黄金の輝きは果てしなく続く~今年聴いたCD・ジャズの王道編【待降節】

 今度の日曜日(12月3日)は、待降節第1日曜日。


 12月に入って待降節になり、カンタータの世界も新しい暦を迎えます。

 今後も引き続き、よろしくお願いいたします。

 毎年毎年のくりかえしになってしまいますが、
 カンタータは、バッハがほとんどその全生涯に渡り、暦に従って作曲していった、日常的な「季節の音楽」。
 バッハの膨大なカンタータを少しでも身近なものとして鑑賞する最も良い方法の一つとして、暦に従って聴き進めていく、という方法があります。
 今の季節は、暦に従った鑑賞をスタートさせる良い機会。
 よろしかったら、いっしょにカンタータを聴いていきましょう。


 さて、その暦のはじめの祭日、待降節第1日曜日のカンタータは、

 初期の名作、BWV61
 第2年巻(コラールカンタータ)の名作、BWV62
 後期のこれまた大名作、BWV36
 の3曲。


 過去記事は、こちら。↓


 <待降節第1日曜>

    新しい暦を迎えるにあたってのごあいさつ
    アドヴェント・クランツのともしび(BWV36、61、62)
    たまにはきちんと曲目解説・「いざ来ませ、異邦人の救い主」(BWV62)



  ☆    ☆    ☆



 さて、新しい暦が始まったばかりですが、
 来週からクリスマスまでの間、ライプツィヒにおけるバッハのカンタータは、お休みになります。

 毎年、この期間を利用して、その年に聴いた印象深いCDのご紹介しております。

 今年はジャズやポップスの大御所、御大と言うべきアーティストたちのよいCDをたくさん聴きましたので、今日から何回か、それらのCDを・・・・。



 まずは、

 もはや生きた伝説とも言えるウエイン・ショーターの、現在の姿が刻印されている一枚。


 Without A Net

  ウェイン・ショーター (WAYNE SHORTER QUARTET)

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 1曲目、マイルスの「オービッツ」。
 大地から湧き上がるようなピアノのリズムに導かれ、いきなり、まるで鳥の囀りのごときショーターのソプラノが炸裂、
 その自由な旋律線を装飾するかのようにピアノのパッセージがきらめき、やがて、ピアノは旋律線を離れて、さらに自由に、大きく飛翔、ベース、ドラムにあらたなリズムをもたらす。
 そのループが果て無くくりかえされ、あるいは逆行し、ついには各奏者がそれぞれ自由にぶつかり合い、激しく反応しあい、しかしそれでいて音楽は一つの大きなうねりを維持し、どこまでもどこまでも盛り上がってゆく。

 ああ、これこそがジャズだ。冒頭1曲目から目頭が熱くなった。

 2曲目、  、
 ガラッと変わって、美しいピアノソロ。それに、ごく短いが圧倒的なショーターのソロがからみ、ピアノもそれに敏感に応え、さらに美しく輝く。
 これだけでも極上の名演だが、しかし、これは、それからの怒涛の展開の導入にすぎなかった・・・・。

 以下、全9曲。
 全編、ジャズの魅力がぎっしりとつまっている。

 
 カルテット結成10年目、2011年末のヨーロッパ・ツアーのライブにして、約半世紀ぶりのブルーノート復帰作だそう。

 上記2曲、第4曲目のウェザー・リポート時代の名曲、「プラザ・リアル」、などなど、聴きどころ満載だが、

 やはり、第5曲、ウインド・アンサンブル(クインテット)のイマニ・ウィンズをメンバーに加えた、「ペガサス」が、圧巻。
 全23分、呼吸するのも忘れてしまうすさまじい完成度。  
 

 ジャズ雑誌のインタビューで、10年でついにここまで到達したということですね、というようなことを聞かれ、
 到達点がようやく見えてきて、これからそれに向けてスタートするというところだよ、と答えるショーター。



 live at BIRDLAND

  ジム・ホール(The Jim Hall Quartet)

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 ここにも、ジャズの王道が、確かに、しかも力強く息づいていることが、刻印されている。
 タイトルからして王道。うれしくなる。
 圧巻。ただただ脱帽。
 ジャズのギターアルバムとしては、以前書いたメセニーの Unity Bandなどとともに、長く聴き伝えてゆくべき現代の名盤だと思う。
 メロディの美しさのメセニーに対し、リズムの繊細さが特徴的。そして、どちらも、即興のファンタジーは、これまでのどのジャズ・ジャイアンツと比べても、決して負けてはいない。

 

 今年でショーター80才、ジム・ホール83才、
 この人たち、いったいなんなんでしょう。
 今も健在、なんて生やさしいものでなく、今が一番すごい気がする。

 かつてのジャズのきら星のごとき巨人たちはみんな早逝したけど、もし生きてたら、と思うと・・・・、
 いや、長生きしても、常に前進を続ける志とエネルギーを持った人でないと、ダメなんだろうな。



 おしまいに、正に伝説の時代の発掘CDを一枚付け加えておきます。

 マイルスの「第3期クインテット」なので、当然、現在とはちがう意味でバリバリだったショーターも参加しているのすが、考えてみれば、これはたいへんなことだ。
 30年以上も前の伝説の中に生きていた人が、現在もまだ元気で、新たな「伝説」を作り続けているんだから。


 Quintet : Live In Europe 1969 ~The Bootieg Series Vol.2

  マイルス


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 ブートレグ・シリーズのVol.1がリリースされた時、「Vol.1となっているがこの上何が出るというんだろう」、というようなことを書いたが、さらにすごいのが出てしまった。


 Vol.1は、アコースティック・マイルス、黄金の第2期クインテットが最後にたどりついた姿を記録したものだったが、
 今回のVol.2は、それからさらに2年が経過し、それこそ「ビッチェズ・ブリュー」録音の直前、
 ショーター以外のメンバーをすべて入れ替えた、いわゆる”LOST BAND”と呼ばれる第3期クインテットがバリバリに活動している姿を記録したもの。
 このメンバーによるスタジオ録音はまったく無いので、その意味からも貴重だが、
 この時点で、マイルスは公のスタジオ録音ではすっかり電化しているし、この直後、ショーターはウェザー・リポートの活動を開始、その他の(この当時の)若者たちも、それぞれの道を歩み始め、その後のジャズの中核を担ってゆく・・・・、
 そのような時期に、このメンバーが、このフォーマットで、ラウンド・ミッドナイトなどのスタンダード中のスタンダードを演奏しているということ自体が感動的であり、その圧倒的な演奏を聴くと、もっと感動的。

 ここには、ジャズのいきついた究極の姿が記録されていると思う。


 おまけのベルリンのライブを収録したDVDが、CGを使ってるんじゃないか、と思えるほど美しい。


 マイルスの発掘もの、その後も次々とすごそうなのがリリースされているが、ちょっと手が回らないので、しばしお休み。



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