三位一体節 初夏の花と樹木
まずは、先週のカンタータを聴いた一口コメントから。
いずれも、ヘンスラー全集のリリング盤。
初夏の大祭、精霊降臨節のカンタータは名曲ぞろい!
バッハの最後期を飾る、夏の扉を開け放つコンチェルト、BWV34、
バッハの全カンタータの中でも、最も短く、そして美しいアリア、美が結晶化したような珠玉のソプラノ・アリアを抱くツィーグラー・カンタータの傑作、BWV74、
これまで何度も取り上げてきたこの2曲は、とりあえずがまんして、
今回はその他の曲を。
まずは、ケーテンの世俗カンタータのパロディ、1年目のBWV184。
冒頭のレチタティーヴォからデュエットアリアにかけて、
さわやかな光きらめき、そよ風吹き渡る初夏の夏空を、ふわふわした雲に乗って、どこまでもどこまでも漂ってゆくような感覚!バッハのカンタータを聴く醍醐味!
アリアの中間部、春とはまた異なる、いかにも夏らしい陰影に満ちた表現も気持ちがよい。
同じく1年目のBWV173と、それからツィーグラー・カンタータのBWV175の2曲も、ケーテンのカンタータを起源とするもの。
このBWV184、173、175の3曲、レチタティーヴォからゆるゆると始まる牧歌的な雰囲気がたまらない。
その後に、バラエティ豊かなさまざまなアリアの花園が続く。
ケーテンのカンタータのパロディこそ、バッハのカンタータのキモの一つ。
バッハの傑作の森、ケーテン時代の失われた作品たち、誰も知らない第7、第8のブランデンブルク・コンチェルトを実際に耳にする幸福、宝物を探す楽しみ。
そして、後期、ピカンダー・シリーズのBWV174。
正にこの曲は、そのものズバリのブランデンブルク・コンチェルトで幕を開けます。より大規模に、壮麗に編曲された第3番の1楽章。
それに続くすべてのアリアの大らかさ、愛おしさ!
さて、以上、何週間かにわたって、復活節から精霊降臨節まで、春から夏にかけての名作カンタータを聴いてきました。
非常事態制限下の外出自粛生活、ある意味失われた春~初夏になってしまったわけですが、その時間を利用して改めてカンタータと向き合い、耳を傾け、それをこうして記録することにより、バッハがわたしたちにプレゼントしてくれた季節感にどっぷりつかり、別の意味での深い季節の流れを体感することができたような気がします。
この時期のカンタータには、上記したようなケーテンの失われた作品からのパロディが多いことも、そのかけがえの無い体験をより大きなものにする重要な要因だったような気がします。
と、いうわけで、カンタータ鑑賞一口コメント、これでいったん終了。
また、折に触れて再開できたら、と思っておりますので、よろしく。います。
さて、今日(6月7日)は三位一体節。
カンタータは、
初期の、BWV165、
2年目、ツィーグラー・シリーズ最終曲、BWV176、
後期(1726 or 27?)のコラール・カンタータ年巻補完作(全詩節テキスト・カンタータ)の名品、BWV129、
の3曲。
後年、三位一体節に上演されたことがある曲としては、1年目のオルガン献堂式用カンタータ、BWV194も忘れてはなりません。
BWV190番台、「カンタータ奥の院」の至宝です。
華麗なカンタータが続いた春~初夏シーズンもこれで一段落。
来週からは、1年の後半である夏~秋のシーズンが始まり、三位一体節後第○日曜日という祭日が続くようになります。
バッハはちょうどこの時期にライプツィヒに赴任してデビューしていますので、何種類か現存するバッハのカンタータ年巻も、ちょうどこれから始まります。
1年を通じて、それぞれの季節ごとにわたしたちの生活を彩ってくれる、バッハの生涯最高最大の「作品」、「カンタータ年巻」!
それを聴き始めてみよう、という方、絶好のチャンスです。
バッハのカンタータ、聴きたいけれど、何から聴いてよいのかわからない、という方、
移り変わる季節に合わせて、それぞれの年代の個性の異なる「年巻」をまとめて聴いていくことが、気が長いようでいて実は最も効率的な方法なのではないかと思います。
バッハの生涯最大最高の「作品」、第2年巻「カンタータ年巻」をはじめ、
さまざまなチャレンジに満ちた、若々しい覇気が漲る第1年巻、
後期の円熟が結実した、気宇壮大な自由闊達の境地、ピカンダー年巻などなど、
それぞれバラエティに富んだ魅力にあふれた「年巻」の世界を、四季の移ろいに合わせてじっくり時間をかけて味わってゆく楽しみ!
一歩踏み出すには、正に今がチャンス。
今後ともよろしくおつきあいください。
過去記事は、こちら↓
<三位一体節>
クイズ・3枚の絵(BWV165、129他)+新年巻が始まるにあたってのごあいさつ
始まりはいつも Overture(BWV194)
BWV190番台の麗しき迷宮・カンタータ奥の院に踏み入る(BWV194)












いずれも、ヘンスラー全集のリリング盤。
初夏の大祭、精霊降臨節のカンタータは名曲ぞろい!
バッハの最後期を飾る、夏の扉を開け放つコンチェルト、BWV34、
バッハの全カンタータの中でも、最も短く、そして美しいアリア、美が結晶化したような珠玉のソプラノ・アリアを抱くツィーグラー・カンタータの傑作、BWV74、
これまで何度も取り上げてきたこの2曲は、とりあえずがまんして、
今回はその他の曲を。
まずは、ケーテンの世俗カンタータのパロディ、1年目のBWV184。
冒頭のレチタティーヴォからデュエットアリアにかけて、
さわやかな光きらめき、そよ風吹き渡る初夏の夏空を、ふわふわした雲に乗って、どこまでもどこまでも漂ってゆくような感覚!バッハのカンタータを聴く醍醐味!
アリアの中間部、春とはまた異なる、いかにも夏らしい陰影に満ちた表現も気持ちがよい。
同じく1年目のBWV173と、それからツィーグラー・カンタータのBWV175の2曲も、ケーテンのカンタータを起源とするもの。
このBWV184、173、175の3曲、レチタティーヴォからゆるゆると始まる牧歌的な雰囲気がたまらない。
その後に、バラエティ豊かなさまざまなアリアの花園が続く。
ケーテンのカンタータのパロディこそ、バッハのカンタータのキモの一つ。
バッハの傑作の森、ケーテン時代の失われた作品たち、誰も知らない第7、第8のブランデンブルク・コンチェルトを実際に耳にする幸福、宝物を探す楽しみ。
そして、後期、ピカンダー・シリーズのBWV174。
正にこの曲は、そのものズバリのブランデンブルク・コンチェルトで幕を開けます。より大規模に、壮麗に編曲された第3番の1楽章。
それに続くすべてのアリアの大らかさ、愛おしさ!
さて、以上、何週間かにわたって、復活節から精霊降臨節まで、春から夏にかけての名作カンタータを聴いてきました。
非常事態制限下の外出自粛生活、ある意味失われた春~初夏になってしまったわけですが、その時間を利用して改めてカンタータと向き合い、耳を傾け、それをこうして記録することにより、バッハがわたしたちにプレゼントしてくれた季節感にどっぷりつかり、別の意味での深い季節の流れを体感することができたような気がします。
この時期のカンタータには、上記したようなケーテンの失われた作品からのパロディが多いことも、そのかけがえの無い体験をより大きなものにする重要な要因だったような気がします。
と、いうわけで、カンタータ鑑賞一口コメント、これでいったん終了。
また、折に触れて再開できたら、と思っておりますので、よろしく。います。
さて、今日(6月7日)は三位一体節。
カンタータは、
初期の、BWV165、
2年目、ツィーグラー・シリーズ最終曲、BWV176、
後期(1726 or 27?)のコラール・カンタータ年巻補完作(全詩節テキスト・カンタータ)の名品、BWV129、
の3曲。
後年、三位一体節に上演されたことがある曲としては、1年目のオルガン献堂式用カンタータ、BWV194も忘れてはなりません。
BWV190番台、「カンタータ奥の院」の至宝です。
華麗なカンタータが続いた春~初夏シーズンもこれで一段落。
来週からは、1年の後半である夏~秋のシーズンが始まり、三位一体節後第○日曜日という祭日が続くようになります。
バッハはちょうどこの時期にライプツィヒに赴任してデビューしていますので、何種類か現存するバッハのカンタータ年巻も、ちょうどこれから始まります。
1年を通じて、それぞれの季節ごとにわたしたちの生活を彩ってくれる、バッハの生涯最高最大の「作品」、「カンタータ年巻」!
それを聴き始めてみよう、という方、絶好のチャンスです。
バッハのカンタータ、聴きたいけれど、何から聴いてよいのかわからない、という方、
移り変わる季節に合わせて、それぞれの年代の個性の異なる「年巻」をまとめて聴いていくことが、気が長いようでいて実は最も効率的な方法なのではないかと思います。
バッハの生涯最大最高の「作品」、第2年巻「カンタータ年巻」をはじめ、
さまざまなチャレンジに満ちた、若々しい覇気が漲る第1年巻、
後期の円熟が結実した、気宇壮大な自由闊達の境地、ピカンダー年巻などなど、
それぞれバラエティに富んだ魅力にあふれた「年巻」の世界を、四季の移ろいに合わせてじっくり時間をかけて味わってゆく楽しみ!
一歩踏み出すには、正に今がチャンス。
今後ともよろしくおつきあいください。
過去記事は、こちら↓
<三位一体節>
クイズ・3枚の絵(BWV165、129他)+新年巻が始まるにあたってのごあいさつ
始まりはいつも Overture(BWV194)
BWV190番台の麗しき迷宮・カンタータ奥の院に踏み入る(BWV194)












この記事へのコメント