映画「百日紅-Miss HOKUSAI-」~映像化された「心のコミック」その1【三位一体節後4】

 今度の日曜日(6月28日、三位一体節後第4日曜日)のカンタータは、

 初期(1715年)のBWV185
 第1年巻の珠玉作、BWV24
 後期のコラール・カンタータ年巻補完の大傑作、BWV177

 の3曲です。


 第1年巻のBWV24は、バッハがライプツィヒデビューの際に超大作を連続して発表した後、ふっと力を抜いて一筆書きのように書きあげた、小規模ながら真摯極まりない、バッハの心のありのままを映しだしたかのような名品です。特に第1曲アリアは絶品。

 一方、後期のBWV177は、コラール・カンタータではありますが後期の年巻補完作だけあって、のびのびとした魅力にあふれ、いよいよ夏本番、という感じの音楽。
 後期バッハならではの、「大人のカンタータ」。


 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第4日曜>

    お気に入りのアリア5・ロマン風マリア(BWV24他)
    三位一体節後第4日曜(BWV177)



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 百日紅 -Miss HOKUSAI-

  2015年 日本 原恵一監督作品 (原作、杉浦日向子)

  @ テアトル新宿


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 * 以下、映画の写真は、
   映画館の外(一部館内の待合室)のビジョンで放映されていた予告編を撮影したもの。



 一ノ関圭の「茶箱広重」と並ぶ、「わが心の浮世絵コミック」、

 杉浦日向子さんの「百日紅」

 江戸の絵師親子、鉄蔵(葛飾北斎)とその三女、お栄(葛飾応為 )を中心に、江戸の人々の日常と江戸の街そのものを描いた作品。

 今年アニメ映画化され、評判になっているので観てきました。

 原作とあまりにもちがっていたらどうしよう、と恐る恐る行ったのですが・・・・、


 登場人物、主要なエピソード等、ほぼ原作どおり。
 基本的に、原作のいいところがしっかりと生かされている。

 病弱な北斎の四女(つまりお栄さんの妹)、お猶が主要人物として登場する点のみ、原作と大きく異なっていて、正直この部分が心配ではあったのだが、
 短いエピソードの淡々とした連なりになってしまうところが(実は原作がそうなのだ)、お猶がいることによって、映画としてのダイナミックなまとまりが生まれ、とても見応えのある作品になっていた。

 また、このお猶のおかげで、まだ壮年期の人間的に弱いところのある北斎のキャラが強調されていて、それもよかった。
(杉浦日向子さんの描く原作の北斎は、日向子さんのあこがれ、尊敬が反映されてか、もっと晩年の飄々とした仙人っぽいイメージだったように思う)

 あと、原作との違いは、お栄さんのまゆげがすごく太くなっていたことくらい?


 登場するエピソードに、「百物語」につながるような、妖怪変化や魑魅魍魎の登場する奇譚がたくさん選ばれていたのもよかった。
 北斎やお栄さんが実際に描いたような筆のタッチを効果的に使ったファンタジー・シーンは、圧巻の一言!
 原作には他にも映画にはとりあげられなかった魅力的なエピソードがたくさんあるので、この映画だけで終わってしまうのは何だかもったいなく、このクオリティのまま、十五分くらいのアニメ短編作品としてずっと続けてくれないものかと、心から思った。


 そして、何よりも、舞台となるお江戸の美しさ!楽しさ!
 作画にあまりにも気合が入っていて、どこの夢の国かと思うほど。
 そして、そんなビジュアル面での美しさはもちろんのこと、目の見えないお猶といっしょに江戸の街を逍遥することによって、街の音や香り、気配までもが強烈に五感に迫ってくる。
 にぎやかな橋のシーンでは、お約束の唐辛子売りも登場。

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 そして、その夢のように美しいお江戸の、あまり美しいとは言えない小さな部屋から、今では世界中の人々の心をとらえて離さないような芸術作品が次々と生み出されてゆく瞬間を、
 その中心にいた親子のまったく何気ない心の機微を、
 見事に描き切った作品。


▽ この部屋から、すべては生まれた。
  (このだらけてる人は、ヘタ善こと善次郎(後の栄泉) 

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▽ パンフより

 江戸の四季折々の景色がなんとも美しく、心地よい。
 
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 会場のディスプレイ。


 登場人物

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 撮影スポット

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 こんなのもあった。

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 犬を抱いてる方、誰かと思ったら、日向子さんだった。

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 原監督のインタビュー記事。

 「杏さんはアフレコに着物で来たんです」

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 お栄さんの声を演じた杏さんは、毎週観ていたTVドラマ、「デート」のイメージが強すぎて、声が同じと言うだけで、お栄さんと依子のイメージがだぶってしまって困った。
 そう言えば、何だか、似ている?

 ちなみに、杏さんと、北斎の声を演じた松重豊さんは、「デート」でも親子だった。



 映画館のビジョンで放映されていた予告編から。 

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 パンフ

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 コミックス以外で、杉浦日向子さんが残してくれた本


 左の「東京観音」(アラーキーとの共著)は、わたしの東京観仏のバイブル。

 若い頃、わたしは、御多分にもれず奈良や京都等の国宝級の仏像に夢中で、室町以降の仏像にはほとんど興味がなく、それこそ「その辺にあるような」江戸時代の仏像には見向きもしなかった。
 そんなわたしに、その辺のあるような「ご近所の仏像」の魅力、そしてそれらを訪ねる楽しさを教えてくれたのがこの本。

 この本によって、仏像に接する意識が180度変わった。
 いや、変わったわけではないな。360度のワイドレンジになった。

 右は、あまりにも有名な名著。

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