文楽鑑賞教室「曽根崎心中」 @ 国立劇場~TVドラマ「ちかえもん」に誘われて、文楽初鑑賞!?

 まずは、そもそもの発端であるNHKのTVドラマ、「ちかえもん」のことから。
 TVドラマは好きで相変わらずけっこう観ているが、今年前半、特に印象的だったのが、この「ちかえもん」だった。


 木曜時代劇

 ちかえもん

  NHK総合 今年の1~3月放送、すでに終了済み

  (脚本:藤本有紀)
 

 こんなにも、次回の放送(特に最終回!)が楽しみに思えたドラマは最近ではめずらしい。
 それでいて、終わってしまうのがこんなにもさびしく思えたドラマもめずらしい。
 いつまでもいつまでも続いてほしかった。終わった直後は完全にちかえもんロス。
 それほどすべての登場人物が魅力的で、観ていて楽しくてしかたなかった。

 特に、最初から最後まで、何の違和感も無く、「妖精」を演じ通した万吉役の青木崇高さん、びっくり!
 最後のまさかのオチ、万吉の正体にも、びっくり!びっくりした上に、あまりのことに目頭が熱くなってしまった。
 こんなことだとはまさか夢にも思わなかったんだけれど、人形浄瑠璃がテーマの作品なので、ある意味これは必然、やられた~~、という感じ。

 脚本は「平清盛」等の藤本有紀さん。あの重厚でシリアスすぎるほどシリアスなドラマの最後の最後で、死の床で熱にうなされている(それとも死んだ後だった?)清盛と頼朝を対峙させ、会話をさせるという力技のファンタジーを炸裂させた人。
 今回のドラマも、一見何の関係も無いような一つ一つのパーツが緻密に組み立てられてゆき、「曽根崎心中」という記念碑的作品へと集約されてゆく見事な「人間ドラマ」の結末が、これ。
 きっと本質はこのようなファンタジーな人なんだろう。
 今後も注目してゆきたい。


 ドラマのラストにちかえもんが書き上げた「曽根崎心中」、観たくて観たくてたまらなくなった。
 「ちかえもん」ロスを埋めるためには、何よりも「曽根崎心中」を観るのが一番。


 ・・・・と、思っていたところ、タイミングよくこのような公演が!


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 これまで文楽は何だか敷居が高くて観たことが無かったが、これはもう行くしかない!

 勉強がてら行ってみることにしました。



 5月12日(木)


 平成28年5月 国立劇場・文楽鑑賞教室

 [解説]文楽の魅力&「曽根崎心中」

  @ 国立劇場 小ホール


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 ほとんど初めて(昔大阪あたりに修学旅行か何かで行った時に観たような気がしなくもないが)、生で文楽・人形浄瑠璃を観て、驚いた。
 文楽と言えばやはり人形の印象が強かった。歌舞伎における役者がそうであるように、インパクトの強烈な人形が中心となった芸能、つまり演劇的な要素の強い芸能だとばかリ思い込んでいた。
 ところが文楽のキモは、浄瑠璃の方だった。台本。厳密に言えば台本に音楽を付けたもの。文字通りの文楽??
 状況の説明、情景描写、せりふ、さらには作者の思いまで。すべてが美しい日本語で台本に描きつくされており、それがそのまんま、情感あふれ、迫力ある音楽にのせて演奏される。
 歌舞伎のせりふ等は聴き取りにくいところが多い。
 今回観た文楽の場合、義太夫節の内容はほとんどわかった。「教室」のせいか舞台上方に台本の言葉が映しだされていたが、たぶん無くてもわかるほどだった。
 目をつぶって音だけ聞いても、十分鑑賞可能。すべての情景が心に浮かぶ。その点、オペラに限り無く近い。
 浄瑠璃作家が書いた「作品」そのものの比重がものすごく重い芸術だということがわかった。

 従って、ある意味、人形は、イマジネーションをより膨らませる幻燈のようなもの。人形はもともと現実のものではない、かりそめの姿であるから、本来そのような役割を担っていると言うこともできるだろう。しかし、実体を持たないがゆえに、そのイマジネーションはより強烈なものともなり得る。
 人形を操る苦労、その伝統を引き継いでゆく苦労は並大抵のものではないだろう。
 これ自体、かけがえの無い伝統芸能、芸術だ。
 そして、人形の動きが真に迫れば迫るほど、浄瑠璃、作者が書いた言葉が強烈に心に突き刺さることになる。
 見事な総合芸術。
 
 奏者がフルオケになって奏されるフィナーレ、圧巻。

 舞台のすべてはちかえもんの書いた「言葉」から発展したものだ。
 すべてを見終えて、「やったね、ちかえもん」と心の中で呟いていた。


 それにしても、徳兵衛さんの人形が小池徹平にしか見えなかった。



 当日は、大劇場で春の叙勲授賞式がとりおこなわれており、また、文楽教室には学校単位の観覧者も多く、劇場前にはたくさんのバスがズラリと並び、えらいことになっていた。

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 劇場内の展示。

 文楽劇場で使用された人形等。
 (「曽根崎心中」には登場しない)

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 左、奥村土牛が書いた文楽のスケッチ。右は、風神雷神が合体したような方。

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 伝統芸能情報館では、

 歌舞伎・文楽入門展を開催中だった。

 タイムリーな展示で、さまざまな角度から文楽の基礎を学べた。

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 さわやかな快晴の五月の一日だった。


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