1週間遅れの七夕SP~いくつかの七夕の絵+七夕ドーム決戦【三位一体節後7】

 天候不順で全国的にたいへんな被害が出ていますが、被害にあわれた方には心からお見舞い申し上げます。


 今度の日曜日は、三位一体節後第7日曜日。

 カンタータは、

 初期の待降節カンタータを、ライプツィヒ1年目に改作した、BWV186
 第2年巻(コラールカンタータ年巻)の、BWV107
 後期の、ミサ曲原曲として名高いBWV187

 の3曲です。


 過去記事は、こちら。↓

 <三位一体節後第7日曜>

    「小」ミサ聴き比べ&テキスト・カンタータのミステリー(BWV187、107他)



 先週の話になってしまいますが、
 七月七日、七夕の夜、NHK教育の「視点・論点」という10分ほどの番組で、葛飾北斎の「西瓜図」が実は七夕を描いた見立て絵である、というおもしろい話をしていたので、(論者:学習院女子大教授 今橋理子先生)
 メモがわりに書いておくことにします。


 西瓜図は、北斎晩年の作品。(風狂老人卍八十歳)
 北斎ただ一人が到達し得た写実主義の極限を刻印するかのような、北斎肉筆画の白眉とも言える大傑作。


 
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 傑作だけど、よく見ると、謎の絵。
 下方に、半分に切られた西瓜。
 西瓜の上にはなぜか薄紙が敷かれ、その上に西瓜を切ったであろう包丁が横たえてある。

 そしてその上空には、綱が張られ、綱には、どういうわけか西瓜の皮がかけられている。

 まるでりんごの皮のように、一繋がりに細長~~く剥かれた皮。
 しかも2度に分けて剥いたのか、白っぽい皮と、赤みがかった皮の2本。
 そもそも西瓜の皮をこんな風に剥くことができるとはとても思えず、まったくわけがわからない。


 見れば見るほど不思議な絵ですが、
 今回の今橋理子先生の話は、すべての謎を見事に解きほぐすものでした。

 今橋先生によれば、このスイカの絵は、七夕の原初型である「乞巧奠」(きっこうでん)という行事の飾り、「星の座」を見立てたものに他ならない、というのです。

 古代中国に起源をもつ乞巧奠は、七夕の二星に、機織り、裁縫、手芸、さらには詩歌、芸能の上達を願うもので、日本においても奈良、平安の昔から、宮中や貴族の間で綿々と伝わってきた、七夕の原初型とも言える行事。
 正倉院には古代に使用した道具が伝わり、また、万葉集や、源氏物語などにも登場するとのこと。
 その後、一般にも広まって、江戸時代には、簡略化されたものが庶民の間でも盛んに行われていたそうだ。

 現在ではあまり見られないが、京都の冷泉家などでは、今でも七夕には、古式の乞巧奠をおこなっているらしい。


 乞巧奠について、くわしくは、こちら(京都市・風俗博物館のサイト)を参照していただきたいのですが、
 基本的には、
 五色の糸をたらした下に、供え物とともに、琴や琵琶などの楽器、和歌を書いた梶の葉を置き、水を張った角盥に星を映して、習い事や芸事の上達を祈る、というもの。
 その飾りが、「星の座」です。

 そもそも、角盥の角は、かささぎの橋、
 梶の葉(=紙)は、白々とした天の川、さらには、天の川を渡る船の舵にも通じる、
 ということみたい。

 何とも雅でロマンチックな行事ですが、
 ここまでの知識があれば、なんとも??だった「西瓜図」が、まったく異なる絵に見えてくる。

 つまり、この西瓜の絵においては、
 半分に切られた西瓜が角盥、横に突き出した包丁の柄が角盥の把手である角部分、その上に敷かれた紙が梶の葉、
 紙に透けて見える西瓜の種は、盥に映った星、
 となると、上部に垂れ下った不自然なスイカの皮こそ、五色の糸を表しているに他ならず、
 まさに、これは、「星の座」。
 そして、さらによくよく見てみれば、黒い包丁には、白い汚れみたいに、七夕二星座らしきものがくっきりと描かれている!

 これはあくまでも今橋先生の説のようですが、そのように考えるとすべてがつじつまが合い、
 逆にそう考えないと、西瓜の皮のことなど到底説明できず、
 これは、ほぼ間違いないのではないでしょうか。

 先生は、「包丁の刃」も「梶の葉」=「鍛冶の刃」にかけているのでは?とおっしゃってましたが、どうでしょう。

 さらに想像をたくましくすれば、
 満点の星(すいかのタネ)が透けて見える紙=白々と明るく煙る銀河、そこに横たわる黒い包丁こそは、「かささぎの橋」で、その上に、牽牛と織女がいる、
 と言う解釈は、ちょっとロマンチックに過ぎるでしょうか。


 それにしても、この絵、見ればみるほどすごい。

 西瓜の、薄紙からはみ出して直接見える部分と、
 しっとりと濡れた紙を通して透けて見える部分との対比の見事さ。
 どちらも、見ていると、まるで夏の香りがただよってきそうなほど瑞々しいのだが、それは、まったく異なる種類の瑞々しさ。
 さらに、その上にかかる薄~~い透き通るような西瓜の皮の質感。
 ちょっとひっぱったらすぐに切れてしまいそうなほどのそのはかなさ。

 もちろん乞巧奠のことなど何も知らなくても、この恐るべき写実性を有する絵を鑑賞するのに、何の問題もありません。

 だけど、
 以前、この絵を目の前にした時は、その対象の本質にするどく迫る筆遣いのすさまじさに、息を飲むほどの衝撃を受けたものだが、
 心の底から感動しながらも、
 描いてあるものが描いてあるものなだけに、
 なにゆえ、まったく意味不明なもの、つまり、薄紙をかぶせた西瓜や、りんごの皮みたいな西瓜の皮を見て、こんなにも心を動かさねばならないのか、
 という、極めて素直かつ素朴な、釈然としない気持ちが心の隅にあったのも、また事実でした。

 
 そのわだかまりを、一気に払拭してくれた、今回の今橋先生の説。

 この西瓜やら、皮やらは、わたしなどには想像さえし得なかった、はるかにロマンチックかつ壮大、しかも深く歴史や伝統に関わる意味を持っていたのだ!!

 もっともこのような見立てや謎かけ自体は、日本画では一般的なことで、北斎も、ちょっと洒落た軽い気持ちでこの絵を描いたにちがいない。
 ただ、80歳を超えた北斎の筆致はあまりにも精緻で、対象の分子的な本質にまで限りなく肉迫しているようにさえ思え、
 このただのスイカの絵には、ある種ミクロコスモスのような神秘的な気配が漂っている。 

 そういう意味でも、このスイカは、ただの見立て以上に、無限の宇宙、悠久の歴史につながっている、と言ったら言い過ぎだろうか。

 このあまりにもリアルなスイカを見て、壮大な宇宙に、奥の深い日本の伝統に、思いをはせようではありませんか?

 
 ちょうど、冷泉家のことや、古代の紙の原料になった梶の木のことなどを、このブログにも書いたばかりだったので、何とも身近なお話でもありました。


 ところで、今回、江戸絵画の見立て、象徴の話に接して、思い出したのは、やはり、バッハのこと。
 よくよく考えたら、このような、見立て、象徴は、バッハを始めとする古い西洋音楽で、普段から接していることではないか。
 江戸絵画の巨星とバッハ、おもしろいな、と思った。

 それにしても、日本画の見立ての中には、このように、今やほとんど失われてしまった意味合いを持つものも少なくないんだろう。
 さまざまな分野にわたる幅広い知識があれば、もっともっと世界が開けるのに、と思うと、自分の無知、不勉強が残念でならない。



▽ 北斎のその他の星にまつわる絵

 初期の、もう一つの七夕図(左)。
 単なる美人画のようだが、ここでも、梶の葉らしきものを持っていることから、七夕図と言われてきた。

 右は、直接七夕とは関係ないが、北斗七星の神を描いた文昌星図。
 こちらは、晩年、八十四歳卍筆。
 北斎は、星、特に北斗七星への信仰が強く、自ら戴斗と号していた時期もある。

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 その他、北斎ではありませんが、七夕を描いた、ちょっとしゃれた日本画。こちら



▽ 七夕がテーマのまんが

 他にもありそうだが、これしか思いつかなかった。
 岩明均の長編の中では、一番目立たない作品。
 それでも、七夕特有の伝奇的雰囲気は満点で、何かとんでもないことがおこるのでは、というゾクゾクした感じは最後の最後まで持続し、そのまま静かに終わってゆく。
 そういう意味で、あの奇才シャマラン監督の、いくつかのしょぼい作品と似ているかも。

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 さて、わたし個人的には、ここからが本題。

 その七夕の夜、わたしが何をしてたかというと、東京ドームにおりました。



 7月7日(水)


 七夕東京ドーム決戦 日ハムVSソフトバンク


▽ たなばたカビー

 カビーちゃん、緑の服を着てるので笹の葉とまちがわれたか、願い事の短冊をはられまくってました。
 中には、「カビーちゃんが無事四才になれますように」というシュール?なものも。
 カビーちゃん、プロフィールによれば、B☆Bの弟で、3歳。もうすぐ誕生日ですが、(7月20日)おそらく永遠に3歳のままだと思われます。
 ただ、発言等があまりにもおやじっぽいので、年齢詐称疑惑もあるとのこと。  

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 春からずっと、最下位の長いトンネルから抜け出せず、苦しんできたファイターズ。

 例年だと、ジャンプ・アップのきっかけとなる得意の交流戦が終わっても、まだビリのまま。
 こりゃ今年はダメかな、と、早くもあきらめかけていたのですが・・・・、(このブログにも何も書く気がしなかった)

 その直後、5位の楽天がマー君の無念の戦線離脱等もあって、調子をくずし、ようやく5位に浮上、

 その後も、日本中がワールドカップに盛り上がっている間に、地味~~に、しかし考えられないようなペースで勝ち続けて、
 7月初旬には、たまりにたまっていた貯金をついに返済、4位のオリックスに僅差まで迫るところまできました。

 そして、いよいよ、待ちに待った東京ドーム・ホームゲーム。3位のホークスとの3連戦。

 この3連戦の結果によっては、4位に上がるばかりか、3位に迫ることもできる!
 最高の形で、ドーム戦を迎えることになりました。


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 まず、7月6日の初戦は自宅観戦。何と、12-0で惨敗。

 目の前が真っ暗になりましたが、こりゃいかん、と気をとりなおし、7月7日の七夕当日、ドームまで応援に駆けつけました。


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 この日は、ソフトバンクのサービスデーか何かだったようで、ソフトバンク側の席は最上階まで客が入り、試合途中では王さん&孫さんまでが姿を見せ、どちらがホームだかわからないような状態。
 しかし、日ハムファンも、今が正念場だということがわかっているので、応援に力が入ります。


▽ ちょっとぼけてますが、王さん&孫さんがあいさつ。
  王さんと、同じ空間にいるかと思うと、それだけで何だかうれしくなる。

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 先発は、なんと、今年まだ一勝もしていない八木。
 中盤、先取点を取られてしまいましたが、その後踏ん張り、
 7回、相手投手が、好投を続けていた小椋から中継ぎエース摂津に変わった一瞬のスキをついて、日ハム打線がついに炸裂。
 糸井、坪井、金子の下位から、クリーンナップにそのまま続く目にも止まらぬ猛攻で一気に4点を取り返しました。


▽ 左、好投の八木選手。
  右、頼りになるニュー「靴下族」、糸井。

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 これこそが、日ハム本来の野球だ!
 日ハムファンでいる幸福をかみしめた瞬間です。

 その後は、そのまま磐石の継投で逃げ切り、八木もついに1勝目。チームも4位、ついにAクラスを狙える位置にまで浮上しました。


▽ ファンに挨拶する、小谷野選手。今や稲葉選手と並ぶ、押しも押されぬ主砲。

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▽ ヒーローインタビュー
  八木選手と、決定打を打った賢介。

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 結局、この七夕ドーム三連戦、翌日も快勝。

 ああ、応援に行ってよかった。


 その後、黄金のユニフォームに身をくるんだダルビッシュの今年一番の激投等もあって、
 さらにじわじわと勝ち続け、

 ついに・・・・、

 一瞬でしたが、ソフトバンクと肩を並べる同率3位、Aクラス入り!(7月13日時点)


 ただ、まったく油断はできない。
 昨夜(7月14日)は惜敗し、また4位に転落、しかもオリックスとの差もわずかになってしまった。
 現在、パ・リーグは、セ・リーグとはちがって、首位西武から最下位楽天まで、全6チームがそれほど開きの無い状態で、熾烈なデッドヒートをくりひろげている、という状態。

 これから、息を抜けない厳しい毎日が続くことと思いますが、こうなると、やはり、楽しい。
 ようやく、シーズンが始まったような気がする。

 オールスターが終わった後からが、ほんとうの勝負だ。

 がんばれ、ファイターズ!



 日本代表の善戦もあってものすごく盛り上がった、サッカー・ワールドカップが終わってしまい、ちょっとさびしいですが、
 野球もいよいよ中盤の佳境、
 ツール・ド・フランスも山岳ステージが始まり、
(フジテレビ撤退後、さびしい思いをしてましたが、ケーブルTV導入でやっと見られるようになった)
 スポーツの熱い夏は、まだまだこれから。



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「全体記事目次」

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カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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