スカイツリーよりもすごいぞ。ネコ大好き!心優しきお江戸のヒーロー~国芳展(前期)【ヨハネの祝日ほか】

 * またまたまちがい。24日は、金曜日でした。


 今週の金曜日(6月24日)は、洗礼者ヨハネの祝日。

 冬のクリスマスに対して、こちらは、夏(夏至)の大祭。
 カンタータも、夏らしい飛びっきりの名曲がそろっています。


 第1年巻の、BWV167
 第2年巻の、BWV7
 後期、何と、バッハの事実上最後のカンタータBWV30


 過去記事はこちら


 <洗礼者ヨハネの祝日>

    バッハの最後のカンタータは?その2(BWV30)
    始まりはいつも Overture(BWV7、167他)
    (参考資料) コラールカンタータ年巻 「始まりの4曲」 一覧
    お気に入りのアリア・ヨハネの祝日編 夏至の火祭・不思議なギター~BWV30

 なお、この日のカンタータの中でも特別な大傑作、BWV30に関しては、
 昨年の、BCJのカザルスホールさよなら公演のレポートもぜひ、ごらんください。



 さらに、今度の日曜日(6月26日)は三位一体節後第1日曜日です。


 カンタータは、

 第1年巻の、BWV75
 第2年巻の、BWV20
 後期、BWV39

 の3曲。


 過去記事はこちら


 <三位一体節後第1日曜>

    始まりはいつも Overture(BWV20、75他)
    (参考資料) コラールカンタータ年巻 「始まりの4曲」 一覧
    きちんと曲目解説~年巻の始まり。この機会に用途不明テキストカンタータの名作を
    バッハの「第3年巻」~BWV39、34の話題を中心に


 先週も少し触れたように、今週から、1年の後半、夏~秋のシーズンが始まり、三位一体節後第○日曜日、というようになります。

 バッハがライプツィヒに赴任したのもちょうど今の時期なので、バッハのカンタータ年巻もこれから始まります。
 ですから、上にあげたカンタータも、壮麗な序曲から開始される、特別気合いの入った作品がそろって多いわけですね。

 
 と、いうわけで、バッハの「カンタータ年巻」を通して聴いていくには、絶好のチャンス。

 若々しい覇気と実験精神にあふれ、従ってバラエティに富んでいて、ケーテンの香りも色濃く残る、第1年巻。

 バッハの生涯の最高傑作である、巨大な「作品」、第2年巻=コラール・カンタータ年巻、

 バッハ後期の自由闊達、自在の境地のカンタータ群、第3年巻。

 第2年巻を超える、幻の最高傑作?の片鱗、ピカンダー年巻。

 あなたの気になる「年巻」は、どれでしょうか。
 わたしは、そろそろ、初期、ヴァイマール時代の、「まじめ」なカンタータ群も聴いていこうかと。


 今後ともよろしくおつきあいください。



  *    *    *    *    *    *



 今日からまた、6月のアルバム。


 まずは、大々的に予告編?を書いた国芳展。
 とりあえずは、早速前期に行ってまいりまいりましたので、かんたんにそのことから。



▽ かつを!
  ネコがいっしょうけんめい「かつを」の字を作ってます。

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 6月5日(日)



 没後150年記念 破天荒の浮世絵師

 歌川国芳

    @ 浮世絵 太田記念美術館

 前期 豪快なる武者と妖怪 ~「勇」「怪」「華」 6月1日(水)~6月26日(日)

 後期 遊び心と西洋の風   ~「遊」「爽」「憧」 7月1日(金)~7月28日(木)


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 前期と後期で全作品総展示替え。しかも、前期、後期それぞれの中でも、展示替えあり、という総括的大展覧会。

 左、前期ちらし。右、後期ちらし。
 クリックの上、拡大すると、主な展示作品がご覧いただけます。

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 以前、府中の国芳展の時は、図録が売り切れで悔しい思いをしたので、今回は、早め早めに行き、図録もゲット。


 今回の展覧会、すでに観たことがある作品も多かったが、何度観ても、やはり実物は大迫力。

 また、作品と合わせて、人間・国芳という人をたどるエピソードなどもたくさん紹介されていて、初めて知る事実も多かった。
 

 国芳がなぜか素潜りの名人であった、ということが判明。
 海の描写、水中の描写の圧倒的な迫力、美しさ、そしてリアリティの秘密が明らかになった。


 また、月岡芳年(国芳の弟子)画のわたしの大好きな国芳の肖像画が、
 実は、「日本奇人伝」という本の挿絵に国芳自身が描いた自画像(もちろん例によって後ろ向き)を、振り返らせ、にこっと笑わせたものだということが判明。
 国芳のオリジナルにも、もちろん、国芳が生涯にわたって何よりも愛し続けたネコがまとわりついている。
 ますますこの肖像画が好きになった。

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▽ もう一つの国芳の「自画像」。
  「勇国芳桐対模様」

 一門の者を引き連れて、天下祭に繰り出す国芳。
 思いっきりかぶいた火事袢纏?をまとって、先頭で指揮をとってるのが国芳。
 これは、3枚つづりの大作の先頭(一番左)の部分で、この後(右)にずらりと、思い思いの色鮮やかな着物をいなせにはおった弟子たちが続く。
 みんな笑顔。なかなかの色男ぞろいだが、国芳だけは例によって後姿。

 天保の改革下、綱紀粛正の嵐が吹き荒れる中、あらゆる奇策を用いて弾圧の網をかいくぐり、江戸っ子に生活の楽しみを提供し続けて、お江戸の文化を守り通した、お江戸のヒーロー、国芳。
 このような一門の絵までもが浮世絵としてもてはやされるのだから、いかに江戸っ子に愛されていたかがわかる。

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▽ 墨田川花火の大パノラマに、
  浴衣着流し姿の当代人気役者6人をずら~っと勢ぞろいさせた、
  6枚つづり!の超大作、「両国夕涼之図」。(一部)

 国芳といえば、「東都三ツ股の図」に描かれたスカイツリーのような塔ばかりが話題になったが、この絵の背景にそびえてるのはどう見ても高層ビル群。
 こちらの方がちょっとすごいような気が。
 夥しい人で埋め尽くされた橋は、鉄橋のようだし、上空に整然と並んだ光はどうやら花火のつもりらしいが、妙にSFチック。
 背景浮かんでるのは、完全に未来都市?
 国芳、いったい何を見ていたのか。

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 (これはあくまでも推測だが、実際のところは、外国の絵が大好きだった国芳のこと、何かの洋画を御手本にして建造物をそのまま写した可能性あり。かのスカイツリーも、いろいろな説があるようだが、同じような理由によるのではないか、とわたしは思っている)


 前後期あわせて2ヶ月の長丁場ですが、後期に行けばいいか、などと油断しないこと。
 上記の通り、前後期で総入替え、

 後期展示も、国芳の芸術の幅広さやその生き様を深く知るにはとても興味深いテーマ構成のようですが、
 国芳の芸術的な本領は、何と言っても、3枚連続の大画面をフルに活用した、
 (中には6枚連続、さらに、今回は展示されていませんでしたが、たてに3枚連続というぶっとんだものも!)
 ドラマチックで奇想天外、目にも鮮やかな極彩色と大胆な造型で、見るものに圧倒的なインパクトを与える、武者絵や妖怪・怪物画、
 それらの代表作が一堂に会した、圧巻の前期展示、ぜひお見逃しになりませんよう。


 ただ、かつて板美で堪能したすさまじい歌舞伎の舞台画が少なかった点だけが残念。


 前期展示、今週の日曜日(6月26日)までです。
 例によって、ギリギリで申し訳ありませんが、行ける方はぜひ!



 公式HP



▽ 美術館向い(ラフォーレ原宿)のオープンカフェでランチ

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 久しぶりに原宿まで行ったので、渋谷まで足をのばし、いつもの「たば塩」へ。


 特別展 華麗なる日本の輸出工芸 世界を驚かせた精美の技 @ たばこと塩の博物館

    ~7月3日(日)


▽ 博物館の前が、いつの間にかオープンカフェになっていた。

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 明治以降の輸出工芸を中心に展示。

 芝山細工(貝や象牙などを素材にした、立体的な装飾)、寄木細工など、技術的には息を飲むものがあった。
 それらの細工ものがびっしりと施された、巨大な屏風や家具などは圧巻。
 外国人は目を見張ったことだろう。
 ただ、小さいものなどは、全体の印象としては、安土桃山や江戸期の工芸に比べるとわざと日本っぽくしている、というか、つくりもの、おみやげものめいた通俗感が強い気がした。それがかえっておもしろい場合もあったけど。


 それよりも、
 国芳展を観たばかりだったこともあって、

 ミニ企画コーナー展示 「あやかしの妖術」

 がえらくおもしろかった。

 江戸期の悪役ヒーロー勢ぞろい。
 ほとんどが、無念の最期を遂げた歴史上の英雄の遺児。
 
 藤原純友の遺児、伊賀寿太郎。寿太郎は、将門公の遺児、良門と盟約を結んで大暴れする。
 鼠を使う木曽義仲の遺児、美妙水冠者義高
 明智光秀の遺児・捨若丸。実は石川五右衛門でもある。
 (歌舞伎・「山門」ではもっとすごい設定で、五右衛門の養父は光秀、実父は中国(明)の重臣になっている)
 蜘蛛を使う大友宗麟の娘、若菜姫
 蝶(実は祖母の変化したもの)を使う妖しい女形、藤波由縁之丞。由縁之丞は、世間を騒がせた加賀騒動でみなし児になったとのこと。
 動物を使うと言えば、おなじみ、蝦蟇の妖術を使う児雷也も。
 みんな、はちゃめちゃな妖術を使い、国家転覆などをたくらむ。
 中には、天竺徳兵衛のように、実在したふつうの商人なのに、東南アジアやインドなどに行ったばかりに、悪役怪人にされてしまった人も。

 これら悪役ヒーローが勢ぞろいした明治後期のすごろくなども展示されていた。
 また、歌舞伎や古い映画やTVヒーローものにもたまに出てくるので、これら悪役ヒーローたちが、江戸時代だけではなく、時代を超えて愛され続けてきたことがわかる。

 江戸っ子ならではの、悲劇の英雄豪傑への愛惜の念もあるのだろう。


 絵は、豊国(三代目・上の「日本奇人伝」の挿絵に国芳とともに登場している)の、「豊国揮亳奇術競」シリーズのものが多かった。
 国芳みたいなインパクトには欠けるが、すっきりとしていて親しみやすい。



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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2011年06月24日 16:03
猫で描いた「かつを」いいですね。
野菜で描いたアンチンボルトの絵を思い出しました。
そういえば、日本でもたくさんの人で描いた顔のがありましたね。
素潜りの名人、未来都市まで描いてしまった国芳、驚くことばかりです。
2011年06月26日 02:03
 tonaさん、こんばんは。
 国芳のネコは、愛情にあふれていて、どれもすばらしいです。

> 日本でもたくさんの人で描いた顔

 国芳はお得意だったようで、何枚も描いていますね。
 残念ながら前記展示は今日で終わってしまいますが、7月から始まる後記展示では、それらのたくさんの人で顔を描いた作品等を筆頭に、さまざまなユーモアあふれる作品や、風俗画、洋画の影響を受けた意欲作が展示されます。
 天保の改革によって閉塞感が漂い始めた江戸の人たちを、とにかくとことん楽しませようとしたんでしょうね。
2011年06月26日 09:51
おはようございます。

おぉ、人で描いた人は国芳だったのですね。作者の名前が頭に入っていませんでした。
改めて調べてみますと、国芳の絵は凄いです。
「見かけは怖いがとんだいい人だ」とか「人かたまって人になる」などあったのですね。
「猫飼好五十三疋」も「東海道五十三次」に引っかけていて読み解くのが大変そうですが、面白いですね。
教えていただいて目が開かれました。ありがとうございました。
2011年06月26日 20:36
こんばんは。
「歌川国芳」行きたかったですが、前期、今日で終わってしまいましたね。
後期は何とかして行きたいと考えています。

それにしても「両国夕涼之図」の「高層ビル」は何なんでしょうか。不思議なものですねー。
2011年06月28日 12:42
 tonaさん、こんにちは。
 国芳はこういうのが大好きだったみたいで、他にもいろいろなものを組み合わせて何かの形を作っている絵などを、たくさん書いています。
 tonaさんがご指摘なさったアンチンボルトとの関係など、実に興味深いと思います。
 とにかく洋画好き、おもしろい絵好きの国芳のこと、アンチンボルト自身の絵はともかく、同系列の洋画を見ているかもしれず、
 「おれならもっとおもしろいのを描けるぞ」という感じだったのかもしれませんね。

> 猫飼好五十三疋

 だいたい、ブチが鯖くわえて、ぶちさば・・ふじさわ・・、ですから、ダジャレのセンスは現代の一般のおじさんといい勝負かも。(笑)
 タイトルからして、「みやうかいこうごじゅうさんひき」ですから、元祖おやじギャグ炸裂ですね。
 ネコの絵は、すっごい見事なんですけど。
2011年06月28日 12:54
 kohさん、こんにちは。

 国芳の真骨頂は、やはり大迫力の連続もの浮世絵なので、前期展示もぜひ観ていただきたかったですが、
 後期展示も、上記のようなおやじギャグ満載で絶対おもしろいと思います。ただ、あんまりくだらなくても、ただそれだけの人だったとは思わないであげてください。(笑)
 美人画もたくさん出るはずです。
 

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