これは困った??映画「心の香り」~極個人的感想、ネタばれ厳重注意!!

 上海万国博覧会開催記念

 中国映画の全貌 2010 @ 新宿 ’s cinema

    ~8月27日(金)まで



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 ↑クリック+拡大すると、上映プログラムがご覧いただけます。



 公式HP



 一昨年末に続き、上記映画祭に行き、
 大好きで尊敬する朱旭(チュウ・シュイ)さん主演で、未見だった映画、「心の香り」を見てきた。
 評判のよい映画で、ずっと観たかったので、すごく楽しみにしていたのだが、この映画祭のおかげでようやく見ることができた。
 思えば一昨年末、10年近くもの間ずっと観たかった幻の名作「變臉」(へんめん)を観ることができたのも、この映画祭のおかげ。
 実にありがたい。

 

 「心の香り」(心香)

    (’92 中国映画 孫周(スン・チョウ)監督作品)



 上映を待つ間、シーンと静まり返った館内に、しみじみとした無伴奏チェロの演奏が流れ、
 「お、ひさしぶりに「小川が流れる映画」か?」と否が応にも期待が高まりましたが、まったく関係ありませんでした。



 以下、ネタばれ厳重注意!!



 まずは、以下、ストーリーを最後まで全部書いてみようと思います。
 物語自体は、実にすばらしいので。
 もう20年近く前の映画なので、いいでしょう。
 ただ、これからまったくの先入観無しで観たい、と思ってらっしゃる方は、ここで読むのをおやめください。



 元京劇の名優のおじいさん。(もちろん朱旭さん)
 今でも周囲の人から尊敬されながら、一人静かに余生を過ごしているが、かなりの頑固者なのが珠に瑕。
 そんな祖父のところに、初めて見る孫の京京(チンチン)がやってくる。
 家出同然で家を飛び出していった娘が、離婚することになり、あずけられたのだ。
 実はこの京京、京劇の天才子役として大活躍しているのだが、そのことがおじいさんにばれて、厳しく練習させられてはかなわない、と、京京は黙っておくことにしている。

 おじいさんには、大切な人がいる。
 川向こうの、村の京劇劇場近くに住む、上品でステキな女性、蓮おばさん。
 蓮おばさんは、熱心な仏教徒でもある。(タイトルの「心香」は仏教用語とのこと)
 おじいさんは、いつも船で川を渡って、蓮おばさんに会いにゆく。
 二人は、心を深く通わせ、支えあって生きているが、
 蓮おばさんには、40年前に生き別れた夫がいて、最近、風の便りに、今も台湾で生きていることがわかり、
 これまで平穏そのものだったおじいさんと蓮おばさんの間にも、微かな波風が立ち始めている。

 そんな中で、始まったおじいさんと京京の共同生活。
 始めはなかなか馴染むことができない二人。
 心を固く閉ざしたままで、おじいさんと蓮おばさんのやりとり、年を重ねてきた二人ならではの深い心の交流を、じいっとみつめる京京。

 やがて京京は、村の人たち、特に隣に住む美しい少女・珠珠や、そして他ならぬ蓮おばさんとの交流を通じ、
 次第に心を開いてゆく・・・・。


 二人の老人の、おたがいを慈しみ、愛する、深い心の結びつき、
 「トントンの夏休み」的な、少年の一夏?の体験、少女との淡い恋、
 それらが、
 雑多な街中の、古く汚れているが、重厚かつ壮麗なつくりの共同住宅、
 川向こう、ひなびた田園地帯の、いかにも村営、といった感じの京劇の劇場、
 そして、その間を流れる大河、
 そんな、いかにも中国大陸、といった、これ以上考えられないほど魅力的な風景を舞台にして、
 重層的につづられてゆく。


 ラスト、
 蓮おばさんが病に倒れ、そこに、蓮おばさんの夫が亡くなったという知らせが届く。
(このあたりははっきりわからなかったが、もしかしたら、蓮おばさんは知らせに接して倒れた、ということなのかもしれない)
 夫の後を追うように、蓮おばさんはそのまま、息を引き取ってしまう。
 悲嘆に暮れるおじいさん。
 やがて、おじいさんは、代々伝わる家宝の琴を処分してまで、亡くなったおばあさんとおばあさんの夫、二人の調度(供養)をしようとする。
(このあたりの、朱旭さんお得意のハードボイルドさは、ただごとではない。)

 そんなおじいさんの姿を見て、京京は、少しでもお金をかせいでカンパしようと、封印していた歌と踊りを、ついに炸裂させる。
 心の叫びが、山河に轟き渡り、それはおじいさんの心にも届く。
 おじいさんは、ここで初めて、
 自分と対立していた娘が実は息子に京劇を学ばせていたという事実、
 そして、自分で途絶えてしまうとあきらめていた芸が、確かに孫の中に息づいていることを知るのだった・・・・。



 さて・・・・、と。
 
 以上のように、ストーリーや舞台背景を書いただけで、実に魅力的、もうぞくぞくする。
 それに加えて、いつもながらの朱旭さんの名演技、
 ふつうだったら、わたしがもっとも好きなタイプの映画、文句なしにイチコロ、

 ・・・・のはずなのですが、

 見終わって、すっかり困ってしまった。
 なぜか心にストレートに響いてこない。何かが、ほんのすこしずつ、ビミョ~にずれている、というか。
 こんなことは滅多にないので、当惑してますが、これはおそらくわたし自身の問題で、
 何かがじゃまをして、わたし自身が映画の世界に没入してゆけなかった、ということなんでしょう。

 評判はすばらしくよい映画で、感想等を見ても、悪く言ってる方はほとんどいらっしゃらないので、機会があったらぜひご覧になっていただきたいとは思います。


 今の時点で、はっきりと(わたしにとっての)不満としてあげることができるのは、
 京劇がテーマの映画なのに、あまりにも京劇のシーンが少なかったこと、
 それと、少し小太りのハリポタみたいな京京が、(これこそまったく個人的感想で恐縮ですが)わたしにとってはあまりかわいく感じられなかったこと、
 の2点でしょうか。

 それと、この作品、現在では中国映画の旗手とも言える監督のほとんどデビュー作品なのだそうですが、
 そのせいか、この監督の、「気負い」みたいな、どこかもったいぶった感じみたいなものが、映画の随所に見えていて、わたしには少し抵抗があるのかも。


 逆に、無条件にすばらしかったと思うのが、
 もちろん、前述の通り、朱旭さんの演技、
 さらに、蓮おばさん役の王玉海(ワン・ユイメイ)さんも、驚くほど上品で、凛としていてステキだった。
 それから、やっぱり舞台背景、
 そして、その舞台の要とも言える大河の、実に巧みな使い方です。
 物語の要所要所で、川を流れてやってくる、お祭りの龍船や、古風なジャンク船など、小道具、大道具の見事さ。
 これらがまたステキなだけに、なおさら入り込んでゆけなかったのが残念。



 うーん、何だか、はっきりしない記事になってしまった。
 ほんとに、困った。



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