緑きらめく古のロワール川の幻影・LFJでオケゲムを聴く~ラ・フォル・ジュルネ 2016【聖霊降臨節】

 明日の日曜日(5月15日)から3日間、聖霊降臨節。初夏の大祭日です。

 質・量ともに、クリスマスや復活節に並ぶほどのカンタータがずらりとそろっています。

 初夏に降りそそぐ灯火~聖霊降臨節・一言コメント付カンタータ一覧表をご参照の上、さわやかな初夏のカンタータをぜひお楽しみください!


 過去記事は、こちら↓


 <聖霊降臨節>

    お気に入りアリアその2(BWV74)
    永遠の炎、愛の源(BWV34)
    初夏に降りそそぐ灯火~聖霊降臨節 【聖霊降臨節・カンタータ一覧】
    お気に入りのアリア 踊る双子の兄弟(姉妹?)ふたたび~BWV173、184ほか
    お気に入りのアリア 「夏への扉」~BWV68、174
    バッハの「第3年巻」~BWV39、34の話題を中心に



 聖霊降臨節は「初夏のカンタータ祭り」ですが、
 こちらも、東京の初夏を代表するイベントの一つ。 



 左、東京駅方面。右、有楽町方面。緑が続いている。

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 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016

 la nature ナチュール -自然と音楽

  @ 東京国際フォーラム


 2日目、5月4日(水・祝)


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 今年のテーマ・イラスト。上の隙間からちょっと見えているのは、本物の緑。

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 雨上りの朝の緑。

 こんなに早い時間にLFJに来たのは久々だったが、人も少なく、実に清々しい。

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 有料コンサート・その1

 
 ルネサンスの自然〜ロワール川のほとりで

 オケゲム、クレマン・ジャヌカンその他のミサ、モテット、シャンソン

  ジョエル・スービエ、アンサンブル・ジャック・モデルヌ

  @ ホールB5<ドナウ>


 オケゲムのミサ「フォール・スルマン」のキリエで開始、中核にジャヌカンのミサ「戦争」のサンクトゥス等が置かれ、最後はオケゲムとも関係のあったフォーグのミサのアニュス・デイで締めくくられるという、ミサ・トータに準じたようなプログラム。あたかもフランスルネッサンスを代表する作曲家による協作、さながらパスティッチョ・ミサ?
 とは言え、決して厳粛な宗教曲だけではなく、その間に美しいモテトゥスはもちろん、ジャヌカンに代表される底抜けに楽しいシャンソン等、バラエティに富んだ楽曲が散りばめられていて、
 タイトル通り、古のルネサンス時代のロワール川周辺における、豊かな自然に抱かれた人々の生活の息遣いが伝わってくるような、単なる「ルネサンス名曲集」ではない、考え抜かれたセットリスト。


 特に、LFJでオケゲムを聴けるとは夢にも思っていなかったので、楽しみにしていた。
 美しい歌声でまっすぐに歌われるオケゲムのミサ、はじめにキリエ~と澄み切ったハーモニーで歌われた直後、エ~~と引き延ばす部分になって、いきなり各声部がそれぞれ予想もつかない音程の跳躍とリズムを交錯させ始め、オケゲムの醍醐味が炸裂、素直でストレート、しかもどこまでもクリアな歌唱ゆえに、オケゲム特有の魅力が100パーセント伝わってくる。
 やはりオケゲムは良い。正にワン・アンド・オンリー。

 引き続き、オケゲムのモテトゥス「汚れなき神の御母」、ここでは現代にもそのまま通じるような普遍的な美の世界が広々と展開する。しかもそこで扱われるメロディは、ジョスカン等に比べるとかなり個性的で一度聴いたら忘れられないほどキャッチー。
 オケゲムは時折このような名曲としか言いようのない曲を書くのだ。
 そしてアンサンブル・ジャック・モデルヌのまっすぐな演奏は、その真価を十二分に際立たせてくれた。

 ここまで緊張感が一瞬たりとも途切れることなく、休みなく演奏された。

 この後は、雰囲気が一転して楽しいジャヌカン他のシャンソンの世界。
 演奏もガラッと変わって表情豊か、軽いコント?も交えて楽しさ満点。
 曲によってメンバーの構成や配置も次々と変わり、多彩なルネッサンス・シャンソンの世界が繰り広げられてゆく。
 宗教曲と世俗曲、その両極端な、しかしどちらもかけがえの無い魅力を有する世界を自然に演じ分けてゆくことこそが、良いルネッサンス専門のアンサンブルの条件であることは言うまでもない。
 シャンソンの締めくくりは、時代もかなり後になった頃の、現代の我々がそのまんま口ずさめるようなメロディの3部構成の有節歌曲(一節目はシンプルなホモフォニー、2節目は豊かなハーモニーが付いて、3節目は複雑なポリフォニー、というよくあるパターン)、ロワール川の豊穣を称えるようなセルトンの「葡萄、麗しいワイン」。
 以上、鮮やかな緑あふれる古のロアール川流域のさわやかな空気を、たっぷりと味わう頃ができた。
 今の季節にこんなにふさわしいプログラムは無い。

 そして、後半は再び宗教曲の世界に。
 宗教曲と言っても、何も特別なものではない。バッハのカンタータも同じだが、これも、人々の当たり前の生活の音楽なのだ。

 ジャヌカンが再び登場。しかし、それまでのシャンソンとはまったく異なる表情。

 名作ミサ「戦争」はもちろん、「バビロンの流れのほとりに座り」(クレジットではグディメルとの共作になっている)のすごさ。
 ジョスカンの最良のモテトゥスにも匹敵するような圧倒的な美の世界。真摯さでもジョスカンに限りなく迫っている。
 くだけたシャンソン作家としてあまりにも有名なジャヌカンだが、宗教曲作曲家としての隠れた一面を目の当たりにすることができた。これまでもCDにおいてはそのような機会があったが、実演のライブではやはりなかなか機会が無い。そういう意味でも画期的な演奏会だったのではないか。


 今年は、わたしがラ・フォル・ジュルネに行くようになって、初めてのピエルロさん&リチェルカール・コンソートのいないLFJとなった。
 そのさみしさを埋め合わせてくれるような、本格的な古楽プロだった。


▽ スービエ&アンサンブル・ジャック・モデルヌのCD。これだけ見つかった。
  (ベイエ&グリ・インコグニティ等との共演)

 ラインハルト・カイザー作曲と言われてきたマルコ受難曲。バッハとも深い係わりがあったとされる。
 アンサンブル・ジャック・モデルヌはその名の通り盛期ルネッサンスを守備範囲とすると思われるが、このCDを聴く限り、バッハのカンタータ等も大いに期待できる。 

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 ホールB5への巨大なエスカレーター

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 ホールB5のある5階から新緑を見下ろす。
 演奏会においてどっぷりと浸かってきた古の幻想の緑と、現実の緑が、鮮やかに重なる。
 正に今の季節にぴったりのライブだった。

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 演奏会が終わって外に出ると、良く晴れて太陽の光が降り注ぎ、たくさんの人が押しかけていた。それでも、以前のような混雑ぶりは無い。快適。

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 (休憩その1)

 ホールE<パシフィック>(旧展示ホール)
 

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 ホールEキオスクコンサート


 こどもたちの音楽アトリエ
 
 VOCES8のヴォーカル・ワークショップ ~自然の世界の歌声~

  VOCES8 ヴォーチェス・エイト


 ここでは、エンターティンメント性あふれるステージを繰り広げていたが、(ただし、こどもはそれほどいなかった?)
 シュッツやメンデルスゾーンの宗教曲を中心とした有料公演もあったようだ。


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 ゆっくり座って、ランチ

 カフェ・ド・LFJ。帝国ホテルのカレー。

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 NHKーFMのブース(サテライトスタジオ)


 花や鳥たちでいっぱい。

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 生放送中。(夕方の写真)

 渡邊佐和子アナがずっと担当していた。

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 ゲストはジャン・ブコーさんとジョニー・ラスさん。お二人の肩書は「鳥のさえずり」。

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 再び、キオスクコンサート。(夕方)

 曽我大介指揮、リベラル・アンサンブル・オーケストラ&一音入魂合唱団。

 フィンランディア
ほか、

 合唱付きで聴き応えあった。

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 出演者のサイン。

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 アナログ名盤。(サインコーナーのディスプレイ)

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 有料コンサート・その2


 鳥たちのファンタジー〜ロシアの超名曲をカップリング

 ストラヴィンスキー 「火の鳥」組曲(1945年版)

 チャイコフスキー バレエ「白鳥の湖」より


  ドミトリー・リス指揮、ウラル・フィルハーモニー管弦楽団

  @ ホールA<ロワール>
 

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 フィギュアスケートでもおなじみのロシア・バレエのプログラムを聴いてみました。
 「火の鳥」は、たっぷりと長い1945年版の組曲が聴けてよかった。「白鳥の湖」は残念ながら4曲だけ、しかもほとんど浅田真央さんの使用曲とは異なっていたが、さすがにどの曲もキャッチー。


 ホールAから。

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 (休憩その2)

 地上広場<ナイアガラ>。


 アフリカ、ブルンジのパーカッション・グループ、
 ドラマーズ・オブ・ブルンジ
 のライブ。


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 ドラマーズ・オブ・ブルンジの地上広場ライブは、当日発表の有料アーティスト枠で開催された。
 今年のラ・フォル・ジュルネで特に観たいと思ったプログラムだったが、無料ライブに出演しそうな感じだったので、有料公演のチケットは買わずにいた。
 わたしが行った日の、ちょうど他の有料公演の合間にこのライブがあり、実にラッキーだった。
 キオスクのライブの中でも特に注目度が高かったようで、舞台の周囲360度びっしり人で埋め尽くされていた。

 体の真ん中に響くような太鼓のリズム、アクロバティックなダンス、すべてが迫力満点だったが、完成度の高い楽曲の一糸乱れぬ演奏等、原始的な「自然」のエネルギーというよりも、格調の高さみたいなものが感じられる気がした。


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 ドラマーズ・オブ・ブルンジの地上広場ライブの詳細記事、こちら


 毎年のお楽しみ、ネオ屋台村スーパークラシックのにぎわい。

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 夜のコンサートに備え、腹ごしらえ。

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 テーブルに座っていると、木の葉を揺らしてさわやかな風が吹き抜けてゆき、とても気持ちが良い。ずっとそのまま座っていたくなる。

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 ガラス棟ロビーギャラリー


 Technics テクニクス・アナログ名盤試聴コーナー。

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 OTTAVA オッターバ・オープンスタジオ

 今年も本田さん大活躍。

 ここでも、ゲストは「鳥のさえずり」のジャン・ブコーさんとジョニー・ラスさんだった。

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 一見ふつうのサラリーマンなのに、あいかわらずピアノがうまい。
 放送されていない時も、隅っこで一人、ヘッドホンをつけて電子ピアノを弾きまくっていたりする。

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 有料コンサート・その3


 四季をめぐる旅〜ピアノとヴァイオリンが奏でる春の至福

 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ「春」

 ブラームス ヴァイオリン・ソナタ「雨の歌」


  オリヴィエ・シャルリエ (ヴァイオリン)、アンヌ・ケフェレック (ピアノ)

  @ ホールB7<ライン>


 この公演は、先ほどご紹介したNHKーFMのサテライトスタジオから、生放送された。

 ケフェレックさん、相変わらず清楚でさらさらと流れるようなピアノ。
 シャルリエさんとの息もぴったりで、親密な雰囲気の、室内楽の醍醐味が満喫できる演奏会だった。
  

 ホールB7から見る夕日。

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 本日のコンサートはこれでおしまい。


 今年も盛りだくさんだった。

 国際フォーラムでのコンサート等が大充実だったので、周辺のエリアコンサート等へは行かなかった。



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

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カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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