桜・さくら・サクラPart 2~江戸絵画でバーチャルお花見、BGMはBWV67【復活節後第1日曜日】
復活節周辺のカンタータ、今年は、復活節後第1日曜日用の第1年巻の名作、BWV67をあらためて聴きました。
リリング全集盤。
冒頭大合唱、
時間的にはそれほど長くないですが、カンタータの冒頭合唱の中でも、特に大規模なものの一つです。
はじめに管弦楽が総奏する、復活節周辺の春のカンタータ特有の、明るく輝かしいけれど、どこか心にしみわたるような滋味、哀愁を併せ持ったリトルネッロ風テーマ、
「覚えよ!」と繰り返す、力強い合唱テーマ、
それに、生き生きと、しかしやさしく寄り添う、「神の子羊」に基づく対位テーマ。
これら3つのテーマが、見事な対位法的展開を繰広げて、光あふれる春の世界が、雄大に湧き上がってゆきます。
この後、
これまた実に春らしいテノールアリア、(第2曲)
レチタティーヴォ+中世風ドーリア調コラールが続き、(第3、4曲)
そして、第5曲、合唱付バスアリア。
湧き立ち、ふくれあがり、はじけるような器楽のパッセージ+合唱と、安らぎと力に満ちた、バス(キリスト)による「平安あれ」の歌が、交互にくりかえされ、
やがてすべては、「平安あれ」の歌に収斂し、
まるであわただしく駆けめぐるようだった器楽群も、ゆるやかなまどろみのリズムを刻み、その歌に寄り添う。
(これは、後に、小ミサ曲にも転用される名アリア)
おしまいに、今度は明るくまばゆいイ長調のコラールが斉唱され、曲を閉じます。
リリングの演奏はものすごく丁寧で美しい。特に合唱。
器楽群も、ストリングスはのびやかで透きとおるよう。
管楽器群では、ホルン(高音ホルン)とオーボエダモーレが中心ですが、補佐的に使われているフルートが実に効果的で、音楽全体がうららかな微光に包まれているかのように聴こえる。
実はバッハ、ここにきて初めて、教会カンタータにフルートを使いました。
もちろん、フルート奏者の加入等物理的要因もあったのでしょうけど、
フルートと言えば、コラールカンタータ年巻にとって無くてはならない主要楽器、
まだまだ、控えめではありますが、コラール・カンタータ年巻に向けて、いよいよ本気になってきた、ということか。
* * * * * *
さて、このカンタータの世界そのもののような、春爛漫の今日この頃、
前回の「博物館でお花見」にちなみ、わたしも、お気に入りの江戸絵画から、桜の絵を選んでみました。
江戸絵画の巨人たちの筆で、春の気分を味わってください。
* 大きな絵がはりつけてありますので、絵が見にくくなっています。
クリックの上、さらに拡大してご覧ください。
細部までお楽しみいただけます。
* 一部、東博「博物館でお花見」に出展されている作品も含みます。
(*「博物館でお花見」と書かれた作品)
春信の儚い夢幻の桜
左、「女三の宮と猫」。小さな生き物は、どうやらネコのようです。
右、「源氏窓に若い男女」。

桜と管弦
鍬形蕙斎 「桜花遊宴図」
菱川師宣 「江戸風俗図絵」(部分)
作者?「桜花弾弦図」(部分)
揚州周延 「欧州管弦合奏の図」(部分)
肉筆画
一蝶
英一蝶 「凧揚げ図」。
お得意のやっこ凧と崖の桜の絵。
伝一蝶 「風流十二カ月絵巻」より、「良家の花見」
かつて一蝶画とされていたが、確証は無いとのこと。
広重
広重の版画は、さすがに見慣れてしまいましたが、肉筆画は、思わずはっとするほどの格調の高さ。
左、「東都真乳山図」(*「博物館でお花見」)
右、「東都墨田堤」

のどかな蕪村
「四季山水図」~春
わたしが最も好きな桜の絵
北斎
「行楽帰り図」
春の夕べ、花見帰りの二人の侍。
歩きながらも、まだ鼓を打ち、扇子を回して、まだまだ楽しそう。
遠くに見える桜の木から、よたよたと続く二人の足跡には、点々と花びらが・・・・。
番外・日の本一の桜の絵
早逝の天才、長谷川久蔵(等伯の長男)の遺作、「桜図」。
あの等伯の「楓図」と同じ部屋を飾る障壁画で、「楓図」と並べても、まったく遜色が無いばかりか、
輝かしい生命力ではむしろ圧倒しているように感じた。
戦国桃山の巨人、等伯は、自身も、生涯にわたって狩野派と戦い続けたが、
その画業を継ぐ、かけがえの無い跡継ぎを失った悲しみは、いかばかりだったろう。
久蔵の死によって、等伯は、孤高の絵師となってしまった。
ちょっと、一休み。
喜多川藤麻呂 「大原女花見図」
国芳の総天然色カラーの桜
歌舞伎絵
「京鹿子娘道成寺」より。
「東山桜荘子」より。
国芳の数少ない肉筆画
「夜桜を見る二美人」
国芳の肖像
亡くなった後、弟子の大蘇芳年が描いたもの。
着物の柄は、国芳の代表作のコラージュになっている。
何よりもネコが大好きだった国吉のために、膝元には、まるまって国芳に寄り添うネコを描いてあげている。
こんなにやさしい肖像を、わたしは知らない。
国芳というと、その破天荒な画風やどぎつい色彩感から、蕭白や若冲に連なるような、かなりエキセントリックなイメージがあるが、ここに見る国芳自身も、すごくやさしい佇まい。
と、いうわけで、ネコで始まり、ネコで終わりました。
桜をあしらった、歌舞伎の衣装 (*「博物館でお花見」)
桜の器 (*「博物館でお花見」)
京焼きの鉢ととっくり。

特集陳列 博物図譜 (~4月25日) (*「博物館でお花見」)
江戸時代の興味深い動植物の図譜を集めた展示も、桜をフィーチャリング。
さくら、あれこれ。
春のおそばとお茶。
左は、ひびき庵、今の季節恒例の、桜そば。
右は、お気に入りのお茶。紅茶花伝、季節限定デザートシリーズ「薫る桜」。

リリング全集盤。
冒頭大合唱、
時間的にはそれほど長くないですが、カンタータの冒頭合唱の中でも、特に大規模なものの一つです。
はじめに管弦楽が総奏する、復活節周辺の春のカンタータ特有の、明るく輝かしいけれど、どこか心にしみわたるような滋味、哀愁を併せ持ったリトルネッロ風テーマ、
「覚えよ!」と繰り返す、力強い合唱テーマ、
それに、生き生きと、しかしやさしく寄り添う、「神の子羊」に基づく対位テーマ。
これら3つのテーマが、見事な対位法的展開を繰広げて、光あふれる春の世界が、雄大に湧き上がってゆきます。
この後、
これまた実に春らしいテノールアリア、(第2曲)
レチタティーヴォ+中世風ドーリア調コラールが続き、(第3、4曲)
そして、第5曲、合唱付バスアリア。
湧き立ち、ふくれあがり、はじけるような器楽のパッセージ+合唱と、安らぎと力に満ちた、バス(キリスト)による「平安あれ」の歌が、交互にくりかえされ、
やがてすべては、「平安あれ」の歌に収斂し、
まるであわただしく駆けめぐるようだった器楽群も、ゆるやかなまどろみのリズムを刻み、その歌に寄り添う。
(これは、後に、小ミサ曲にも転用される名アリア)
おしまいに、今度は明るくまばゆいイ長調のコラールが斉唱され、曲を閉じます。
リリングの演奏はものすごく丁寧で美しい。特に合唱。
器楽群も、ストリングスはのびやかで透きとおるよう。
管楽器群では、ホルン(高音ホルン)とオーボエダモーレが中心ですが、補佐的に使われているフルートが実に効果的で、音楽全体がうららかな微光に包まれているかのように聴こえる。
実はバッハ、ここにきて初めて、教会カンタータにフルートを使いました。
もちろん、フルート奏者の加入等物理的要因もあったのでしょうけど、
フルートと言えば、コラールカンタータ年巻にとって無くてはならない主要楽器、
まだまだ、控えめではありますが、コラール・カンタータ年巻に向けて、いよいよ本気になってきた、ということか。
* * * * * *
さて、このカンタータの世界そのもののような、春爛漫の今日この頃、
前回の「博物館でお花見」にちなみ、わたしも、お気に入りの江戸絵画から、桜の絵を選んでみました。
江戸絵画の巨人たちの筆で、春の気分を味わってください。
* 大きな絵がはりつけてありますので、絵が見にくくなっています。
クリックの上、さらに拡大してご覧ください。
細部までお楽しみいただけます。
* 一部、東博「博物館でお花見」に出展されている作品も含みます。
(*「博物館でお花見」と書かれた作品)
春信の儚い夢幻の桜
左、「女三の宮と猫」。小さな生き物は、どうやらネコのようです。
右、「源氏窓に若い男女」。
桜と管弦
鍬形蕙斎 「桜花遊宴図」
菱川師宣 「江戸風俗図絵」(部分)
作者?「桜花弾弦図」(部分)
揚州周延 「欧州管弦合奏の図」(部分)
肉筆画
一蝶
英一蝶 「凧揚げ図」。
お得意のやっこ凧と崖の桜の絵。
伝一蝶 「風流十二カ月絵巻」より、「良家の花見」
かつて一蝶画とされていたが、確証は無いとのこと。
広重
広重の版画は、さすがに見慣れてしまいましたが、肉筆画は、思わずはっとするほどの格調の高さ。
左、「東都真乳山図」(*「博物館でお花見」)
右、「東都墨田堤」

のどかな蕪村
「四季山水図」~春
わたしが最も好きな桜の絵
北斎
「行楽帰り図」
春の夕べ、花見帰りの二人の侍。
歩きながらも、まだ鼓を打ち、扇子を回して、まだまだ楽しそう。
遠くに見える桜の木から、よたよたと続く二人の足跡には、点々と花びらが・・・・。
番外・日の本一の桜の絵
早逝の天才、長谷川久蔵(等伯の長男)の遺作、「桜図」。
あの等伯の「楓図」と同じ部屋を飾る障壁画で、「楓図」と並べても、まったく遜色が無いばかりか、
輝かしい生命力ではむしろ圧倒しているように感じた。
戦国桃山の巨人、等伯は、自身も、生涯にわたって狩野派と戦い続けたが、
その画業を継ぐ、かけがえの無い跡継ぎを失った悲しみは、いかばかりだったろう。
久蔵の死によって、等伯は、孤高の絵師となってしまった。
ちょっと、一休み。
喜多川藤麻呂 「大原女花見図」
国芳の総天然色カラーの桜
歌舞伎絵
「京鹿子娘道成寺」より。
「東山桜荘子」より。
国芳の数少ない肉筆画
「夜桜を見る二美人」
国芳の肖像
亡くなった後、弟子の大蘇芳年が描いたもの。
着物の柄は、国芳の代表作のコラージュになっている。
何よりもネコが大好きだった国吉のために、膝元には、まるまって国芳に寄り添うネコを描いてあげている。
こんなにやさしい肖像を、わたしは知らない。
国芳というと、その破天荒な画風やどぎつい色彩感から、蕭白や若冲に連なるような、かなりエキセントリックなイメージがあるが、ここに見る国芳自身も、すごくやさしい佇まい。
と、いうわけで、ネコで始まり、ネコで終わりました。
桜をあしらった、歌舞伎の衣装 (*「博物館でお花見」)
桜の器 (*「博物館でお花見」)
京焼きの鉢ととっくり。
特集陳列 博物図譜 (~4月25日) (*「博物館でお花見」)
江戸時代の興味深い動植物の図譜を集めた展示も、桜をフィーチャリング。
さくら、あれこれ。
春のおそばとお茶。
左は、ひびき庵、今の季節恒例の、桜そば。
右は、お気に入りのお茶。紅茶花伝、季節限定デザートシリーズ「薫る桜」。
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