青春の鎌倉再訪記’11初夏 小町大路を鶴岡八幡宮へ~鎌倉駅(ごく)周辺の仏像たち

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 5月のアルバム、最後は鎌倉に行ったときのくわしい記録。



 5月21日(土)



 鶴岡八幡宮境内の鎌倉国宝館で開催された、

 特別展 「鎌倉の至宝-国宝・重要文化財-」

 を見にでかけました。
 (その時の詳細記事は、こちら。)

 八幡宮にお参りする場合、ふつうは正式な参道である若宮大路や小町通りから行くことが多いと思いますが、
 今回はちょっと気分を変えて、若宮大路の一本東側の道、小町大路をゆっくりと散策しながら八幡宮に向かいました。

 小町大路は、鎌倉の西側の山際に広がる閑静な住宅街の中を、滑川に沿って伸びる道で、
 滑川の変化に富んださまざまな風景が楽しめる他、北条家や日蓮ゆかりの史跡も多く、ちょっとした散歩には最適。

 道沿いには、鎌倉駅から近いにもかかわらず、個性的な仏像を抱える寺院も多く、
 また、鎌倉から至近でもっとも多くの仏像が拝観できる場所は、他ならぬ鎌倉国宝館なので、
 以前書いた、鎌倉駅周辺の仏像シリーズの続編として、

 「鎌倉駅(ごく)周辺の仏像たち」

 ということで、散策記を書いてゆきます。



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 鎌倉駅から若宮大路に出ると、対岸に朱色の門が見える。

 これが、おんめ様、大巧寺

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 交通量の激しい、鎌倉で最もにぎやかな交差点に直接面していながら、
 (この写真は、上の写真の門から若宮大路側を振り返ったところ)

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 一歩境内に入ると、緑あふれる静かな参道。季節の花が咲き乱れている。

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 本堂前を通って、この参道を抜けると、そこがもう小町大路。
 このあたりに住む人は、大巧寺境内を抜け道代わりにしている方も多いと聞く。



 小町大路

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 小町大路に出て、右側(南側)を見ると、
 ごくふつうの住宅地の中に、いきなリ大きな三門が建っているのが見える。


 本覚寺


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 鎌倉のお寺というと、すぐに谷戸(やと)沿いの山寺が思い浮かぶが、
 この本覚寺、平坦で広々とした、庶民的な雰囲気の境内が、妙に親しみやすい。いかにも、ご近所の憩いの散歩道、という感じ。
 そんな何気ない日常的な雰囲気のお寺だが、すばらしい仏像が伝わっている。

 本堂の本尊、唇をかみしめるような厳しい表情で、まっすぐに前方を見つめる、堂々たる佇まいの釈迦如来座像及び両脇侍像

 えびす堂に祀られているえびす様は、江戸期の小像ながら、迫力ある表情、鯛もつりざおも持っていない古様式の珍しい像。
 このあたりの夷堂という地名は、古くからのものらしいから、かなり古くから伝わっていたえびす様を、江戸期に彫りなおしたものなのだろう。
 鎌倉・江ノ島七福神のうちのひとつ


 本覚寺についての詳細記事は、こちら

 

 本覚寺門前にある、お米屋さんがやっているおにぎり茶屋、谷口屋で、いきなりランチ。

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 こちらも本覚寺のすぐ門前、滑川にかかる夷堂橋
 本覚寺のえびす堂ができて、この橋の名が意味を取り戻した。

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 夷堂橋から見た滑川。

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 夷堂橋を渡ると、もうそこは妙本寺の入口になっている。


 干してある干物は、橋のたもとの魚屋さんのもの。
 駅からほんの数分で、このあまりにも懐かしい情景はいったい・・・・。
 この魚屋さんは、わたしが子どもの頃からあった。

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 妙本寺は、こちらは100%鎌倉らしい山寺。
 駅からすぐの場所にあるにもかかわらず、深い杉木立に囲まれた静かな風情。
 昔よくお弁当を持っていって、半日ほど過ごしたりしたお気に入りのお寺。
 山の上の本堂までけっこう歩くので、今日はパス。


 妙本寺入口にある妙本寺の幼稚園。

 寺院風建築と洋館等がいっしょくたになっていて、なかなかすさまじい。
 浪花・北船場の愛珠幼稚園、富田林で見た幼稚園等と並ぶ、歴史的建築の幼稚園。

 
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 いよいよ、小町大路を北に向かう。

 基本的に閑静な住宅地ながら、あちこちに洋館や蔵などの古い建物やお屋敷などが点在し、置いてある車なども高級車が多い。
 ところどころに、個性的な建物を利用した洒落た店舗もみられ、散歩していて楽しい。
 休日は抜け道になってるためか、車の往来が多いけど。

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 蛭子神社

 滑川のすぐほとりに建つ古社。

 入口に、なつかしいポスト。

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 小さい社ながら欝蒼としている。

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 境内から見る滑川。

 滑川は、上流にさかのぼっていることになるが、上流に行くに従い、緑が鮮やかに、美しく輝いてくる。 

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 社殿等の彫刻

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 神輿庫

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 境内には巨古樹多し。

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 日蓮辻説法跡を過ぎて少し行くと、
 日蓮と同じく数々の迫害に耐えた、室町時代の日蓮宗の僧、「鍋かむり日親」ゆかりの妙隆寺がある。

 本覚寺のえびす様に続き、鎌倉・江の島七福神の一つ、福禄寿がいらっしゃる。写真は、境内の石仏だが、鹿がかわいい。

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 少し山間にはずれて、東勝寺橋へ。


 一見何でも無い橋だが、よく見ると、アーチ型の美しい橋。
 このあたりから見る滑川の風景は最も美しいと言われる。

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 この奥に、北条氏滅亡の地、腹切りやぐらがある。

 先ほどの妙本寺の裏山からこの腹切りやぐらまで、ハイキングコースが続いていて、以前、山道の中に突然古色蒼然とした三門が現れてびっくりしたことがある。
 もとは扇ヶ谷の英勝寺の三門だったらしいが、あれは今でもあるんだろうか。


 どんな小路でも突入してくる人力車。
 東勝寺橋も、しっかりと観光コースに入ってるみたい。

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 東勝寺橋まで来ると、付近の小路から、早くも宝戒寺の裏塀が見える。

 塀には、三角×3のおなじみの北条家の家紋が。
 そう、宝戒寺は、北条家屋敷跡に建てられた寺院。
 北条得宗家鎮魂のお寺なのだ。

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 一度、小町大路に戻り、表門から、小町大路のゴールでもある宝戒寺へ。


 秋には萩の花で埋め尽くされることで知られるが、今は一面緑の世界。

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 ここは、知る人ぞ知る仏像の宝庫。

 本堂に入ると、薄闇の中に浮かび上がる仏像群の迫力に息を飲む。
 正面には、本尊・地蔵菩薩坐像
 大ぶりの仏像とは言え、やさしい、というか、少し悲しげ、とも言える表情だが、
 その背には、地蔵菩薩にはやや異例な、飛天や迦陵頻伽が舞飛ぶ、黄金の巨大な光背を背負い、
 そして、左右にひかえる巨大な両脇侍は、梵天、帝釈天の最強コンビ。
 つまりこのどこかさびしげなお地蔵さまは、強力なパワーに守られているのだ。

 宝戒寺は、滅亡した北条氏の鎮魂と国家鎮護のため、かつての北条氏の屋敷跡に、後醍醐天皇の命によって足利尊氏が創建した寺院。
 この寺院にどのような祈りが込めらていたかを考えると、その本尊に、この三尊像は最もふさわしい姿なのではないか。

 三尊像の周囲には、少し小ぶりの十王&脱衣婆
 閻魔さまがいないな、と思ったら、向って右の基壇に、内陣からはみださんばかりに巨大な閻魔大王像
 向って左の基壇には、准胝観音と、
 またまた出ました、鎌倉・江の島七福神の一つ、まだ新しいのか色鮮やかな毘沙門天像
 それらの仏像がひとつになって、何とも言えぬ荘厳な仏像空間を形成している。

 そんな、厳粛な堂内空間に対し、大きく開け放たれた戸の外は、滴り落ちるかのように麗しい緑、緑、緑。
 そのきらめく光が、小鳥のさえずりとともに堂内にも入り込んできて、何とも言えない清々しさ。
 かつて鎮魂と鎮護国家の祈りをこめてつくられた一大仏像空間は、いまや大いなる安らかさを獲得し、癒しの空間となっているのだった。


 その他、宝戒寺で最も有名な仏像は、何と言っても、歓喜天像
 大聖歓喜天堂に祀られているが、ふだんは当然秘仏で、厨子がのぞけるだけ。


 境内は、心が洗われるように美しい緑の世界。

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 宝戒寺についての詳細記事は、こちら



 さて、ここまで来ると、今日の最終目的地、鶴岡八幡宮はすぐそこ。


 宝戒寺前の前あたりら、小町大路は金沢街道となる。
 少し北側の角の、鎌倉小学校横の小路に入ると、正面には、もう鶴ヶ岡八幡宮の東側の鳥居が見える。
 その鳥居を入ってすぐのところが、今日のそもそもの目的地、鎌倉国宝館。


 鎌倉国宝館


▽ 鎌倉国宝館は、あの今は無き歌舞伎座を設計した岡田信一郎博士の作品。
 
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 鎌倉国宝館で開催されていた、

 特別展、「鎌倉の至宝-国宝・重要文化財-」

 については、奥の院に記事を書きました。 こちら


 上記記事では触れませんでしたが、この展覧会では、

 鶴岡八幡宮に伝わる弁財天坐像も観ることができました。

 鎌倉・江の島七福神の弁天様は、本来は、当然江ノ島の弁天様なのだが、
 まあ、一応、これで、七福神のうち、4つの神様を拝観!



 さらに、国宝館では、同時に、

 平常展示「鎌倉の仏像」

 を見ました。


 最近では、平常展示をとっぱらって特別展をしていることが多かったので、わたしも、平常展示を見るのは久しぶり。
 国宝館内部に入ってすぐ、鎌倉を代表する大振りの仏像がずら~っと並ぶ様はまさに壮観!仏像を愛する人にとってはたまらない空間です。
 鎌倉駅近くで、最も多くの仏像を観ることができる場所は、まちがいなく、ここ、鎌倉国宝館なのです。

 昔から比べると、だいぶ様変わりしていたし、せっかくの機会なので、
 国宝館平常展示で見られる仏像に関しても、奥の院に別途詳細記事を書きました。

 こちら



 それから、八幡宮にお参り後、神奈川県立近代美術館の

 「近代の洋画 開館60周年 ザ・ベスト・コレクション」

 に立ち寄り、松本竣介の「立てる像」と再会。


 これについては、前回の記事をごらんください。 こちら


▽ 神奈川県立美術館は、
  上野の国立西洋美術館も手がけたル・コルビュジェの弟子だった、
  板倉準三の作品。
  源平池の景色の中にとけこむ名建築

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 帰り道の風景

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 いつものイワタ・コーヒーでお茶。
 今日もまた、ほっとケーキは売り切れ。
 写真は、オリジナルコーヒーの「じんちょうげ」。マシュマロが入ってる。

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 おー、一回で終わった。
 というか、むりやり詰め込んだ。



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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2011年06月10日 19:31
お魚屋さんが子どものころもあったなんて、遠足でご覧になったのでしょうか?よく覚えていましたね。
それにしてもこうした鎌倉散歩もなかなかいいものですね。

本が書けるくらいに仏像に詳しくていらっしゃいますが、いつ頃から勉強されていらっしゃるのですか?
2011年06月11日 23:45
 tonaさん、こんばんは。
 鎌倉に初めて行ったのは、小学校高学年の時で、それこそ遠足か、両親と一緒だったかと思いますが、実はあまり印象に残っていません。
 中学生になって、友人(歴史クラブ部員)と一緒に行ってから、鎌倉が好きになり、特に夏休みにはその友人と自由研究で何度も通い、妙本寺前で魚が干してある風景を見たのもたぶんその時ではないかと思います。

 仏像はその頃から大好きで、長い間見続けていれば、自然とくわしくなるわけで、特に改めて勉強などしたことなく、書いていることもいいかげんなことばかりです。カンタータのことと同じく、書きためたメモなどを整理するつもりで、記事を書いています。一応書いたことが正しいか確認するようにしていますが、まちがいが多いかもしれません。
 最近は、楽しみで仏像を観る人も増えているようですが、その走りだったのかもしれませんね。 

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