バレンタインスペシャル・真冬のシベリウス~交響曲のCD

 以前書きましたが、シベリウスは、学生の頃、福永武彦に夢中になっていた影響で、聴き始めました。
 それまで、シベリウスなんか名前も聞いたこと無かったですのが、「死の島」などを読んで、いったいどんな音楽なのか、聴いてみずにはいられなくなったのです。
 したがって、わたしにとって、シベリウスは、ブルックナーとともにもっとも古い時期から聴き続けている作曲家、ということになります。



 ↓ 何度も読み返してボロボロになった文庫本。
   本とCDの地層の最下層から発掘。こんな名作が、今では入手困難なのだ。

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 今回もまた、ブルックナーの時のように、各曲ごとに、CDをあげようかと思ったのですが、
 昔はよくいろいろな指揮者のCDを聴いていたにもかかわらず、
 最近は、北欧系指揮者の全集盤以外、まったくと言っていいほど聴かなくなってしまっているとに気がつきました。


 すなわち、

  ネーメ・ヤルヴィ エーテボリ響の新旧両全集 (新:DG、旧:BIS)

  オスモ・ヴァンスカ ラハティ響 (BIS)

  レイフ・セーゲルスタム ヘルシンキ・フィル (Ondine)

  ユッカ=ベッカ・サラステ フィンランド放送響 (Finlandia)

  パーヴォ・ベルグルンド ヘルシンキ・フィル (EMI)、ヨーロッパ室内O  (Finlandia)

 などなど、です。



 シベリウスについても、できる限り実演を聴くようにしていますので、
 このうち、ヤルヴィ、ヴァンスカセーゲルスタムの3人については、実演を聴いたことがあります。(セーゲルスタムだけは、オケが異なり、読売日本響)
 なぜか、全部5番。(笑)最近人気なのかな。



 どれも皆、文字通り夢のような、かけがえのないシベリウス体験でしたが、
 中でも、最高だったのは、2002年11月の、ヤルヴィ+エーテボリ響のライブでした。

 ついこの前のことのような気がします。音もコンサートの様子も何もかもが、鮮やかによみがえりますが、もうそんなに昔なのか・・・・。
 

 これは、わたしがこれまで聴いたあらゆるコンサートの中でも、最高のものの一つでした。

 エーテボリ響は、長身の美男美女がずらっと並び、まるでロード・オブ・ザ・リングのエルフ族の楽団のよう、これが同じ人間か、と思えるほど。
 その真ん中に、百戦錬磨の野武士のような、どっしりと貫禄のある、でも、やさしそうなヤルヴィさん。

 もうわたしは、そのヴィジュアル面だけで舞い上がってしまったのですが、
 そこから立ち昇ってきた音楽も、エルフの奏でる音楽そのもの、
 何という薫り高さ、そして透き通った風のような清々しさ!
 音がした瞬間、ほんとに風が吹いてきたかと思った。
 その美しさは、この世のものとも思えないほど。

 陶然としているうちに時間はあっという間に過ぎて、
 最後は、自分がサントリーホールにいることも、音楽を聴いていることもすっかり忘れて、ただ美しい光の渦に巻き込まれているような感覚を体験しました。

 当然、曲が終わった時は涙でぐしゃぐしゃ。
 わたしは、オケの背後の席だったのですが、ヤルヴィさん、涙とハナミズを垂れ流しながら熱烈な拍手を送るわたしと一瞬目が合い、やさしく微笑まれたような・・・・。(たぶん気のせい)
 この時、もう、この人に一生ついていこう、と決心しました。
 
 その割にはその後一度もお姿を見てませんし、CDも買ってませんんが、一時体調があまりよくない、という話も聞きました。お元気だといいのですが。


 この時の体験があるので、上記全集の中で、わたしにとっての最もお気に入りの全集は、迷うことなく、ヤルヴィさんの新全集、ということになります。
 一番演奏時期も近く、最も、コンサートの感動を思い出させてくれるのです。

 シベリウス最高のスペシャリストの一人、ヤルヴィさんの、満を持しての新全集、としては、それほど話題にはならなかったようですが、多少の、というか、かなりのひいき目を抜きにしても、名盤の誉れ高い旧全集と比べて決して遜色の無い名全集だと思います。



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 さて、シベリウスは、北欧の作曲家ですから、北、冬、というイメージがあります。
 確かに、今の季節なんかにぴったりですが、
 わたしは、シベリウスの音楽を聴いていると、
 降りしきる雪や、見渡す限りの雪原、凍った湖や白鳥の群れなど、シベリウスの故郷の風景よりも、
 そのはるか上空、
 オーロラや、さらにはもっともっと上の、星々の世界をイメージすることが多いです。

 実際、シベリウスを聴いて最も感動したのは、
 上記のライブ以外では、
 モルディブの小さな島の、誰もいない夜の浜辺で、満天の南の星々の下、
 6番を聴いた時です。

 ベルグルンドの旧盤でした。
 
 常夏の南の島でも、見上げる宇宙は北国とつながってるのだ。



 それから、シベリウスで、わたしが特に好きなところは、この作曲家特有の浮遊感です。
 単なる浮遊感、ではない、飛行感、と言った方が近いかもしれない。
 空にふっと解き放たれる感じ。

 この前、映画 Vitus のところでも書きましたが、わたしは、臆病なくせに、飛行関連のものが大好きです。

 古いギャビン・ライヤルの飛行機小説など、大好きなのですが、
 敵機に追いかけられ、さらに乱気流やモンスーンなどに巻き込まれ、絶体絶命の主人公が、神がかった飛行技術でピンチを切り抜け、ついに、はるか雲の上の、静かで平和な空間に飛び出す、
 ライヤルは、そんなシーンを描写するのがとてつもなくうまいのですけれど、
 シベリウスを聴いていると、実にしばしば、そんなシーンを読んだときに感じるカタルシスと同様のものを、感じるのです。
 そんなところが、わたしはたまらなく好きです。
 だからわたしは、シベリウスのことを、密かに、バーチャルフライトマシーン作曲家、と呼んでいます。
 まあ、これは、個人的な感想、余談です。



 さて、以上、だらだら書いてきましたが、結論としては、上記全集に含まれる演奏なら、どれもみな、すばらしいんじゃないか、と。

 個人的には、この他に、アシュケナージの新しい全集と、渡辺暁雄さんの全集が気になっています。(いずれも一部聴いただけ)

 なお、ブリリアントの激安全集として、これまで、サンデルリンクのものが知られ、これもなかなか良い演奏でしたが、最近、新しく、セーゲルスタムの全集が出ました。(デンマーク国立響)
 これは、シベリウスのエッセンスが凝縮したような上記新盤の演奏とはまった異なる、(まったく別人が演奏したかのような)異様なまでにスケール特大な爆演ですので、ご注意ください。
 もっとも、これが好き、という方がいても、不思議ではありません。



 以上、まったく中身の乏しい記事になってしまいましたが、
 まあ、シベリウス関連のコメント用の記事、ということでお許しください。

 みなさん、お気に入りの演奏や、これは、という演奏がありましたら、またぜひ教えてくださると、うれしいです。



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2008年02月14日 00:41
 以下は、ブルックナーの記事のところにいただいた、S君さんのコメントです。シベリウスのことですし、埋もれてしまうともったいないので、こちらにコピーさせていただきました。

●ベルグルンドはヘルシンキ・フィルがかつての僕のスタンダードでしたがヨーロッパ室内管との演奏は音楽の核心のみを純度高く抽出したような演奏で、前者とはまた別の説得力があります。●ザンデルリンクは僕の第1番にまつわる苦手意識を取り去ってくれました。何と大きく深みのある音楽!●ヴァンスカのオリジナル5番には驚愕しました。いつも聴いている5番とはほとんど別の曲ですね。シベリウスの天がける幻想がきこえます。●そして、極めつけはレヴァインの4番!凄い音楽を楽々と繰り出してくるBPOの名人芸にまずうなり、それをレヴァインが見事に統率し、恐ろしいほどリアルな幻想空間を描き出しています。4番はシベリウスにとっても特別な傑作だと心底納得!(ただしカップリングの5番は平板な演奏)
2008年02月14日 00:46
 上記のS君さんのコメントにある演奏のうち、レヴァインのものはまったく聴いたことがないもので、とても興味あります。
 だいたい、ブルックナーの場合と異なり、ベルリンフィルは何だかシベリウスと合ってるような気がするのですが、わたしの思い込みでしょうか。 
S君
2008年02月14日 17:38
>シベリウスで、わたしが特に好きなところは、この作曲家特有の浮遊感です。単なる浮遊感、ではない、飛行感、と言った方が近いかもしれない。

まず、シベリウスの記事をUPしてくださったことに感謝であります。何かせかしたみたいで申し訳ありません。

浮遊感ですか。言い得て妙ですね。 僕もシベリウスの曲に関して、最もおいしいところは浮遊感だと思っています。(僕の場合、飛行感とまではいきませんが…笑)。ですから、5番にしても最後に大円団で盛り上がる部分もそれなりに好きとはいえ、それ以上に、そこに至るプロセスというか、微分的な旋律が目まぐるしく転調しながら浮遊している部分が最も好きですね。頭がクラクラしてきます。(したがって2番などはちょっと苦手です)。それから金管がいきなり「バリッ!」という感じで吹く所がたくさんあるじゃないですか。あれも好きです。北国の冷気を身に浴びるようで身が引き締まります。

BPOはシベリウスに向いているんでしょうね。これはカラヤンの薫陶でしょう。4~7番が極めつけの名演だと思います。カラヤンは基本的に好きではないのですが、オネゲルとシベリウスは最高です。
S君
2008年02月14日 20:16
「死の島」。暗そうですね。僕は読んだことがないです。シノシマとはヒロシマにかけたタイトルとか。主人公の小説家、相馬は自分の小説、「レミンカイネンの帰郷」の構成についてこんなふうに語るのだそうです。

「主題は小さな破片や断片から成っていて、一群の楽器から他の一群の楽器へとボールのようにトスされて、それが作品の進行につれて次第に有機的な全体へと溶接される」。この方法を自分の書く小説にも活かせないだろうか、と。

シベリウスの書法の本質を語っていますね。すばらしい。浮遊感から飛翔感への進行、ということでしょうか。
2008年02月14日 21:37
 「死の島」、テーマはものすごく重いですが、ものすごくおもしろいですよ。
 日本語がものすごく美しいですし。福永武彦ほど音楽的な小説を書く人を、わたしは他に知りません。天才です。
 まあ、S君さんが引用された、相馬君が言ったとおりの小説を、見事に実現しています。
 ちなみに、この相馬君、ゴタクばかり言っていて、ひどい時には、ゴタクだけでまるまる1章費やされます。
 まるで、例のE君か、今の自分を見る思いです。
2008年02月14日 21:45
 ただ、この相馬君、(つまり、福永さんが、ということでもありますが)音楽、特にシベリウスに対する見識は実に驚嘆すべきもので、
 シベリウスは交響詩や2番ばかり聴かれるが、その本質は、後期交響曲にある、とまで言っているのです。
 この小説が書かれたのは70年頃ですから、これにはびっくりです。
 ああ、福永さんに、ベルグルンドやヴァンスカのシベリウスを、聴いてもらいたかった!
2008年02月14日 21:49
 すみません。興奮してしまいました。
 こうなるので、文学等の話は、なるべく封印するようにしているのですが・・・・。
 興味がおありの方は、こちらの記事のコメント欄も、ごらんになってください。(→右URL欄→)
2008年02月14日 23:44
 S君さん、さっそくシベリウスの演奏についてのコメントをいただいて、ありがとうございます。
 4~7番、ということは、グラモフォンの方ですね。わたしも、カラヤンは、後のEMIより、グラモフォンが断然好きです。
 わたしは、6番+7番+タピオラというカップリングが大好きで、極端に言えば、それ1枚あればあとはいらない、というくらいなんですが、その組み合わせでは、ヴァンスカ盤が出るまでは、カラヤン盤(ガレリアシリーズ?)がベストでした。
S君
2008年02月19日 17:03
Noraさんのシベリウスお勧めCDはすべて揃えたいですねー。セーゲルスタム以外は、全集ではないですが、一応図書館から借りてバラで持っています。これから聞き込んでいく所ですが、どれも素晴らしいですね。

それにしても北欧のオケ、指揮者には独特の味があります。先日もオモラ/バーミンガム市響の6、7番を聴いたのですが、フィンランドの若手オモラの音楽からも「北欧トーン」が濃厚に響いてきました。北欧トーンとは僕の勝手なネーミングですが、要するに「ひんやりした爽やかな響き」と言った程度のニュアンスです。オモラはこれにクリーミーな親しみやすさが加わります。6番が特に素晴らしく、また曲に対する認識が深まりました。ただし、音楽がより複雑にできている7番には少々食い足りないものを感じました。
S君
2008年02月19日 17:05
北欧トーンと言えば、最も北欧的な指揮者の一人ベルグルンドとヨーロッパ室内管で2番を聴きました。

2番は僕にとって鬼門です。かつて学生時代、学生オケの定演でやった思い出の曲ですが、この曲は僕のプロ入り最初の演目でもあり、そこでプロの厳しさを思い知った、僕にはいわく付きの曲なのです。だからといって、それで鬼門だというわけではなく、聴いていてどこか居心地が悪くなるのです。…シベリウスらしい野趣あふれる大自然の素晴らしい響きに、安っぽい「映画音楽風」が混じる所が。(あ、言い過ぎでした。ごめんなさい)
S君
2008年02月19日 17:07
ですから僕のごひいきベルグルンドでも、この曲には楽しめないものを感じました。指揮者もどこか、曲を冷たく突き放しているような雰囲気を感じました。(そこが魅力だと言われればそうなのだけれども…)。

しかしこれがレヴァイン/BPO(ライブ)だと凄い聞き物に変貌するんです。のっけから魂が吸い込まれるような魅力的な出だしで、音楽の運びにスリルと勢いがあり、最後まで耳が離せませんでした。何と言ってもBPOの威力はすさまじく、凄い音色と音楽をラクラクと繰り出してくるのです。かといって音楽は全然下品ではなく、凛とした品格があり、しかも音像が非常にリアルで深いのです。「素晴らしい音楽を聴いた!」と感動することができました。やはり2番は、このレベルまで徹底してやらないとおもしろくないと感じました。
S君
2008年02月19日 17:26
福永さんではないけれど、やはりシベリウスの魅力は後期に尽きると思います。ただし2番は、クレルヴォ交響曲、フィンランディア等で高まりつつあったシベリウスの名声を決定的にした曲で、2番の大成功のおかげでシベリウスの生活の基盤が保証され、以後、安定した年金生活のうちに、書きたいままの音楽を書くことができたわけです。ですから、後期の名作群があるのも2番のおかげと言えるのは確かで、その意味では2番に感謝しなければいけませんね。

ところで、シベリウス晩年の30年間は一曲も交響曲を書いていませんが、これは一体何なんでしょうね?8番は書いたが自身の手で破棄したという噂もあります。これは聴きたかったような、聴けない方が良かったような…
2008年02月20日 21:08
 オラモは、わたしも大好きです。
 おっしゃるとおり、見事な北欧トーンなのですが、それなのに、なんとなく人なつっこいところがありますね。
 ほんとは、記事の中の全集にも加えたかったのですが、イギリスのオケですし、全曲を聴いたわけではないので、はずしました。
 一気に全曲を録音したすさまじい集中力を評価して、サラステ盤の方を入れていますが、個人的には、オラモのほうが好きかもしれません。
 今、オラモにちょっと関係する記事を書いています。
2008年02月20日 21:13
 セ-ゲルスタム盤、やはり図書館には無いですか。残念です。
 バリバリの北欧トーンなのはもちろん、純粋さと雄大さを兼ね備えたすばらしい表現で、曲によっては、御三家(ヤルヴィ、ヴァンスカ、ベルグルンド)を上回るものもあると思います。
 もし機会があったらぜひお聴きになってください。
(もちろん、オンディーヌの新盤)

 レヴァインは、これはなんとしても聴いてみたいですね。
 全集盤以外でも、このように注目すべき演奏がありましたら、また、ぜひ教えてください。
2008年02月22日 15:29
福永武彦とシベリウス、この二人はいつも仲良く腕を組み合いながら訪れるのですね。
福永の硬質で深く沈潜する文体と、煌めく北欧の大気そのものともいえるシベリウスの音楽は、神秘的なまでに観応しているように思います。
NoraさんS君さんご紹介のCDのほとんどを聴いていない私がコメントを差し上げるのもはばかられるのですが、私は渡辺暁雄さんの演奏が心に深く刻まれています。
渡辺さんのお父様が、私の住む八ヶ岳の裾野からそう遠くない岡谷市のご出身ということもあって、諏訪地方では渡辺さんの演奏会がたびたび開かれました。諏訪のアマチュア・オーケストラ「諏訪交響楽団」を指揮されたことも何度かあったようです。
フィンランディアや初期の交響曲を中心とした、比較的ポピュラーなプログラムでしたが深山幽谷(?)を思わせる夢幻的な音の世界、そしてNoraさんのお言葉を借りるならまさに「飛行感」に満ちた音楽世界でした。
限りなく薄い絹雲が目に痛いほど蒼い空にたなびいているような、空気は凍るほどに冷たい真冬の白昼に、見えないはずの星の瞬きを感じるような霊感に満ちた演奏でした。
2008年02月22日 23:26
 aostaさん、渡辺暁雄さんを聴かれたのですか!
 何てうらやましい。

 本文にもちょっと書きましたが、渡辺さんは、最近CDを聴いて、そのシベリウスの本質に迫った演奏にびっくりしました。
 こんなことなら、朝比奈さんのように、追っかけをしてればよかった、と、心から後悔しています。
 でも、幸い、最近貴重な録音が次々とリリースされているので、それらをみんな聴きまくろうと思ってます。

 でも、最近の北欧系指揮者のシベリウス演奏も、えらいことになっているので、aostaさんも機会があったらぜひお聴きになってみてください。そう、正に、aostaさんがお書きになってるとおりの演奏だと思います。
 しつこいようですが、ほんとに福永さんにも聴いてもらいたかった。
2008年02月23日 00:35
自分のブログでも以前触れたことがありますが、ベルグルンドとヨーロッパ室内管のCD、私にはちょっと期待はずれでした・・・。この人、再録のたびに総じてテンポがあがっていくような気がします。2度目のヘルシンキの全集は私の感覚にちょうどあっているのですが、ヨーロッパ室内管は、全体的にもうちょっと落ち着いて聴きたいな、と思わされました。

これは、私のバッハに対する好みと正反対なので、我ながら面白いものがあります。曲にもよりますが、歳を重ねるほどに、快速テンポの演奏が好きになっていきます(例えばグールドのゴルトベルクは、40歳を越した頃から旧盤と新盤の好みが逆転しました)。先日はレオンハルトの世俗カンタータの新譜を聞きましたが、やや遅めのテンポが正直いまひとつと感じてしまいました。
2008年02月23日 10:46
岡谷市のお隣、下諏訪町で渡辺さんを記念する北欧音楽祭が毎年開かれています。北欧つながりで、館野泉さんの演奏会も蓼科で毎年あったようです。
館野さんのピアノは聴いておりませんが、シベリウスやグリークの音楽には高原の風や空気がよく似合うのでしょうね。
ところでご存知でしたら教えていただきたいのですが、Noraさんはシクサス(シサクス?)という作曲家をご存知でしょうか。
シベリウスより現代に近いかもしれません。
一度だけ聴いた彼の音楽(声楽曲でした)の神秘的というか、この世のものとは思えない美しさに心も身体も震える思いがいたしました。
そこでも、まるで地上的な重力から開放されたえもいわれぬ浮遊感を感じました。
聴いたのはあとにも先のもそれ一回だけ。作曲者名の定かでないのですが確かフィンランドの音楽家、とあったような気がします。



2008年02月23日 20:58
 子守男さん、こんばんは。
 ベルグルンドの新旧全集については、わたしは、どちらが良いか、まったく判断できずに、結局記事には両方並べてしまいました。
 旧盤の方は、そもそも素朴な手作り感がたまりませんし、演奏家も聴いているわたしも音楽に共感しきっているせいか、自分が今、オーケストラの奏でる音楽を聴いている、ということさえも忘れてしまううような瞬間さえある。
 その点、新盤の方は、オーケストラの楽器の音を強く感じてしまう部分が多いかもしれません。
 でも、曲に、さらには、部分部分によっては、やはり一長一短で、結局は、どちらもすぐれた全集だ、としか言いようがない気がします。
 最後は、聴く方の好みの問題になってしまうのでしょうね。
 ヤルヴィさんの全集も、同じような感じで、両方並べてしまった。 
2008年02月23日 21:04
(つづきです)
 それから、子守男さんもアシュケナージの記事をお書きになってますが、わたしも、CDショップで試聴して、意外といいので、驚いてしまいました。
 わたしの場合は、3番でした。
 子守男さんがお書きになってる5番も含め、ぜひ聴いてみたいと思っています。
2008年02月23日 21:32
 こんばんは、aostaさん。
 舘野さんは、北欧系だけでなく、セブラックやモンポウ、ヴィラ=ロボスなど、ラテン系のものもすばらしいです。
 病気を乗り越え演奏活動を続けてらっしゃるようで、頭が下がりますね。

 ウルマス・シサスクでしたら、例の惑星音階の時に、調べました。
 声楽曲を含め、実際には聴いたことありませんが、この人だったら、確かフィンランドではなく、エストニアの作曲家です。
 自身で編み出した惑星音階を使った、天体をテーマにした「銀河巡礼」などのピアノ曲で知られるようです。
 今調べてみたら、ちょうど舘野さんも弾いているようです。
(→右URL欄→)
 シクサスでもシサクスでもないから、関係ないかな?
2008年02月25日 05:57
おはようございます。
URL拝見したかぎり、シサスクという人で間違い無いと思います。
”シサスク”だったのですね。
惑星音階による天体をテーマにした音楽・・・
まさにその通りのイメージです。
シサスク、ではいくら検索しても見つからないはずですね(笑)。
ありがとうございました。
それにしても「惑星音階」で作曲とは・・・
2008年02月25日 20:54
 aostaさん、どうも。
 ほんとうに北欧の人の名前は難しいですね。(笑)
 惑星音階は、そもそもいくらでも理屈づけできるものなので、けっこういろいろな人が手を染めてるようですが、この人の場合は、昔から独自の理論を一貫して追及し続けているようで、そういう意味では筋金入りみたいです。ちょっと聴いてみたい気もしますね。
S君
2008年03月11日 17:06
Noraさん、こんにちは。お元気ですか。僕の方は相変わらずシベリウスに首っ丈で、最近感じたことをちょっと書かせていただきます。テーマは北欧以外のオケと指揮者。

まず北欧系の方を押さえておくと、これは共通した特徴を感じます。音の響きが非常に爽やかで一聴して「北欧の空気感」を感じます。

そして最近気が付いたのは、「音のバランスにある種の破調がある」ということです。ある時はホルンが突出し、またある時は低弦が破格にブーンとうなるといった、一般的な西欧音楽のウエル・バランスとは違うものを感じます。しかし、まさに、このことによって、シベリウス的響きが創出されるのではないでしょうか。普通のロマン派や古典派とは違う音の構築性がないと、シベリウスになりきらないような気がします。それは「北欧的表現主義」といっても良いかもしれません。ただし、それは決してぎらついたものではなく、どこかツヤ消しに、そしてあくまで素朴に行われなければならない。
S君
2008年03月11日 17:08
この点で、非北欧系の指揮者やオケは、シベリウス向きではないと感じる時がままあります。たとえば、ブロムシュテットとサンフランシスコ響の場合。

ブロムシュテットはスウェーデン人でありながらアメリカ生まれで、スウェーデンで勉強したとはいえ、終業の仕上げはアメリカであり、北欧系指揮者の系列には入らないものを感じます。その証左が前記コンビのシベリウスで、ブルックナーではあれほど見事だった両者から、残念ながらシベリウスは聞こえてきませんでした。2番は良かったのですが、後期になればなるほど、やっていることがよくわからない演奏なのです。サンフランシスコ響も、もの凄くうまいけれど、よく理解できていない音楽をスーパーテクニックで鳴り響かせている感がありました。
(これはあくまで僕の主観です。好きな人は気にしないでください)
S君
2008年03月11日 17:09
これに反して、シベリウスの響きを濃密に感じさせたのがバルビローリとハレ管。聴いたのは4番。

聴いてみるまでこれほど凄いとは予想がつきませんでした。オケはあまり巧くなく、アインザッツや音程の乱れが散見されますが、響きはまさにシベリウス!これには圧倒的な魅力を感じました。冒頭から渋いダークグレーの響きが立ち上ります。第1楽章の展開部など、アイノラ荘の窓辺で、漆黒の闇に踊る雪の騒擾さえ感じ取れます。シベリウスが何を見ていたのか、…単なる自然の情景を越えた、それは彼の厳しくほの暗い心の情景なのですが…、それを手にとって体感させてくれるようなリアリティがあります。

この他、非北欧系で素晴らしいと思ったのは、レヴァイン/BPO、アシュケナージ/フィルハーモニア、ザンデルリンク/ベルリン響です。
そして、もちろん御大のカラヤン/BPO。
2008年03月12日 15:32
 S君さん、こんにちは。
 ありがとうございます。おかげさまで、このページもだいぶ充実してまいりました。

> 「音のバランスにある種の破調がある」

 ああ。これはなんとなく、わかりますね。
 北欧のオケは、透明なだけでなく、何となく、素朴というか、野趣に富んでいる、というか、ちょっと聴くと荒削りみたいに感じるところがあるように思えます。これは、わざとそうしている部分が大きいように思えるのです。

 バルビローリは、何だか気になりますね。
 昔、聴いたことがありますが、(たぶん2番とか、5番)それほど響きが透明でなく、濃厚なのに、あまり違和感を感じなかったような覚えがあります。
 よくイギリス系の指揮者は、シベリウスが得意だ、というのを聞きますが、なんででしょうね。
かげっち
2008年06月28日 22:55
偶然この記事を見つけシベリウスファンとして興奮しています。自分が演奏したことがあるのは7番、カレリア組曲、フィンランディアくらいですが、故郷札幌を離れ本州・九州に住むようになってから非常な郷愁を感じつつ聴くようになった作曲家です。

シベリウスの響きの特徴は冷たさと湿度の低さだと思いますが、これを技術的に言えばホルンの和声の作りや、コントラバス・ティンパニーの用法や、バイオリンによる和声の刻ませ方に特徴があります。パートごとに先入・繋留が多い和声進行が、独特の冷たい空気感の元です。

いろいろな演奏を聴きましたが、最初に気に入ったのがバルビローリでした。イギリスにはノルマン王朝というのがあったくらいで北欧とは親近感があるらしいですね。渡邊先生(確か奥様はフィンランド系)、オッコ・カムのライブもよかったです。仕事で現地に行った時に入手したラハティ響のCDもお気に入りです。
かげっち
2008年06月28日 22:56
シベリウスの曲は演奏が難しいです、オーボエの最低音でppが要求されたり、金管や低弦に非常な体力が要求されたり。演奏効果をあげるためには多大な労力が要求される典型の作曲家です。ですからシベリウスの音楽を愛していなければ「ほどほどの努力で楽に終わろう」と思いたくなってしまうでしょう。「音の破調」は、一面では曲の難しさにも由来します。北欧系の人の演奏が優れている理由の第一はシベリウスへの思い入れのせいであり、第二にはそこに描かれている北欧の自然や人々の心情(冬の忍耐とか)をよく理解しているためだろうと思います。
かげっち
2008年06月28日 22:56

シベリウスが長く生活した家(アイノラ)も訪れた時は夏でしたから、美しい自然に包まれていると思いましたが、同時に長い冬の様子も想像がつきました(あんな田舎で暮らすのは大変だ・・)。そこで晩年の彼は、水道の音も気になるほどの鬱病に悩み(それで妻のアイノさんは井戸を使っていたとか)書きかけた曲を何度も破棄したといいます。鬱病になりやすい性格(完全主義)でもあったのでしょう。4番や7番に彼の性格がよくあらわれているような気がします。

ラハティへ行ったのは7月でしたが、白夜に近い状況で、町中が軽躁状態といった感じでした(夜中まで明るくて高校生が歩いており、夏休みの大人が昼間から遊んでいる)。もちろん冬は・・・そういう季節性や、フィンランド人の心の故郷であるカレリア地方がいまなおロシアの支配下にあるといった小国の抑圧された歴史と、シベリウス個人の性格・病が、彼の曲の根底に流れているように思います。

ああ、興奮してたくさん書いてしまった、ごめんなさい(笑)
2008年06月29日 01:24
 かげっちさん、こんばんは。

> 興奮してたくさん書いてしまった、ごめんなさい

 シベリウスに対する愛情あふれるコメントを読ませていただき、たいへん感激しています。ごめんなさい、などと、とんでもありません。どうもありがとうございます。
 演奏なさった立場からの、シベリウスのあの独特な響きの分析や、わたしが見たことも無い、フィンランドの大地を訪れた時の印象など、とても興味深く読ませていただきました。

 特に、北欧系オーケストラのシベリウス演奏がすぐれていることに対するお考えには、目からウロコが落ちました。なるほど、言われてみれば実にかんたんなことですが、音楽の根幹にもかかわるような、大切なことのような気がします。このことは、同じように演奏が難しいといわれるブルックナーにも通じることなのではないでしょうか。
2008年06月29日 01:50
 続きです。
 このブログを見ていただければわかるとおり、わたしは今でこそ、南の島好きの能天気な人間ですが、若い頃は、北方的な、どちらかというと深刻なものへの志向が強く、シベリウス好きはその名残りなのかもしれません。
 ただ、単に好きなだけで、専門的なことはまったくわかりませんので、またいろいろと教えてくださるとうれしいです。
 また、このページは、わたしよりも、むしろS君さんが作られたページと言ってもいいと思いますので、もしかしたら、S君さんもご意見等あるのではないでしょうか。
 見てないかな。
S君
2008年06月29日 08:48
しっかり見てますよ(笑)このページを最初から読み直しましたが、充実ぶりの根底にはNoraさんの情熱があると感じました。

かげっちさんの書き込みも興味深く拝見しました。やっぱりシベリウスは難しいですよね。たとえば第2番2楽章でフルートが最低音でフォルテを要求されます。トランペットと交互に出てくるテーマです。あれはそもそも無理です。

シベリウスの冷たい音色の秘訣ということで…

「ホルンの和声の作りや、コントラバス・ティンパニーの用法や、バイオリンによる和声の刻ませ方に特徴があります。パートごとに先入・繋留が多い和声進行が、独特の冷たい空気感の元です。」 

目から鱗でした。
2008年06月29日 22:25
 S君さん、どうも。
 S君さんやかげっちさんが書いてくださったのを読ませていただくと、シベリウス、演奏が相当難しいみたいですね。

> あれはそもそも無理です。

 無理ですか。(笑)
 そもそも無理なことを書いてある、というのも、すごいですね。(笑)
 2番のような、初期の割と明快な曲がそうなのですから、後期の曲などは、もっと難しいんでしょうね。聴いている分には、ほんとにおもしろいのですが。
2008年09月06日 19:51
初めまして。バッハの記事をたどっているうちに来ました。皆さんシベリウスをお好きなのですねー。もちろん僕もその一人です。
「シベリウスは北欧の演奏家が良い」まったく同感です。僕の好きな全集盤もほとんど皆さんと同じですね。しいて順番をつけるとすれば①ベルグルンド/ヘルシンキ②カム&渡辺/ヘルシンキ③セーゲルスタム/ヘルシンキ④ヴァンスカ/ラハティ④サラステ/フィンランド放送といったところでしょうか。次点がヤルヴィですね。バルビローリ、カラヤン、オラモはそれほど好みません。
ちなみに「クレルボ交響曲」も結構好きですが、この曲の場合はヴァンスカが好きですね。ヴァイオリン協奏曲はペッカ・クーシスト独奏、セーゲルスタム/ヘルシンキが最も好みに合います。やっぱり自国の演奏なのですね。暮らす土地の共通する自然ということもあるでしょうが、もっと単純に言葉の発音やなまり、料理の味付けと一緒なのだと思います。民族の血というものは、きっとかぎり無く重いのですよ。ドイツ音楽やフランス音楽、ボヘミア音楽、イタリアオペラなんかも大抵例外なく自国の演奏家のものが一番自然で抵抗無く楽しめますもの。
2008年09月07日 02:04
 ハルくんさん、こんにちは。
 バッハの記事をたどっていらしたそうですが、バッハの記事が少なく、こんな記事ばかりで恐縮です。(笑)
 お目当てのものが見つかったといいのですが。
 シベリウスの演奏について、くわしく書いてくださってありがとうございます。おかげさまで、また新しい演奏が加わりました。
 コンチェルトは、北欧のヴァイオリニストのものは、あまり聴いたことが無い気がします。ぜひ聴いて見たいと思います。
 クレルヴォは実はあまりなじみが無かったのですが、最近聴く機会があり、今度のCDの記事でちょっと書こうと思っていたところです。この曲なんか、実に民族的要素の強い曲ですね。
2008年09月07日 08:30
さっそくのコメントありがとうございます。バッハはまだまだ勉強中の身ですので大変参考になりますよ。これから度々寄らせてもらいます。小生も最近ブログを始めましたのでお時間有ればぜひお寄り下さい。
クーシスト盤はフィンランドの何年か前のコンクールで優勝した直後の録音で、国内ではベストセラーになったそうです。日本にはこんなニュースほとんど知らされませんものね。ぜひお聴きになられて下さい。
2008年09月08日 12:20
 ハルくんさん、こんにちは。
 ブログ、拝見させていただきました。わたしは歌舞伎なども見てみたいと思っていますので、今後とも参考にさせていただきたいと思います。
 クーシスト盤、指揮がセーゲルスタムだというのも、また魅力的ですね。

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