昨年聴いたCD・ジャズの王道【復活節前第7日曜日】

 明日の日曜日(2月19)は、復活節前第7日曜日。


 また、この日がやって来ました。
 もう多くは語りません。というか、もうほとんど語ることもありません。
 第2年巻(コラール・カンタータ)の到達点にして、最高峰、BWV127
 膨大なカンタータ群の中で最も美しい、いや、バッハが書いた星の数ほどある作品の中でも最も美しい音楽の一つであろう名アリアを擁する、後期の知る人ぞ知る大傑作、BWV159
 どちらも、長いレントの向こうに見えてきた春の受難週、復活節に遠いまなざしを向けた、あのマタイの「受難コラール」と深くかかわる作品。


 過去記事は、こちら。↓

 ご参照の上、まだ聴いたことが無い方がいらしたら、春が来る前に、どうか必ずお聴きになってみてください。

 バッハのトマスカントル就任時の受験?作品だった、BWV22、23も、気合が入っていて、なかなかです。


 <復活節前第7日曜日>

    お気に入りのアリアその3(BWV159)~夕映えのR.シュトラウス
    最後の旅・真の人にして・・・・ ~五旬節(BWV127、159)その1
    大いなる壁画・コラールカンタータの神髄~五旬節(BWV127、159)その2
    ガーディナーの挑戦・再び~五旬節(BWV127、159)その3
    カンタータの祭典!!マリアの潔めの祝日&五旬節
    雪のエストミヒ
    第3の男、ライプティヒに赴任する~たまには曲目解説(BWV22、23)
    カンタータの名演を視聴してみましょう2 今回は曲目解説付!~BWV159
    ミニミニ受難曲を聴いてみましょう~カンタータ名曲名盤聴き比べ・BWV127



 さて、この後、教会歴は長いレントに入り、受難週・復活節まで(今年の復活節は、ちょうど桜の頃、4月8日。その前の集が受難週)、バッハのいたライプツィヒでは華美音曲禁止期間でした。
 従って、しばらくの間は、カンタータのお知らせもお休み。

 毎年この期間には、集中して、心に残ったCD他の感想などを書くことにしています。
 ご紹介したいCDもかなりたまっていますので、さっそく今日から始めたいと思います。


 
 まずは、昨年末に書いて、すでにアップしたものとばかり思ってそのまま忘れていた、ジャズCDの記事から。



 昨年もっとも印象に残ったどメジャーCD。


 WHAT’S IT ALL ABOUT

    PAT METHENY


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 今さら、何を書くのか、というようなCD。
 曲目も、何で今さらこの曲を、という感じ。
 超有名曲が並ぶ曲目クレジットを見て、
 始めは、メセニー、気軽な気持ちで、よくあるライト・クラシック、ライト・ジャズみたいなアルバムを作ったのか、と思ってしまったくらいだが、
 演奏を聴いてみると、とんでもなかった。
 一言で言うと、まごうことなき渾身のジャズ。 
 メセニーにとって曲目は何でもよくって、どうせなら、小さなころから親しんだなじみ深い曲にしよう、ということだったんだと思う。
 そう思えてしまうくらい、おなじみのバリトン・ギターを始めとするさまざまなギターを用いて、正にやりたい放題、やりたいことをすべてやりつくしている。
 しかも、たった一人で。(ちょっと信じられないくらいだが)オーバーダビング無しの一発録音で。
 もとの曲が、体にしみついているからこその、自由なファンタジーの飛翔、という見方もあるか。
 始めに、歌ありき。  
 そして、演奏し尽くされ、聴き尽くしてきた感のある、言わばいつもすぐ近くにある、誰もが鼻唄で歌えるようなメロディーから、どれほど驚きと感動に満ちた、大きな世界が紡ぎだされていることか!
 いずれにしても、これこそがジャズの神髄。
 そして、この点は、言うまでもなく、バッハの音楽にも直結している。

 夜明け前などに、一人で聴くとしびれます。



 こちらも、廉価盤で出た!

 もう一つのジャズの醍醐味、インタープレイの極地。


 JIM HALL & PAT METHENY


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 昨年末に、「ポップスの王道」と題して、昨年ついにリリースされた、とんでもない大物CDをご紹介しましたが、
 昨年は、ジャズの世界でも、とんでもない大物CDがリリースされました。

 
 これまた、ついに出てしまった、としか言いようがないCD。
 
 「電化」の直前と直後、それぞれマイルスの絶頂期を刻印しているライブ集成。
 どちらも、誰もが正規のCD化を待ち望んでいた録音のリリース。
 わたしなどが今さら何か書くのもはばかられるような2セット。


 まずは、電化前夜。

 ライブ・イン・ヨーロッパ 1967

 
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 ジャズのスタンダードなアコースティックのフォーマットで行きつくところまで行ってしまった、泣く子も黙る黄金クインテットの、ヨーロッパライブ。
 ただでさえヘヴィーな内容な上に、3枚組のボリューム、何とDVD付き。

 アコースティックで演奏できる極限まで、音楽が膨張していることがわかる。
 しかも、同じツアーにおける同じ曲でも、回を重ねるごとに、音楽はどんどん、さらにふくれあがってゆく。
 正に貴重なドキュメント。

 ブートレク・シリーズ Vol.1となってるが、この上何が出てくるというのか。


 そしてこちらが、電化直後。

 その名も、Biches Brew Live (’69 ’70)


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 前半のニューポート・ジャズ・フェスティバルの未発表ライブ音源が、すさまじい。

 ビッチェズ・ブリュー録音の一月前。
 ごごごごーと音をたてて、あのおそるべき混沌世界がこの世に出現しつつある瞬間が、克明に記録されている。

 後半は、有名なワイト島ロック・フェスティバルのDVDと同一の音源。
 前のCDでは、バリバリのジャズを聞かせていたのに、ほんのわずかな間で、当たり前のように、「ロック」・フェスティバルに出ているところが恐ろしい。


 ただ、この2組のCDの間には、ジャズの様式上は、正に歴史的、革命的な変換があったのかもしれないが、そこで奏されている音楽の内容は、ほとんど変わりが無い、というのもすごい。



 ジャズのCD、次回も続きます。



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

ANNA
2012年02月19日 23:59
Noraさん、こんばんは。おひさしぶりです。
こちらに伺うのは一年ぶりぐらいかもしれません。

わたくしごとですが、昨年の震災で故郷、実家が被災し……しばらく音楽を聴くのをお休みしてました。大好きな音楽さえまったく心が動かなかったのでした。

最近になり、すこしずつ音楽が聴けるようになってきて、つい先日のこと
170番のアリアが心の中でなり、大好きなショルの歌唱で聴きました。

なんと穏やかで心やすらぐ調べなのでしょうか…

まだまだ以前のペースで、というようにはいきませんがまたすこしずつ、
カンタータを聴いていきたいなと思います。

それが、私のなかの小さな光になってくれるように思うのです。
2012年02月21日 01:24
 ANNAさん、
 大切な故郷、ご実家が被災され、この1年間、わたしなどには想像もつかないような、つらい日々をお過ごしになったことと思います。
 心よりお見舞い申し上げます。
 そうした中でも、音楽を聴く気持ちが少しずつ戻ってきて、バッハのアリアに心やすらぐ時が持てたとのこと、ほんとうによかったです。
 170番のアリア、ほんとうにやさしく、安らかな音楽ですね。
 ANNAさんが、また普通に音楽を聴いたりできる日が一日も早く来ることを、心から願っています。

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