おおらかなスリランカ仏から超写実の鎌倉仏まで~お気に入りの仏像・東京国立博物館編

 先週の土曜日、スリランカ展を見に、上野東京国立博物館に行ってきました。
 遠い南の島の、素朴さと豪華さを兼ね備えた仏像の数々をたっぷりと見て、その後、時間があったので、今東京国立博物館で見ることができる日本の仏像の名品も合わせて拝観しましたので、その時のことを。



 10月25日(土)       



 特別展 スリランカ 輝く島の美に出会う  at 東京国立博物館 表慶館

  (~11月30日(日)まで)


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 たくさんの仏像などが、年代順に展示されています。
 島国スリランカの複雑な歴史を学びながら、
 古代の、釈迦の姿をそのまま写しとったかのような荒削りな仏像に始まり、
 それが、インドのヒンドゥーの影響を受け、だんだんとバリエーションが豊かになり、装飾も華麗になってゆく、という流れが、手に取るようにわかるようになっています。
 大雑把に言って、時代的に少し先んじて、日本の仏像の場合とほぼ同じような進化を遂げているのが、とてもおもしろい。はるかなルーツを見る思いです。

 もちろん、ヒンドゥーの神々の像や、スリランカならではの宝石や金、象牙などの工芸品も。


 仏像や神像はどれもみな、素朴でおおらかな、
 微笑んでいるものが多く、見ていて、心がおだやかになっていくような気がする。

 この展覧会の目玉は、やはり下のちらしにものっている菩薩像(↓)だと思いますが、これなど、これ以上ありえないくらいの豪華さにも係わらず、実際に見た像自体の印象は、極めて素朴で親密な感じ。


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 ところで、この像などは、もはや、仏像なのか、ヒンドゥーの神像なのか、ちょっと見ただけでは、わからなくなっています。

 展示されている説明を見る限り、スリランカにおいて、仏教とヒンドゥー教はおたがいに影響を与え合いながら、割とうまく共存してきたようで、おおらかなで平和な雰囲気の像たちが、何よりもそれを表していると思います。

 現代になって、一部地域が内戦状態(独立紛争)になってしまっているのが、悲しく感じられる。


 なお、この展覧会においては、全体的に小さな仏像が多いです。
 実は、大きな仏像もたくさん存在するのですが、それらは、正に大仏や磨崖仏で、豊富な写真展示で見ることができますが、到底運んでくることなどできないスケールのものです。

 写真で見る限り、これらの像は、豊かな熱帯の自然の中、屋根と柱だけのまるで遺跡のような堂の中に、どーんと鎮座していたりして、ほんとうに悠々としている。
 これこそが、スリランカ美術の核心なのでしょう。

 また、電飾で飾られた象(これは動物の象)たちが、金と宝石で光り輝く仏舎利容器に入れられた仏歯を運ぶ大パレード、
 キャンディのペラヘラ祭の写真も展示されていました。
 世界遺産の仏歯寺や街並みも、無数の電飾できらめき、壮麗。

 これらの写真展示を見るにつけ、一度行ってみたいものだと強く思った。

 でも、ムリだろうな。
 コロンボの空港だけは、モルディブに行った行き帰りに、何度か立ち寄ったことはあるのだが。


 帰宅したら、なんとNHKの世界遺産の番組で、ちょうど、キャンディの仏歯寺とペラヘラ祭を特集していました。
 うーん。ほんとに行きたくなってきた。でも、まだテロなどの危険があるそうだ。 


 特別展 スリランカ 公式HP



  ☆    ☆    ☆



 法隆寺宝物館


 表慶館のとなりにある法隆寺宝物館へ。


▽ 水の上に建っているような、美しいフォルムの法隆寺宝物館。

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 ここの1階第2室は、すごい!

 薄暗くて、がらーんと広い空間に、淡い微光に照らされた、40体を優に超える飛鳥仏が、ずらーーっと並んでいる。
 部屋に入った瞬間、思わず息をのみます。

 下は、パンフをスキャンした写真ですが、実際はこれよりずっと暗いです。
 暗闇の中に、無数の仏像がぼーっと浮かび上がっている感じ。

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 それぞれ、3~40センチくらいの小像ですが、ほとんどすべてがまごうことなき飛鳥の青銅仏。
 もとは、豪族などが所有していたのが、それが法隆寺に伝わったものとのこと。
 大きさこそだいたい同じくらいなのですが、一つ一つの造型や顔かたち、装飾はまったく異なり、見ていてまったくあきません。

 わたしは、1列目の右側にある、
 左右対称にやわらかく衣装を垂らし、(全体像はあの薬師寺の聖観音立像によく似ている)
 かわいい童顔をして、胸の前で、水晶の玉を、両手で大切そうに握りしめている菩薩像が大好きです。

 
 スリランカの仏像を見た直後に、これらの飛鳥仏をみたのですが、
 あまり似ているのでびっくりしてしまった。
 ちょっとこれだとわかりにくいかもしれませんが、クリックしてご覧ください。(↓)


 スリランカの金剛手菩薩立像(10世紀頃)

 法隆寺伝来 観音菩薩立像(7世紀)


 法隆寺宝物館 公式HP



  ☆    ☆    ☆



 ほんとうは、法隆寺宝物館にあるレストラン(ラコール)でランチにしようと思ったのですが、満員の大行列で断念。
 日本庭園の入り口にあるオープンカフェのお店で、軽くサンドイッチ等を食べた後、

 現在秋季公開中の日本庭園へ。


 春の桜と秋の紅葉が美しいようですが、紅葉にはまだ早く、天気があまりよくなかったせいか、ちょとウラ寂しい感じでした。

 正面の森の中に、茶室がいくつか並んでいる。
 この日は、すべて実際に使用中で、見学はできませんでした。

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  ☆    ☆    ☆



 さて、まだ時間があるので、本館(日本ギャラリー)へ。

 上記のように、スリランカの仏像と日本の仏像の結びつきを強く感じたばかりでしたが、
 ちょうど、タイムリーな企画をやっていました。


 特別陳列 仏像の道 -インドから日本へ-  at 東京国立博物館 特別5室

  (~2009年4月5日(日)まで)


 インドからアジアの各国へ伝わっていった仏像の変遷を展示してあるわけですが、
 その最後には、レプリカですが、あの薬師寺聖観音立像が展示してあります。

 陸のシルクロードと海のシルクロード。
 その長い長い旅の果てに、あらゆる要素が集約された最後の完成形として、この像が置かれているわけで、感激してしまった。


 特別陳列 仏像の道 公式HP



  ☆    ☆    ☆



 その他、常設展示では、本館入ってすぐ右の、1階11室・彫刻の部屋で、
 現在とても見応えのある仏像を拝観することができますので、ご紹介します。
(展示内容は随時変わるので、お気をつけください)


 本館1階(平常展 分野別)11室 彫刻の部屋

  (~2009年1月4日(日)まで、現在の内容を展示)


 文殊菩薩騎獅像および侍者立像(興福寺伝来)

  伝 康円作


 写真撮影OKとのことなので、撮影させていただきました。

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 康円は、湛慶の弟子で、頼朝等による南都復興が一段落した時期の仏師です。
 したがって、大作はそれほど残されてはいませんが、慶派の技法を一身に引継ぎ、それをさらに結晶化させたような作風は、他には見られない孤高の境地に達していると思います。

 文殊菩薩騎獅像は、一般的に、

 刀を持つ文殊菩薩の乗った獅子の手綱を、優填王が引き、それをかたわらの善財童子が拝み見上げ、その背後には仏陀波利三蔵と最勝老人が立つ、

 というように、物語の一場面を立体パノラマ風に構成した形で表されますが、(下参照)

 今回は、像の一つ一つの細部をじっくりと見ることができるように、一体一体分けてガラスケースに収められ、あらゆる角度から拝観できるようになっています。

 一体一体が、一目見ると、もう目が釘付けになってしまうほど魅力的。
 さすが康円の代表作。

 上記「仏像の道」がたどりついたところから、さらに時代を経て一段突き進み、ついに行きついた、究極の写実主義。
 鎌倉仏を代表する逸品だと思います。


 参考・本来の配置(→こちら


 ちなみに、文殊菩薩騎獅像でもっとも有名なものは、
 快慶作の奈良・阿倍文殊院の巨像。

 今、一番見たい仏像、ベスト3に入ってます。

 ただ、この文殊菩薩像も、決してそれに勝るとも劣らない作品なのではないでしょうか。
 大きさでは負けるけど。


 なお、今ならその他に、こんな魅力的な仏像を拝観することが出来ます。  
 

 五大明王像(山梨・桑戸区伝来)

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 これまでわたしが見た中で、最も素朴な五大明王像。いかにも、坂東武者の仏、といった無骨なイメージ。
 何だか子どもが彫ったかのような、独特の純粋さもあります。
 平安時代のものらしいですが、驚くほど保存状態が良い。


 浄瑠璃寺 国宝 広目天立像(四天王のうち) (→こちら


 あまりにも有名な、京都(奈良?ちょうど県境にある)・浄瑠璃寺の極彩色の四天王のうちの、広目天像。国宝。
 現在東京国立博物館に寄託中とのこと。
 まさかこんなものが見られるとは思わなかった。

 すべてを見透かすようなすさまじい眼力。鎧の鮮烈な色彩、なぜか四方に激しくたなびく衣。
 すべてが圧巻。


 彫刻の部屋 公式HP



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 特集陳列 「仮面」  at 特別1室

  (10月26日で終了)


 こんなのもやってました。なかなかおもしろかった。
 川越まつりで見た、凌王の面がたくさんあった。

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▽ 本館脇の酔芙蓉。
  夕方、見た時は、ピンクになっていたので、帰りにもう一度見てみたら、しぼんでしまっていた。  

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 おまけ、ヘブンアーティスト TOKYO


 上野公園では、10月24~26の3日間、総勢なんと124組の東京都ヘブンアーティストたちが集結し、いたるところで大道芸を繰り広げるイベントが行なわれていた。
 ラストは、噴水横に集結し、みんなが一つになってフィナーレ。


 中央のブランコはシルク・バロック。(このグループは海外ゲスト)
 右側にMEDAMANの二人。
 中央やや左寄りに、江戸糸あやつり人形。
 みんなどこかで見たことある。

 演奏は、スィングする工事人、HIBI☆Chazz-K。(左端)
 ピカピカ光る作業着を着て、本格的なアンサンブルを吹いて、フィナーレをもりあげていました。
 
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カンタータ日記・奥の院

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カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2008年10月29日 21:09
今日はスリランカと日本の仏像をNoraさんのところでじっくり拝見しました。
どれも仰るように珠玉の数々、一体一体お顔が違ってどれも惹き付けられてしまいます。
法隆寺宝物館や日本庭園があるのですか。
いつも本館と平成館を往復していただけなので知りませんでした。
Noraさんはかなりの仏像をご覧になっていらっしゃいますね。
見方もお勉強になります。
2008年10月30日 15:44
 tonaさん、こんにちは。
 各国の仏像は、どんなに離れた国でも、基本的には同じなので、感動してしまいます。でも、やはり顔だけは、スリランカのものはスリランカ人、中国のものは中国人らしい顔をしていて、とてもおもしろいです。

> 法隆寺宝物館や日本庭園があるのですか。

 他にも、スリランカ展をやっていた、ルネッサンス風の表慶館などもあります。
 見るところが多すぎて、とても一日では見きれません。
 庭園は、春の桜と紅葉の季節がよいようです。
 紅葉は、まだ先みたいです。

 ところで、週末の新しい記事で、またリンクさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(石山寺がちょっと登場するのです)

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