月に向かってさよなら、ムーンライダーズ。そして常にそこにいてくれるあがたさん【マリアのお告げの祝日】

 今度の日曜日(3月25日)は、マリアのお告げの祝日。


 レントの期間中ではありますが、闇の中に輝きわたる希望のカンタータ、BWV1の登場です。
 バッハは、レント中でも、マリアのお告げの祝日と棕櫚の日曜日が重なった時だけ、例外的にカンタータを書きました。
 今年の棕櫚の日曜日は、まだ1週先で、4月1日、それに続く週が受難週ということになります。

 今日の東京は、風が強いものの、少し暖かくなってきましたが、復活節ももう間もなくです。

 カンタータ第1番 「明けの明星の、なんと美しく輝くことか」(暁の星のいと麗しきかな) BWV1

 第2年巻、コラールカンタータ年巻の最終作にして、すべての始まりを高らかに告げる、バッハの全カンタータ、いや、全作品の最高傑作のひとつ。

 まだまだ寒さの厳しいところもあると思いますが、バッハの書いた春を待つ音楽に耳を傾けましょう。

 なお、四旬節期間中のカンタータとしては、
 同じくマリアのお告げの祝日+棕櫚の日曜日のためのカンタータ、こちらは初期作のBWV182
 その他、
 同じく初期のアルト・ソロカンタータの名作、BWV54
 BWV1と並ぶ名作中の名作のコラールカンタータ、BWV80の初期稿、BWV80a
 があります。


 BWV1他のカンタータについての過去記事は、こちら。↓


 <四旬節>
     四旬節第4日曜(BWV54)
  
 <マリアのお告げの祝日>
    マリアとバッハ~はじめて聴くカンタータ
    旅の終わりとあけの明星・終わりは始まり(BWV1)その1
    春の夜のダンス(BWV1)その2
    カンタータ第1番「あけの明星の、なんと美しく輝くことか」 BWV1

 <棕櫚の日曜日>
    旅の終わりとあけの明星・終わりは始まり(BWV1)その1
    春の夜のダンス(BWV1)その2
    大きな大きな物語(BWV182)



 さて、まだまだ続く、今年聴いたCDの感想。



 また、昨年のことからで恐縮だが、

 昨年の11月11日、(この日の夜は、満月の美しい、冴え冴えとした夜だったと思う)
 突然、ムーンライダーズが、無期限活動休止を宣言、
 すぐに、ラスト・アルバム”Ciao!”をリリース、
 年末のライブをもって、ほんとうに、何かの冗談なんかではなく、その「無期限活動休止」にはいってしまった。

 従って、今年から、つまり今現在、この世界にあのムーンライダーズは、とりあえず現役では存在していないことになる。

 何年活動していなくても、これまでこの日本に、東京に、常に存在し続けていたムーンライダーズというバンドが、今はもうどこにもいなくなってしまった。


 12月30日の、「ルーフ・トップ・コンサート」のことは知っていたが、大阪旅行から帰ったばかりのわたしは、疲れていたし、寒そうなので、わざわざ行きはしなかった。
 声を大にして、ムーンライダーズファンだ、と繰り返してはいても、ほんとうに夢中になっていたのはかなり昔のことで、今はそんな接し方をしているにすぎない。
 でも、あのバンドがもはやどこにも存在しない、というのは、やはり大きなショックで、何だか途方に暮れている。



▽ トーハクで観た、与謝蕪村の「山野行楽図屏風」
 
 右隻には、月に照らされた、芒洋たる山野をゆく騎馬の男たちが描かれている。
 正に、月光騎士団(ムーンライダーズ)。
 それぞれ誰かに似ている?
 涙がこぼれそうになった。
 
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 この絵に関する詳しい記事は、こちら



 Chao!は、年が明けてから、ゆっくりと聞いてみた。


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 ちょっと聴くと、いつもと何ら変わりはしない、ムーンライダーズ。

 ただ、聴き進めるにつれ、次々と紡ぎだされる言葉が、何もかもがおかしくなってしまったような現在の現実の世界を色濃く映し出していることを、痛感するようになった。

 いつもはるか遠くを見つめるような視線でとらえれていた世界。
 それがリアルにすぐそばに迫ってしまった、ということか。 

 そして、そのことも含めて、メンバーの全員が、これまでにないような感傷=センチメンタリズムをもって、音楽をつくり、奏でている。

 岡田さんの「ハロー、マーニャ小母さん」、
 かしぶちさんの「Rain Rain」、
 博文さんの「折れた矢」や「オカシな救済」、
 白井良明さんの「Masque-Rider」、
 武川さんの「無垢なままで」や「弱気な不良 Part-2」、
 
 それぞれのメンバーならではの極めて個性的な世界、しかし、まちがいなくムーンライダーズの世界、その最良の姿といってもいい歌が、ずっと続く。
 けっして、最高傑作などではない、最良といってもいい、くらいの、いい感じの歌。

 それにしても、「ムーンライダーズの歌」でなくなった時、これらの人たちの歌を、これまでと同じように聴くことが、はたしてどれくらいあるのだろうか。

 慶一さんはいつもとほとんど変わらない。
 そして、すべてのヴォーカルを慶一さんがとり、「アビーロード」でポールがやったように、何かを必死でつなぎとめようとしているかのようだ。

 やがて、
 児童合唱+ストリングス付き、これまでの「ムーンライダーズ」とアーティスト・イメージからは最も遠いところにあると思われる、かしぶちさん渾身の、「壮大」な、「ラスト・ファンファーレ」、(この歌には、「愛の園」という言葉まで登場する)
 そして、慶一さん&岡田さんのラストソング、「蒸気でできたプレイグラウンド劇場で」を聴き、
 ああ、この人たちは、ほんとうにやめるつもりなんだ、と、わかった。



 「鬼火」、「Frou Frou」、「だるい人」、「トンピクレンッ子」、

 「ボクハナク」、「涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない」、

 「Kのトランク」に「スカーレットの誓い」、

 「さよならは夜明けの夢に」、

 そして、「9月の海はクラゲの海」と「くれない埠頭」・・・・、

 12月の一連のさよならライブで歌われた歌たち。


 これらは、みんな、わたしが、「ほんとうに夢中になっていた」頃の歌だ。

 やっぱり、行けばよかった。というか、当然行くべきだった。
 わたしはばかなんだろうか。日本で一番好きだったバンドの最後を見とどける(聴きとどける?)ことができなかった。



 さて、「去る人」あれば、あいかわらずいつもすぐそばに、踏みとどまり続けてくれる人あり。

 「もう一人のライダーズ」、あがたさん。


 あがたさん、ちょっと目を離すと、内容がまるで想像もつかないようなCDを何枚もリリースしたり、思いもかけない(というか誰だかわからない)アーティストとライブ活動を行ったり、さらには記憶に新しいドラマ「妖怪人間ベム」での怪演?などなど、
 あいかわらず予測をはるかに超える活発な活動を続けているようだが、
 この度、古き良きヴァージンVSの世界に限りなく接近するような、わたしなどからすると、正に夢のようなアルバムをリリースしてくれた。


 コドモアルバム あがた森魚と山崎優子(すてれおでいびす)


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 ユニット、「あがた森魚と山崎優子」のデビュー・アルバム。

 公式HPによると、川口の今年閉鎖されてしまうとある工場でのライブから誕生したこのアルバム、
 それにふさわしく、ガレージ色を感じさせる勢いのあるサウンドで、冒頭から、ぎんぎんのロック、あがたさん久々の渾身のシャウトも炸裂。
 山崎裕子さん(誰?)の歌声も、あがたさんの声に妙に合っていて、あがたさんの歌のくせ、ツボも完璧につかんでいて、そういう意味でも、ヴァージンVSのヒカルやリッツを彷彿とさせる。(声の質はまるでちがうけど)

 はるか時空を超え、新しい声を得て、ヴァージンVSが、「2011年の日本」のために歌を届けてくれた?
 いや、冷静になって聴いてみると決してそんなに似ているわけでもないんだけれど、そんな夢を見させてくれるようなアルバム。
 力強いロックンロールは、やがて、「永遠の遠国」に通じるような、ある種祈りを思わせる静けさの中に収斂されていく。
 
 あがたさんが、こんなにも、リアルな世の中と直結したことを歌うのはめずらしい。
 あと、後半登場する、あがたさんのこてこてのブルースというのもめずらしい。

 楽曲は、完全に共作とのことだが、どの歌も新鮮に感じられるのは、山崎さんの影響か。
 山崎さんの声も、始めはよくある声だな、と思ったが、シャウトでなく、静かに歌う部分などをよく聴くと、不思議な奥行きがある。
 これからどこまで続くのかどうか知らないが、楽しみ。


 ところで、あがたさん、今年デビュー40周年記念、ということで、
 サウンドプロデュースに白井良明さんを迎え、来月4月に、記念アルバム「女と男のいる舗道」をリリース予定とのこと。
 「あがた森魚獨唱的 卋界映畫音樂主義」 第一弾!とあり、映画主題歌集とのことですが、第1弾ということは、さらに何枚か続くのか。

 さら~に、
 春には、やはりデビュー40周年記念の全国ツアーも予定されています。
 東京公演には、白井良明さんはもちろんのこと、鈴木博文さん、武川雅寛さん、鈴木慶一さん、かしぶち哲郎さんらも出演。
 ほとんどムーンライダーズ再集結ですが、彼らはもうムーンライダーズではないのだ。



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