三都の旅・8~花と団子の京都を行く(智積院でくつろぐ)

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 あっという間に最終日。旅行記の方は、だらだらといつまでも書いていますが。

 ホテルはチェックアウトしなくてはなりませんが、ホテル=駅なので、荷物はあずけておけばよくて、とっても便利。

 この日も快晴。
 最終日なので、とにかく、
 駅周辺の仏像や美術の名品を見られるだけ見て回り、あとはゆっくりと京都らしい雰囲気にひたろう、
 ということで、
 朝早くのバスで、早速三十三間堂へ。



 三十三間堂(蓮華王院)


 なんと、入場を待つ列に並び、(ほんの数人でしたが)開門と同時に入場。

   
 ここは、庭園も意外と良い。

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 やはり、ここは、仏像。仏像についてはこちら



 それから、すぐそばの智積院へと向かう。

 途中で見える美しい洋館は京都国立博物館。

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 智積院


 成田山や川崎大師を含む、真言宗智山派の総本山。

 この前の高台寺に続き、ここも、ねねゆかりのお寺。

 もともとは、秀吉&ねねが、愛息鶴松の菩提をとむらうために建立した、まったく別のお寺。(祥雲寺)

 秀吉が亡くなった後、家康が、秀吉の焼き討ちによって壊滅してしまった真言宗の大寺院、智積院として再興した。

 もちろん、智積院の再興への努力と、家康の天下人としてのデモンストレーションの意味合いがうまく重なった結果に他ならないが、
 秀吉の数々の暴挙に心を痛めていた家康のこと、秀頼の命を救えなかったせめてもの罪滅ぼしの意味もあったかもしれない。

 特に、晩年の家康は、とにかくただひたすら、がむしゃらに、何よりもまず徹底して平和を希求した、高潔な人物だった。それが、その後の、世界史上あまり例の無い、三百年の江戸の平和につながった。

 いずれにしても、このお寺は、秀吉、ねね、家康、という3人の、それぞれのさまざまな思いが複雑にからみあって形になったもの。


 三十三間堂の廊下があまりにも冷たく駆け足で回ったので、ここにもえらく早く到着し、他にほとんど客はなし。


 明るく清潔で、広々とした、実にさわやかな境内。

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 お目当ての
 長谷川等伯の屏風画 「松に草花図」(国宝)、
 等伯親子他の障壁画(国宝)
 は、拝観受付を入ってすぐ右側の収蔵庫に展示されています。
 収蔵庫に入ると、何と、ここも、わたしたちだけ。

 息子の久蔵が、新時代を先取りするかのような、生命のきらめきにあふれる「桜図」を書くが、その直後、26歳で早逝してしまう。
 そして、世の無常を痛感した等伯が、生涯の集大成というべき傑作、「楓図」を書き上げる。

 そんな説明を聞きながら、色が薄れ、あちこち傷つきながらも、往時の美を幻影のように伝える実際の障壁画を見る。

 こんなものが東京に来たら、大行列の末に、数秒しか見られないところを、なんというぜいたく。


 * 4月20日追記

 等伯・久蔵のふるさと、石川県七尾にある石川県七尾美術館で、久蔵の「桜図」を中心とした「長谷川等伯展」を開催中、とのことです。
(~平成20年5月6日(火)まで)

 従ってしばらくの間、智積院には、「桜図」はありません。



 簡素で清潔な講堂の廊下を伝い歩き、障壁画が実際に飾ってあった大書院の障壁画の間へ。

 磨きぬかれた廊下、風に舞う鮮やかな5色の幔幕の美しい講堂の廊下を進む。

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 角をまがると、その先が大書院。

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 ここが大書院、「障壁画の間」。

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 建物の壁面は、さきほど見てきた屏風絵、障壁画の、目にもあざやかなレプリカで埋めつくされている。

 色鮮やかなかわりに、陰影にとぼしく平坦で、実物とは比べるべくもないが、インパクトのある実物をじっくりと見た直後なので、ある種のフィルターを通して見る事ができるためか、何だか味わい深く感じられる。


 等伯の息子、久蔵の 「桜図」(複製)

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 等伯の 「楓図」(複製)

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 等伯の 「松に草花図」(複製)

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 この障壁画の間の東面は、大きく開け放たれ、その外は、美しい池泉鑑賞式庭園。
 漢詩等で知られる中国の廬山を模ったそうです。
 自然石がたくさん使われてるのは、桃山風。

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 この築山の植え込みの多くは、つつじのようです。
 これは、5月になったら、すごいだろうな。

 
 昨日と同じで、朝早いため、境内の空気は澄み切って清々しく、無数の鳥の声がさわやかにこだまします。

 庭園は、池が建物の縁の下まではいりこむめずらしい形であるため、水に反射した朝の光が、ひさしや天上でゆらゆらとゆれています。

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 障壁画と庭園。
 人工美と自然美の見事なコラボレーション。

 その間に挟まれた、何も無い、すっきりとさわやかな座敷に座るのは、やはり、わたしたちだけ。
 ほとんど貸切状態。

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 人間と自然による美の極致というべき、
 障壁画と庭園の間に佇んで、
 歴史の流れの中で、
 この空間をつくりあげることになった、
 等伯親子のこと、秀吉や家康のことなどに、
 思いをめぐらす。
 
 やがて、そのようなことさえどうでもよくなって、
 池に反射する、
 光や鳥のさえずりに心と体を任せて、
 ただただ、ポカーンとする。
 心から、くつろげる時間です。




 書院は、純和風建築。その他の部分もとても美しい。

 回廊と窓。

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 石庭。

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 他のふすま絵もすてき。拡大して見てね。
 左、光そのもののような桜。(りすがかわいい)
 右、ユーモラスで味のある布袋様。

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 庭の木蓮が鮮やか。

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 その後は、さらに、六波羅蜜寺へ向かう。

 大通りから、このような路地に入っていく。

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 六波羅蜜寺


 街中の小さなお寺。
 実は清盛や空也ゆかりの名刹。京都でも有数の仏像の宝庫。

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 境内の花。

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 ここのすばらしい仏像については、こちら。 



 六波羅蜜寺周辺もなかなか風情がある。

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 すぐそばにある六道珍皇寺。
 昼は嵯峨天皇に、夜は閻魔大王に仕えた小野篁が、ここの井戸からあの世に出入りした、という伝説が伝わる。
 働きすぎ。

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 さて、気がすむまで文化財鑑賞をしたので、バスで、四条大橋へ。 



 出雲阿国ゆかりの、日本最古の劇場、南座。

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 四条大橋のたもとに立つ出雲阿国の銅像。

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 南座にある老舗のそば屋、松葉で、名物にしんそばを食べる。
 にしんがちょっとしか見えないが、あたためるため、そばの下に入れてある。

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 広々として気持ちの良い四条河原。 

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 智積院・完全非公認キャラ

 キッキョウくん

 智積院の写真(インスタでフォローさせていただいている方が撮影したもの)に写っていた、空に浮かぶ雲の形を、なるべく忠実にキャラ化、マウスの一気画きでイラストにしてみました。

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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

koh
2008年04月13日 15:45
つづけておじゃまいたします。
智積院、なつかしいです。
昔々、学生時代にパンキョー(当時はこんなことばもなかったですが)で、日本美術史という科目を取ったら、毎週お寺へでかけて現地で現物をまえにして、先生が講義してくれました。その初回が智積院だったので、非常に印象がつよく残っています。

それ以降訪れていなかったので、Noraさんの美しい障壁画をはじめとする写真を見せていただいて感激しています。ふすま絵も池を中心とした庭も思い出しました。
今度京都へ行ったら、ぜひ訪問してきたいと考えています。
2008年04月13日 21:22
> パンキョー

 毎週、お寺で授業というのはうらやましいですね。
 それだったら、わたしもちゃんと勉強したかも。

 障壁画は、実物が写真に撮れず、残念です。もし撮っても、あの迫力はお伝えできないでしょう。
 実は、何もわからずに、最初に庭のある書院に行ってレプリカを見て、なんだこんなものか、と思ってしまったのですが、
 その後、収蔵庫で実物を見て衝撃を受けて、その上で、改めて書院に戻ったところ、レプリカも庭もまったく違って感じられました。
 したがって、上の記事は、2度目に行った時の感想ということになりますね。(笑)
 智積院を訪れる際は、必ずまず収蔵庫に行き、実物を目に焼き付けてから、書院に行かれることをおすすめします。
2008年04月16日 20:43
智積院も本当に行きたくなったお寺です。
勿論Noraさんの懇切丁寧なご案内にです。
等伯親子の障壁画、いつぞやテレビで観て実際に見られたらと思ったものでした。オリジナルを収蔵庫でレプリカとともに書院拝見とはいいですね。
京都のお寺の庭もいろいろ見ましたが、このお寺のもまたそれなりに見るべきところがありそうですね。
↑kohさんが日本美術史の授業で実際にお寺で講義を受けられたとか、つくづく京都の学生になればよかったと思ってしまいました。
2008年04月17日 22:56
 tonaさん、こんばんは。

 智積院は、誰もいない書院に腰掛けて庭をながめていると、鳥の声だけが響き渡って、それだけでもう、清々しい気分になりました。広隆寺もそうでしたが、お寺は、朝早く行くといいようです。(笑)
 障壁画は、保存のためか、薄暗い光の中でしか見ることができませんでしたが、息子の久蔵の桜など、その暗い中で、一つ一つの花びらがぼおっと光りを放っているようですごい迫力でした。やはり、歴史的名画というのは、それだけのことはあるものです。

 kohさんのお話は、ほんとにうらやましいですね。京都ならでは、という感じです。考えてみれば、教科書にのっているような名作の、本物がごろごろしているのだから、たまりません。
2008年04月22日 10:56
 本文中にも追記しておきましたが、
 久蔵の大傑作、「桜図」は、4月22日現在、等伯・久蔵親子のふるさと、石川県七尾美術館「長谷川等伯展」(~5月6日)に出品のため、「里帰り」中、とのことです。
 くわしくはこちら。(→右URL欄→)
 こちらのHPでは、実物の美しい写真もご覧になれます。
 
 もしGW等に、京都に行かれるご予定の方がいらっしゃったらご注意ください。
 また、石川県近辺にお住まいの方は、ぜひご覧になってください。

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