デュフィ展 at 鎌倉大谷記念美術館~青春の鎌倉再訪記 Vol.1(予告編)
開館10周年記念 「デュフィ展」 at 鎌倉大谷記念美術館
(~8月25日(土)まで)
鎌倉は、わたしにとって、青春の街です。
中学生の頃、仲のよかったS君が歴史好きで、夏休みや冬休みには、毎週のようにいっしょに鎌倉に遊びに行きました。
それが高じて、3年生の夏休みには、鎌倉を舞台にしたビデオ映画まで撮って、文化祭で上映しました。
ほとんど誰も見ませんでしたが。わたしが見てもつまらなかった。
(昔書いたE君のことといい、今から考えると、ほんとにあきれるくらい人から影響を受けやすい中学生時代でした。わたしの仏教美術好きは、完全にこの名残りです)
その後も、引き続き、デート(らしきもの)などで、鎌倉(+湘南)にはよく行きました。
そのころになると、いろいろな新しい店なども増え始め、鎌倉は、だんだんと幅広い魅力を持った街になってきました。
社会人になって仕事がいそがしくなってくると、さすがに、行く回数が減ってきました。
それでも、たまに、ふらっと訪れたり、花火を見に行ったりしていたのですが、
やがてそれもなくなり、ここ数年の間はまったく行く機会がありませんでした。
TVなどで見て、少しずつ変わっていく様子を見て、気にはしていましたが。
昔、わたしがよく行っていた時にはまだ無かった美術館で、(10年前にできたらしい)
わたしの好きなデュフィの展覧会をやっているのを知ったのは、つい最近のことです。
夏の鎌倉で、デュフィを見る。
考えただけでステキです。
わたしは、この機会に、ひさしぶりに、鎌倉を訪れよう、と、決心しました。
今では、最寄のターミナル駅の池袋から、直通列車も出ていて、(湘南新宿ライン)
以前よりもかんたんに鎌倉にいくことができるのも、うれしいです。
と、いうわけで、お盆休みもあとわずかになった、8月18日の土曜日、
突然それまでの猛暑がうそのようにやわらいだすきに、
ついに、何年かぶりに鎌倉を再訪、
デュフィ展を見てまいりました。
* * *
鎌倉大谷記念美術館は、駅の西側、御成小学校のさらに裏手あたり、
深く入りこんだ佐助の谷戸の途中、深い緑に囲まれた小高い丘の、南に面した中腹に、
ひっそりと佇んでいます。
この美術館は、デュフィのコレクションに力を入れているそうで、
さすがにそう言うだけあって、
開館10周年記念のこのデュフィ展は、
デュフィお得意の海、競馬、音楽の絵のうち、それぞれ最良と言ってよい絵が、
バランスよくそろえられていました。
まあ、色彩と造形の魔法が、キャンパス上で現実になったかのような、デュフィの作品の美しさについては、ここであらためて繰りかえす必要は無いでしょう。
それよりも何よりも、ここでぜひ特筆しておきたいのは、
この美術館そのもののすばらしさ、です。
これには、ほんとにびっくりしました。
ホテルニューオータニ前会長の自宅を、ほとんど手を加えず、そのまま、美術館にしたそうです。
古い洋館というわけでも、驚くほどの豪邸というわけでもありません。
階段のある吹き抜けを別にすれば、1F、2Fとも、それほど広くない部屋が数部屋程度の、まあ、ちょっと大きいかな、というくらいの邸宅です。
ただ、外装、内装、ともに、ずばぬけてすばらしい!
建物のデザイン、仕様から、照明や家具の一つ一つにいたるまで、一見して手が混んでるなあ、と、ためいきがでてしまうほど、ぜいたくの極みです。
それらのすべてが決して悪趣味になることなく、美しく溶け合い、驚くほど上品で快適な空間を創りだしています。
わたしはこれまで、さまざまな洋館等を見てきましたが、その中でも、最高といっていいくらいの品格。
ほんとうのお金持ちというのはこういうものか、なんて、思ってしまった。
(室内は撮影禁止なのが残念)
そして、そんな居心地の良い各部屋に、それぞれ4、5枚ずつ、絵が飾ってあります。
このデュフィ展の場合は、この部屋には海の絵、この部屋には競馬の絵、音楽の絵、と言うぐあい。
各部屋には、南に面した大きな窓があり、やわらかな自然光が差し込んでいます。
窓からは、美しい庭と、緑に包まれた鎌倉の街、その向こうには海が眺められます。
1階の中央には、庭に張り出したサンルームがあり、その光あふれるその空間には、たくさんの植物と、ステキなテーブルとイスが置かれていて、
絵を見る合間に、すばらしい風景を眺めながら、ゆっくりとくつろぐこともできます。
*パンフより
もちろん庭に出て、すがすがしい海風にあたることもできる。
室内にいても、両側を覆う森からせみの合唱が響いてきますが、それ以外は静まり返っていて、何の物音もしません。かえって感じる静寂。
このような最高の環境で、デュフィの最高の芸術を、思う存分堪能できる幸せ!
この日は、来館者も少なく、
まるで、この家に招待されて、ゆっくりと家と絵を見せていただいているような、
そんな何物にも代えがたい、思いっきりぜいたくな気分に、どっぷりとつかることができました。
せっかくなので、この日見た、デュフィの絵もいくつかご紹介しましょう。
▽ 海の絵代表 「トゥルーヴィルの波止場」
▽ 競馬の絵代表 「ドーヴィルの競馬」
▽ デュフィお得意のもう一つのテーマ、パノラマ風景 「パリの風景」
▽ そして、音楽の絵代表 「黄色いコンソール」
この展覧会の一番の目玉。この美術館の至宝でもあります。
見ているだけで、ほんとうに、音楽が聴こえてきそうな傑作。
階段を上りきったホールに飾ってありましたが、
よーく見ると、びっくり。
何と、絵の下に、本物のコンソール(飾り机)が・・・・!
つまり、絵と同じ状態が再現されているわけ。
しかも、これ、実際にデュフィの部屋にあった、絵に描かれたコンソールだそうです。
見比べると、まったく同じ。造形、細かい装飾、質感、まったく同じ。
一見いかにもいいかげんなタッチのデュフィですが、あらためて彼のすさまじいばかりの絵のうまさを思い知らされました。
この絵をテーマにした、オリジナルCDも発売されています。
収録されているのは、もちろん、バッハ、モーツァルト、ドビュッシー。
なぜ、この3人なのかは、こちらの記事をご覧ください。
▽ これがオリジナルCD。なかなか良い選曲。
思わず買ってしまったけど、誰が演奏していることやら。
さて、この日、美術館をゆっくりと楽しんだ後は、
のんびり、ひさしぶりの鎌倉散策を、楽しみました。
ここに、一冊の古い本があります。
カラー版・鎌倉の散歩道 富岡畦草著、写真 (山と渓谷社)
昔、(もう15年以上も前です)参考にしていたガイドで、
季節ごとに12のテーマを決めてコースを設定し、紀行文風に、実に細かくわかりやすく、ポイントを紹介していて、
写真もきれいでおもしろく、捨てられずにいました。
今のブログの走りみたいな感じ。
ひさしぶりだったので、この日美術館に行った後は、
この本の、<第四章・花の寺あちこち>のコースを、そのまんまたどることにしました。
具体的には、
由比ガ浜大通りと平行して、鎌倉文学館等のある、鎌倉屈指の古いお屋敷街を歩き、
それから、甘縄神明社前から長谷の方にぬけ、長谷の古寺をたずねる、
と、いうものです。
このコースが、ことのほかすばらしかったので、
この前の北海道の時のように、あらためて、細かくご紹介していきたいと思います。
それでは、次回以降に続く。
<鎌倉大谷記念美術館およびこの日のコースの参考地図>
(地図の真ん中に、ハタが立ってますが、何の関係もありません。
ウェブリマップというのを初めて使ったら、便利なのですが、使い方がよくわからない。
美術館にハタを立てようとすると、今度は、駅などが消えてしまうのです。
まあ、とりあえず、ハタは気にしないでください。)
(~8月25日(土)まで)
鎌倉は、わたしにとって、青春の街です。
中学生の頃、仲のよかったS君が歴史好きで、夏休みや冬休みには、毎週のようにいっしょに鎌倉に遊びに行きました。
それが高じて、3年生の夏休みには、鎌倉を舞台にしたビデオ映画まで撮って、文化祭で上映しました。
ほとんど誰も見ませんでしたが。わたしが見てもつまらなかった。
(昔書いたE君のことといい、今から考えると、ほんとにあきれるくらい人から影響を受けやすい中学生時代でした。わたしの仏教美術好きは、完全にこの名残りです)
その後も、引き続き、デート(らしきもの)などで、鎌倉(+湘南)にはよく行きました。
そのころになると、いろいろな新しい店なども増え始め、鎌倉は、だんだんと幅広い魅力を持った街になってきました。
社会人になって仕事がいそがしくなってくると、さすがに、行く回数が減ってきました。
それでも、たまに、ふらっと訪れたり、花火を見に行ったりしていたのですが、
やがてそれもなくなり、ここ数年の間はまったく行く機会がありませんでした。
TVなどで見て、少しずつ変わっていく様子を見て、気にはしていましたが。
昔、わたしがよく行っていた時にはまだ無かった美術館で、(10年前にできたらしい)
わたしの好きなデュフィの展覧会をやっているのを知ったのは、つい最近のことです。
夏の鎌倉で、デュフィを見る。
考えただけでステキです。
わたしは、この機会に、ひさしぶりに、鎌倉を訪れよう、と、決心しました。
今では、最寄のターミナル駅の池袋から、直通列車も出ていて、(湘南新宿ライン)
以前よりもかんたんに鎌倉にいくことができるのも、うれしいです。
と、いうわけで、お盆休みもあとわずかになった、8月18日の土曜日、
突然それまでの猛暑がうそのようにやわらいだすきに、
ついに、何年かぶりに鎌倉を再訪、
デュフィ展を見てまいりました。
* * *
鎌倉大谷記念美術館は、駅の西側、御成小学校のさらに裏手あたり、
深く入りこんだ佐助の谷戸の途中、深い緑に囲まれた小高い丘の、南に面した中腹に、
ひっそりと佇んでいます。
この美術館は、デュフィのコレクションに力を入れているそうで、
さすがにそう言うだけあって、
開館10周年記念のこのデュフィ展は、
デュフィお得意の海、競馬、音楽の絵のうち、それぞれ最良と言ってよい絵が、
バランスよくそろえられていました。
まあ、色彩と造形の魔法が、キャンパス上で現実になったかのような、デュフィの作品の美しさについては、ここであらためて繰りかえす必要は無いでしょう。
それよりも何よりも、ここでぜひ特筆しておきたいのは、
この美術館そのもののすばらしさ、です。
これには、ほんとにびっくりしました。
ホテルニューオータニ前会長の自宅を、ほとんど手を加えず、そのまま、美術館にしたそうです。
古い洋館というわけでも、驚くほどの豪邸というわけでもありません。
階段のある吹き抜けを別にすれば、1F、2Fとも、それほど広くない部屋が数部屋程度の、まあ、ちょっと大きいかな、というくらいの邸宅です。
ただ、外装、内装、ともに、ずばぬけてすばらしい!
建物のデザイン、仕様から、照明や家具の一つ一つにいたるまで、一見して手が混んでるなあ、と、ためいきがでてしまうほど、ぜいたくの極みです。
それらのすべてが決して悪趣味になることなく、美しく溶け合い、驚くほど上品で快適な空間を創りだしています。
わたしはこれまで、さまざまな洋館等を見てきましたが、その中でも、最高といっていいくらいの品格。
ほんとうのお金持ちというのはこういうものか、なんて、思ってしまった。
(室内は撮影禁止なのが残念)
そして、そんな居心地の良い各部屋に、それぞれ4、5枚ずつ、絵が飾ってあります。
このデュフィ展の場合は、この部屋には海の絵、この部屋には競馬の絵、音楽の絵、と言うぐあい。
各部屋には、南に面した大きな窓があり、やわらかな自然光が差し込んでいます。
窓からは、美しい庭と、緑に包まれた鎌倉の街、その向こうには海が眺められます。
1階の中央には、庭に張り出したサンルームがあり、その光あふれるその空間には、たくさんの植物と、ステキなテーブルとイスが置かれていて、
絵を見る合間に、すばらしい風景を眺めながら、ゆっくりとくつろぐこともできます。
*パンフより
もちろん庭に出て、すがすがしい海風にあたることもできる。
室内にいても、両側を覆う森からせみの合唱が響いてきますが、それ以外は静まり返っていて、何の物音もしません。かえって感じる静寂。
このような最高の環境で、デュフィの最高の芸術を、思う存分堪能できる幸せ!
この日は、来館者も少なく、
まるで、この家に招待されて、ゆっくりと家と絵を見せていただいているような、
そんな何物にも代えがたい、思いっきりぜいたくな気分に、どっぷりとつかることができました。
せっかくなので、この日見た、デュフィの絵もいくつかご紹介しましょう。
▽ 海の絵代表 「トゥルーヴィルの波止場」
▽ 競馬の絵代表 「ドーヴィルの競馬」
▽ デュフィお得意のもう一つのテーマ、パノラマ風景 「パリの風景」
▽ そして、音楽の絵代表 「黄色いコンソール」
この展覧会の一番の目玉。この美術館の至宝でもあります。
見ているだけで、ほんとうに、音楽が聴こえてきそうな傑作。
階段を上りきったホールに飾ってありましたが、
よーく見ると、びっくり。
何と、絵の下に、本物のコンソール(飾り机)が・・・・!
つまり、絵と同じ状態が再現されているわけ。
しかも、これ、実際にデュフィの部屋にあった、絵に描かれたコンソールだそうです。
見比べると、まったく同じ。造形、細かい装飾、質感、まったく同じ。
一見いかにもいいかげんなタッチのデュフィですが、あらためて彼のすさまじいばかりの絵のうまさを思い知らされました。
この絵をテーマにした、オリジナルCDも発売されています。
収録されているのは、もちろん、バッハ、モーツァルト、ドビュッシー。
なぜ、この3人なのかは、こちらの記事をご覧ください。
▽ これがオリジナルCD。なかなか良い選曲。
思わず買ってしまったけど、誰が演奏していることやら。
さて、この日、美術館をゆっくりと楽しんだ後は、
のんびり、ひさしぶりの鎌倉散策を、楽しみました。
ここに、一冊の古い本があります。
カラー版・鎌倉の散歩道 富岡畦草著、写真 (山と渓谷社)
昔、(もう15年以上も前です)参考にしていたガイドで、
季節ごとに12のテーマを決めてコースを設定し、紀行文風に、実に細かくわかりやすく、ポイントを紹介していて、
写真もきれいでおもしろく、捨てられずにいました。
今のブログの走りみたいな感じ。
ひさしぶりだったので、この日美術館に行った後は、
この本の、<第四章・花の寺あちこち>のコースを、そのまんまたどることにしました。
具体的には、
由比ガ浜大通りと平行して、鎌倉文学館等のある、鎌倉屈指の古いお屋敷街を歩き、
それから、甘縄神明社前から長谷の方にぬけ、長谷の古寺をたずねる、
と、いうものです。
このコースが、ことのほかすばらしかったので、
この前の北海道の時のように、あらためて、細かくご紹介していきたいと思います。
それでは、次回以降に続く。
<鎌倉大谷記念美術館およびこの日のコースの参考地図>
(地図の真ん中に、ハタが立ってますが、何の関係もありません。
ウェブリマップというのを初めて使ったら、便利なのですが、使い方がよくわからない。
美術館にハタを立てようとすると、今度は、駅などが消えてしまうのです。
まあ、とりあえず、ハタは気にしないでください。)
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