた盛岡市アイスアリーナ(正面の緑の屋根の建物)も見えた。。

 浅田真央さんが、東北の復興への祈りを込めたスペシャル・プログラム「ジュピター」の新しい衣裳は、ちょうど雪を抱いたたおやかな岩手山を思わせる美しさだった。

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 そして、賢治さんの聖地へ。



 新花巻駅


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 成島毘沙門天堂。(三熊野神社)(花巻、東和町)


 日本一の毘沙門天像!賢治の多くの作品にも登場する。

 東北ならではの木霊が奇跡的に形を成した仏像たち。
 その中の王様とも言える仏像は、賢治さんもよく知っている仏像だった。


 タクシーで鳥居前まで。


 村から続く階段。車でなければ、この階段を上がって来なければならない。 

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 鳥居と鬱蒼とした杉木立。

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 熊野神社は、泣き相撲で有名。

 泣き相撲の立派な土俵。

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 さらに左奥深く、深い木立に覆われ、毘沙門堂は静かに佇んでいる。
 

 成島毘沙門堂


 厳かな堂内。(右、写真撮影可)

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 しかし、堂の主は今はここにはいらしゃらない。


 さらに背後の山を登ってゆく。


 賢治の句碑御味噌奉納堂

 御味噌奉納堂には、味噌をぬるための実物大の毘沙門天の足が祀られている。

 背後に見える新しい建物が、現在毘沙門天がいらっしゃる収蔵庫。

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 わたしが最も観たいと思っている、「日本三大巨大仏」(勝手に選定)の筆頭だった。
 ついにお会いすることができた。

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 成島毘沙門天


 係りの方が収蔵庫の鍵を開けてくださり、中に足を踏み入れたとたん、息を飲み、動けなくなってしまった。

 とにかく大きい。堂内の空間を圧して立つその大きさだけでも、すさまじい迫力!
 正に、大木そのもの、気の遠くなるほどの樹齢を経た巨木の木霊がその姿を現したのようだ。

 そして、見慣れてくると、さらにこの仏像のすごさがじわじわと伝わってくる。

 まず、これほどの巨像にもかかわらず、一点たりともバランスのおかしいところが無い。
 もちろん写実的というわけではなく、東北の古代仏ならではの素朴で力強い造形なのだが、人間が造ったものではなく、始めから存在しているものであるかのように整っている。それほどバランスがよい。

 そして、何よりも、美しい。
 この仏像の、普通とはちょっと次元が異なるくらいの大きさ、力強い迫力、素朴さ、観る者は当然これらの要素に衝撃を受けるが、それらを超えて、おしまいに心を奪われるのは、この仏像のこの世のものならぬ美しさだ。
 上記した絶妙のバランスからくるおおらかな美しさ、恐ろしさよりはむしろ、やさしさをこそ感じさせる。しかも、そのやさしさはとてつもなく大きい。
 さらに、表面の木目の美しさ。まるでたった今木から生まれ変わったばかりであるかのよう。新しく作られたばかり、ではなく、木が新しい命を得て文字通り「新しく生まれ変わった」と言った方がより近い。霊的な光さえ帯びている。

 この仏像を観ていると、とにかく何か大きなものに抱かれているような気持ちになる。
 そのような仏像はこれまでもあった。しかし、これほど大きく温かいものに包み込まれた記憶は、それほど多くはない。


 心が落ち着いてきて、よく堂内を見ると、毘沙門天像の向かって左側に、これまで幾度となく東京に単身出張していただいて、すっかりおなじみになった毘沙門天の奥さま、伝吉祥天像が。

 東京で観た時は、その美しさ、柔らかさもさることながら、何て大きくてりっぱな仏像だ、と感銘を受けたものだが、ここで観ると、小さくてほんとうにかわいらしい。控えめに毘沙門天に寄り添いながら、「押し相撲」してらっしゃる。
 しかし、やさしさがこぼれ落ちるかのような美しさはそのまんま。というか、その美しさはより際立っているように感じられる。まるで毘沙門天の隣で明るく花開いているかのよう。
 この仏像もまた、ここにいてこそ初めて本来の姿を見せてくれるのだ。


 本来の姿、と言えば、毘沙門天の向かって右側に佇んでいらっしゃる「阿弥陀如来立像」。
 その姿にも、目が釘付けになってしまった。
 伝毘沙門天とほぼ同じくらいの、単体で見ればれば大ぶりな堂々たる仏像、しかし、頭が妙に小さい。9頭身、10頭身どころか、へたすると20頭身くらいはあるのではないだろうか。
 しかも、材質などもまったく異なり、とってつけた感満点。
 係りの方の話によると、頭が欠けてしまっていた菩薩像に、地元の人が、あまっていた?阿弥陀像の頭をつけたのだそうだ。以降、阿弥陀如来像として、地元の人から篤く信仰されているのだそうだ。
 そして、あまりにも奇妙な姿に、はじめはまったく気がつかなかったが、この「元菩薩像」のお体、よく見ると実に美しい。
 伝吉祥天像にも決して負けない優美さ、しかも、繊細でいて力強い。
 トルソーとして、かの「薬師寺のビーナス」にも匹敵するのではないか。

 先の大震災の時には、この像だけが倒れて、ダメージを受けたという。その後修復されたが、頭も取り外すことなく、そのままつけたのだそうで、信仰を重視する姿勢に好感が持てた。


 これらのどれも個性的な、唯一無二の仏像群が、平安の昔から、このような東北の片隅の山深くに大切に守られてきた。
 山里から続く階段の長さを見ると、なんでまたこんなところに、という実感がわいてくる。
 ただ、だからこそ、これらの仏像は、こんなにも観る者の心をとらえるのにちがいない。


 毘沙門堂の山から里を見渡す。

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 始めは行く予定では無かったが、時間が多少あまったので、タクシーの運転手さんに行ってもらった。


 胡四王山の高台に静かに佇む、賢治さんの聖地。

 宮沢賢治記念館(新花巻)。


 たまたま昨年リニューアルしたばかりなので、ちょっと様子見と言ったところ。


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 大昔、わたしがよく行っていた頃は、「種山ヶ原」の「牧歌」などがしみじみと流れる中、ていねいに並べられた展示物を順番にじっくりながめていくような、素朴な記念館だったが、リニューアルによって劇的に生まれ変わっていた。

 展示室の中央に円形のスペースがあり、それを中心にして、とんでもなく膨大な展示物が、6つのテーマに分けられて360度放射状に展開している。それぞれのテーマは、ハイテクを駆使した導入から始まり、おしまいには壁一面にコラージュ風に貼られたパネル等の展示物にたどりつく。
 一つ一つの展示をきちっと観てゆく、というより、視覚、聴覚等を通じて、それぞれのテーマ内はけっこうランダムに並べられている展示をフラッシュバック的にとらえ、賢治の世界を、文字通り「体験する」ような雰囲気。

 「四次元的」とも言ほど大きな沃野の広がりを持つ賢治の精神世界。
 賢治ならではの、賢治には一番ぴったりの展示方法だと思う。
 あたかも賢治さんの脳内を逍遥するかのようで、一日いても飽きない??

 もちろん、その生涯のまとめ等ベーシックな事項は、最初のスペースにまとめてある。
 まず入館者を迎えてくれる巨大な「日論と山」の絵も昔の通り。


 一点、気が付いたのだが、昔はもう少し生原稿等が展示されていたような気も。
 現在は原稿類等は、ほとんどパネル展示になっている。
 以前に比べるとすでに大分時が経過して、保存が必要なのかもしれない。
 敷地内には頑丈そうな蔵?のようなものが建っていたが、貴重な遺産はその中に大切に収蔵されているのかもしれない。


 特別展示室では、

 特別展 「銀河鉄道の夜」はどう生まれたのか-草稿の謎にせまる

 を開催中。

 これは、10年以上にわたる「銀河鉄道の夜」の展開・推敲の流れを、貴重な原稿を交え俯瞰できる、
 改訂マニアのわたしにとっては、ウハウハの展示。

 ただ、それだけでも膨大な内容になってしまうので、今回は、特に初期形から後期形への変貌にスポットライトをあてているようだ。


▽ 関連して購入した冊子、「宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」の原稿のすべて」(右)

  文字通り、銀河鉄道の夜に係るすべての生原稿が掲載されている。
  座右の書として末永く愛読したい。
  一般に販売されている書籍では、絶対に読むことができない、知られざる「銀河鉄道の夜」のシーン、言葉も多々登場。

  左は、宮沢賢治記念館周辺でゲットしたその他諸々。

  賢治さんの作品を中心とするCDほか。
  下に写っている巻物は、記念館でいただいた生原稿の複製。
  以前もらった「銀河鉄道の夜」の冒頭部分の複製を今でも大切に持っているが、今回は、「春と修羅」の中の一節だった。


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 やたら落ち着ける休憩コーナー

 右写真、昔、確かこのあたりは庭になっていて、そこにあったベンチから同じ風景の写真を撮ったことがある。

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 ポランの広場。

 かしはばやしの夜、そして鹿、童話集「注文の多い料理店」の世界。

 空気は澄み渡り、風はざわざわと鳴って、乾いた香りを運ぶ。

 日時計 。

 ひたすら春を待っている。

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 今は雪と枯木立ばかりだが、そんな中、力強く咲く花も。

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 ポランの広場を抜けたところにある、


 宮沢賢治イーハトーブ館


 また賢治さんがいるのが見える。

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 ぎょっとする。

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 無料で休憩できるだけでなく(有料の喫茶コーナーもある)、賢治関連の様々な史料や展示、グッズや書籍、CDなどのショップも。

 りっぱな映画上映コーナーもあり、誰もいないのに上映していたので、じっくりと観た。



 帰路


 宮沢賢治童話村(左)と花巻市博物館(右)。

 冒頭に掲げた花巻市の観光ポスターで、賢治さんが佇んでいる銀河ステーションのゲートが見える。

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 列車

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 きゃびん

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 花巻駅

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▽ 花巻市の観光ポスターより

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 おみやげ

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カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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