ジャズと無伴奏
山下洋輔の、無伴奏チェロ・ト長調プレリュード。
(ピアノ・ソロ)
バッハがらみのジャズはたくさんありますが、
バッハのメロディーのみを借用して、アドリブを行うだけ、というイメージがあって、正直言ってこれまで、そんなに好んで聴くほうではありませんでした。
それでも、比較的好きで、昔よく聴いたのが、このアルバムです。
あの懐かしいテーマに基づき、やりたい放題、思う存分即興演奏を繰り広げたあと、
そのクライマックスで、プレリュードの全曲が、ほぼ原曲の楽譜どおり、まるで風が吹き抜けるかのような勢いで一息に演奏され、曲が終わります。
つまり、この曲の場合、バッハの原曲がそのまんま、しかも最も効果的に利用されている、ということ。
この曲を聴けば、あのプレリュードそのものを聴いたことにもなるわけで、実際、これは今でも、ト長調プレリュードの演奏の中で、わたしが最も好きなもののひとつです。
今やすっかり流行作家になった伊坂幸太郎が、無伴奏組曲について、小説の主人公に、
「優雅で切なくて、そよ風とも嵐ともつかない」
と言わせていますが、ちょうどそんな感じでしょうか。
(作品のタイトルはちょっと思い出せません。すみません)
* * *
ところで、無伴奏といえば、すぐに映画「真夏の夜のジャズ」を思い出します。
ネイサン・ガーシュマンが薄暗い控え室?で、やはりト長調プレリュードを弾いているシーン。
どうしてこの曲なのかはよくわかりませんが、練習なのでしょう。
原曲をまじめに弾いています。(この人はもともとクラシックの人です)
でもなぜか、裸で、しかも汗をだらだらかいています。
合間に突然映し出されるニューポートの風景。
回転木馬と観覧車。野原で遊ぶ裸の子供たち。
夕暮れのビーチ。帰り支度をする人たち。ふらふら歩き回る酔っ払い。
音楽が途切れ、煙草に火がつけられ、また途中から音楽が続きます。
薄暗がりに流れる煙。
まあ、こんな感じなのですが、
このシーンだけで、いったい何人のジャズファンがバッハに走ったことか。
ガーシュマンのいたチコ・ハミルトン・バンドのライブ映像では、若きエリック・ドルフィーがちらっと映ります。
ドルフィーもまた、サックスやバスクラ、フルートの、「無伴奏」の演奏が得意だった、孤独な音楽家ですが、それはまた別の話。
そう言えば、バドと並ぶピアノの巨人、セロニアス・モンクの貴重なライブ映像も、アニタ・オデイの映像とともに、この映画前半のハイライトでした。
* これも、以前、あるHPに投稿した文章をもとにさせていただきました。
(ピアノ・ソロ)
バッハがらみのジャズはたくさんありますが、
バッハのメロディーのみを借用して、アドリブを行うだけ、というイメージがあって、正直言ってこれまで、そんなに好んで聴くほうではありませんでした。
それでも、比較的好きで、昔よく聴いたのが、このアルバムです。
あの懐かしいテーマに基づき、やりたい放題、思う存分即興演奏を繰り広げたあと、
そのクライマックスで、プレリュードの全曲が、ほぼ原曲の楽譜どおり、まるで風が吹き抜けるかのような勢いで一息に演奏され、曲が終わります。
つまり、この曲の場合、バッハの原曲がそのまんま、しかも最も効果的に利用されている、ということ。
この曲を聴けば、あのプレリュードそのものを聴いたことにもなるわけで、実際、これは今でも、ト長調プレリュードの演奏の中で、わたしが最も好きなもののひとつです。
今やすっかり流行作家になった伊坂幸太郎が、無伴奏組曲について、小説の主人公に、
「優雅で切なくて、そよ風とも嵐ともつかない」
と言わせていますが、ちょうどそんな感じでしょうか。
(作品のタイトルはちょっと思い出せません。すみません)
* * *
ところで、無伴奏といえば、すぐに映画「真夏の夜のジャズ」を思い出します。
ネイサン・ガーシュマンが薄暗い控え室?で、やはりト長調プレリュードを弾いているシーン。
どうしてこの曲なのかはよくわかりませんが、練習なのでしょう。
原曲をまじめに弾いています。(この人はもともとクラシックの人です)
でもなぜか、裸で、しかも汗をだらだらかいています。
合間に突然映し出されるニューポートの風景。
回転木馬と観覧車。野原で遊ぶ裸の子供たち。
夕暮れのビーチ。帰り支度をする人たち。ふらふら歩き回る酔っ払い。
音楽が途切れ、煙草に火がつけられ、また途中から音楽が続きます。
薄暗がりに流れる煙。
まあ、こんな感じなのですが、
このシーンだけで、いったい何人のジャズファンがバッハに走ったことか。
ガーシュマンのいたチコ・ハミルトン・バンドのライブ映像では、若きエリック・ドルフィーがちらっと映ります。
ドルフィーもまた、サックスやバスクラ、フルートの、「無伴奏」の演奏が得意だった、孤独な音楽家ですが、それはまた別の話。
そう言えば、バドと並ぶピアノの巨人、セロニアス・モンクの貴重なライブ映像も、アニタ・オデイの映像とともに、この映画前半のハイライトでした。
* これも、以前、あるHPに投稿した文章をもとにさせていただきました。
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