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zoom RSS 熱いぞ、川合良一さん!真夏のシベリウス&吉松隆プログラム〜交響楽団 魁 第十一回演奏会

<<   作成日時 : 2017/07/22 19:02   >>

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 今度の日曜日(7月23日、三位一体節後第6日曜日)のカンタータは、
 どちらも後期のBWV170、BWV9、
 
 東京地方では梅雨が明けましたが、早くも真夏本番!夏の名作カンタータ。
 どちらも夏を代表する名作中の名作です。お聴き逃しなく!


 過去記事は、こちら↓


 <三位一体節後第6日曜>

    きらめく夏の、名作カンタータ・たまにはきちんと曲目解説(BWV170、9)
    思いがけない贈り物 BWV170、深夜に虹の橋が架かる〜LFJ初日緊急レポート
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  ☆    ☆    ☆



 今日は、特別な演奏会の記録。



 7月17日(日)


  交響楽団 魁 第十一回演奏会

 シベリウス 「カレリア」組曲

 吉松隆 交響曲第四番

 (休憩)

 シベリウス 交響曲第五番


  川合良一指揮、交響楽団 魁(さきがけ)

  大田区民ホール・アプリコ大ホール 


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 これまでことあるごとに書いてきたように、わたしは東京理科大学管弦楽団の大ファンだが、それはつまり常任である日本一の熱血指揮者(だとわたしは確信している)、川合良一さんの大ファンということなのかもしれない。
 
 その川合良一さんのもと、理科大オケにおいて4年間にわたる特別な時間を過ごし、卒業を迎えた楽団メンバーたちが、社会人になっても引き続き川合さんとともに音楽を奏で続けてゆきたいという「熱い思い」を実現すべく、平成19年に設立したアマチュアオケが、この交響楽団 魁

 つまり、交響楽団 魁は、理科大学オケの第2形態とでもいうべきオケで、当然川合さんカラーがより濃厚に、その個性もより強烈になっており、正に川合さんの「手兵」とも言うべきオケなのだ。


 その交響楽団 魁も、昨年設立10周年。節目となる定期演奏会を開催し、着実に歴史を刻んでいる。
 ところが、ほんとうだったらその全部を聴きに行ってもいいくらいなのに、わたしはこれまでたった一度しか魁の演奏会を聴いていない。(第6回定期、こちらの記事
 それというのも、交響楽団 魁の定期が行われるのはいつも7月末、言わば真夏の風物詩なのだが、これまでずっと、同じく真夏の祭典である新宿エイサー祭りや浅田真央さんのTHE ICEとちょうど日にちが重なって、なかなか行く機会が無く、残念な思いをしていたのだ。
 そんな中、十一回目の定期となる今年は開催が少し早まって、7月の中旬。
 早い段階から行けることがわかっていたので、ほんとうに楽しみにしていたのだが、無事、晴れて行くことができました。
 しかも、プログラムはシベリウス&吉松隆という特別なもの。
 何と、川合さんのシベリウス5番を聴くという、かけがえの無い夢のような体験をすることができた!

 折しもこの日は、梅雨の真っただ中だと言うのに良く晴れて、うだるような暑さ。
 そんな中でのシベリウス・プロ。
 普通だったら、暑い世の中を横目に涼しい午後を過ごせた、とでも言いたいところですが、
 そこは川合さんのこと、情熱が激しく燃え盛る、外の暑さにも負けない特別熱いひと時を堪能してまいりました。
 熱いけれど、しかしながら何にも増して颯爽として痛快、極上の時間。


 以下、曲目ごとに簡単な感想メモ。


 シベリウス 「カレリア」組曲

 おなじみの名曲、カレリア組曲、
 理科大オケのコンサートだったなら、颯爽とした快速調で若い情熱を爆発させるような表現が想像されるところだが(それもまた聴いてみたいところではあるけれど)、
 意外なことに?実にゆったりとした気持ちの良いテンポ。
 次々と繰り出されるキャッチーなメロディ、フレーズを、一つ一つ慈しむように奏で、重ねてゆく。それでいて、バラードの詩は切々と心に響くし、ラストの行進曲は、悠々たるテンポの中で、メロディが繰り返される度に音楽的エネルギーがどこまでもどこまでも大きく広がってゆき、もはや堂々たる巨匠風。
 渡邉暁雄氏にも親しく教えを受けたという川合さん、この人はシベリウスがほんとうに大好きなのだ。
 以前の2番やアンダンテ・フェスティーヴォの名演もあるし、この後の5番への期待が否が応にも高まった。


 吉松隆 交響曲第四番
 
 初めて聴く曲だが、とても楽しめた。

 とにかくたくさんの打楽器が登場するので、川合さんがおやじギャグを交えつつ、数々の珍しい打楽器の紹介をしてくださった。(演奏会冒頭、つまり「カレリア組曲」が始まる前)
 キラキラ音色系の音階楽器から始まり、ずらりとそろったラテン系のパーカッション、クイーカやベルツリーなど、ふだんあまり聴きなじみの無い楽器も。

 これら多種多様な打楽器群の使用をはじめ、ソロ・パートの多用による室内楽的とも言える生き生きとした各楽器のからみあい、さまざまな作曲家の作品や自作からの引用、全体的に幸福な気分の内にもめまぐるしく変化する曲調などなどが、この曲の特徴。
 作曲家本人はこの曲を「パストラル・トイ・シンフォニー」と呼んでいるそうだが、正におもちゃ箱をひっくりかえしたような音楽で、それがそれぞれ性格的な4つの楽章にコンパクトにまとまっている。
 伝統的な愛すべき「田園小交響曲」と言ったところ。
 プログラムの曲目紹介にも、「アニメの1シーンのよう」(第1楽章について)という言葉があったが、ほんとうに極上のアニメーションの名場面が次々と目の前で繰り広げられていくかのようだった。
 さらには、前記した膨大な数のパーカッションが全部で4名の奏者で演奏されるので、奏者たちがオケの向かって左後方全体に配置された大型打楽器の間を走り回り、またあちこちに置かれている小型打楽器を取り出してはしまい、また取り出してはしまったりして「バタバタ」する様子が、昔のディズニーアニメでも観ているかのようで、実際に視覚的にも楽しめた。
 4人で全部演奏するというのは指定されているようなので、この効果は始めからねらっていたのかも??

 もちろんただ楽しいだけではなく、
 夢のように美しい第3楽章アダージェット、
 コラール風の親しみやすいモチーフが、色彩的な打楽器群の複雑なリズムに支えられて豊かにふくらんでゆくフィナーレ、などなど、
 ストレートに心に響く場面も多く、文字通り、夏の午後の白日夢のような体験をすることができた。
 それにしても、このアダージェットのような音楽を演奏させると、川合さんはほんとうにすごい。
 これまで聴いてきたアンダンテ・フェスティーヴォやエニグマ変奏曲のエルガーのニムロッド(これはわたしが聴いた川合さんのベストワン)でもそうだったが、ありったけの情熱が込められていて、とにかく分厚く、壮麗に聴こえる。
 しかし、それでいて決して持たれるようなことは無く、さわやかで透明、清々しいのだ。
 そんな表現が、今回のアダージェットにもぴったりだった。

 終演後は大喝采。
 それに応えつつ、指揮台に置かれていた楽譜を高らかに掲げ、拍手はこの曲に!というポーズをとる川合さん。
 この人はこういう人なのだ。

 ちなみにこのアダージェット、とにかくただひたすら美しいのだが、演奏がこれまた見事だった分、「オルゴールの歌」といわれる部分がピアノによって演奏されるところが少し気になった。
 この交響曲、いくら幸福な小交響曲とは言えそこは現代音楽、実はけっこうシニカルな部分も含んでいる。この「オルゴールの歌」の部分、ピアノによる演奏だと、あまりにもベタになりすぎてしまって、わたしのように心のひねくれた聴き手には、もしかしたら何か隠された意図があるのでは?などと思えてしまうのだ。
 だから、この部分、額面通り「オルゴールの歌」としての純真さを表現しているのならば、それを彷彿とさせるような音色の楽器の方がより浸れたのだけど。


 (休憩)


 シベリウス 交響曲第五番


 カレリア組曲、吉松隆の交響曲、といい流れで演奏会が進み、満を持してシベリウスの大曲。

 これが涙があふれんばかりの名演だった。
 

 ヤルヴィおじいさん、セーゲルスタム、ヴァンスカ、カム、尾高&札響、これまで幾多の名演に接してきた曲。特に2015年の生誕150年の年には「シベリウス巡礼」というのを個人的に実施し、集中的に聴きまくったことは記憶に新しい。(記事、こちら
 今回の第5、それらのキラ星の如き名演にも決して負けない演奏だったと思う。
 もちろん音楽に優越をつけることなど絶対にできないし、優越をつけたところでまったく意味は無い。
 ただ、いかに川合さん&魁の第5がすごかったか、ということを強調しておきたいのだ。
 
 確かにシベリウスのスペシャリストと言われる世界的な大家&プロのオケによる演奏はすばらしかった。途中の瞬間瞬間では、これらの演奏の方に、さすがと思わせる場面(しかも、一生忘れることができないようなシーン!)が多かったことも確か。
 4番、あるいは6番、7番という曲では、これらの演奏に迫るのはなかなか困難だったかもしれない。 
 ところが、5番はちょっとちがう。
 5番も、6番や7番と同じく、始めから終わりまでが魅力的な瞬間と言える「シベリウスらしい」超名曲ではあるが、この曲の場合、各楽章すべてに、それまで積み重ねられてきたありとあらゆる問題が一挙に解決し、すべてが報われるような特別な瞬間が用意されている。
 つまり起承転結がはっきりとしているわけで、これこそが人気曲たる所以だと思う。
 そして、そんなここぞという特別な瞬間における川合さん&魁の表現が、とにかくすさまじかった!
 これまで聴いたどんな演奏よりも、飛びぬけて強烈に心に突き刺さってきた。

 
 第1楽章第1部、羽ばたこうとしていた鳥が、ついに大きな風に乗るような瞬間の、実際に全身に風を受けるかのような爽快感!
 第1楽章第2部、ブルックナーの最高のスケルツォみたいな、無垢な魂の炸裂!
 第2楽章、さまざまな変奏が繰り返された後の、すべてを暖かく受け止めるようなやさしい微笑み。ここなどは天から光が降り注いでくるかのよう。
 何もかもが、打ち震えるような真摯さをもって胸に迫ってくる。

 そして、全曲のクライマックス、フィナーレ3楽章のあの衝撃的なラスト。
 このフィナーレを聴くと、いつも、昔の冒険飛行機小説を思い出す。
 いつのまにかとんでもないところまで飛んできてしまって、それでも上昇を続けていて、次々と世界が広がっていく。
 これ以上行ってもいいんだろうか、帰れなくなってしまうのではないだろうかととまどいながらも、なおも上昇を続け、ついにすべてを突き抜けて、光あふれる空間にに飛び込んでしまう。
 そんなラスト。
 もちろんそのような「物語」が音楽にあるわけではない。そのような標題を表現しようとしているわけでもない。あくまでも例えだ。そんな音楽だということ。
 言葉にすることができない音楽を無理やり言葉にしているだけ。
 川合さん&若い楽団たちの演奏、この最後の突き抜け方が圧巻だった。
 何かの力が作用して導かれたり、押し上げられた、というのではなく、若い力、意志の力によって光の中に突き抜けた、というか。
 すばらしいエンディング、すばらしい演奏だった。


 会場の興奮さめやらぬ中、アンコール。

 吉松隆 ベルベット・ワルツ


 若い頃の作品を、作曲家自身が今回の演奏会のためにフル・オーケストラ用に編曲したヴァージョンとのこと。もちろん、世界初演。

 わたしははっきりとはわからなかったが、交響曲第4番にも引用されていたらしい。 

 きらきらときらめくようなワルツ、
 夏の日の、この特別な午後をしめくくるのにふさわしい1曲。


 アンコール

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 全体を通して聴いて、音楽の流れがとても良かった。
 
 シベリウスの2大名曲の間に吉松隆の愛すべき作品を置いたことによって、それぞれの良さが際立ち、お互いを生かしていたように思う。
 しかも、全体が混然一体となって5番のラストのクライマックスになだれ込んでいた。

 シベリウスを信奉していることでも有名な吉松隆。他ならぬシベリウスとの「協同作業」によって、今回の演奏会のような若い力が結集した特別な舞台を実現させたということは、作曲家としてもも幸福なことなのではないだろうか。

 すべては川合さんの挑戦でもある。
 「魁」の「魁」たるゆえん。
 これは今後も期待大!



 パンフの魁の字に、蒼い炎。

 理科の時間に、赤い火よりも青い火の方が温度が高いと習った。 

 そのものずばりの熱い夏の一日。
 
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 会場への道


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 夏空を映すビルディング。

 この左側の低い建物が大田区民ホール。

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 大ホール・本日の催し物が空白になっていて、一瞬、まちがえたか??と青くなる。

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 本物の樹が植えられている気持ちの良いエントランス。

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 ようやく、看板が。

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 会場 アプリコ大ホール

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 蒲田

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 品川

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 浜松町

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 梅雨明け間近。

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 梅雨明け。

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