八月の博物館~夏のトーハクアルバム

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 8月23日(土)


 月例講演会

 夏休みの宿題 -わたしの仏像自由研究-

  飯島可琳さん(生駒市子ども学芸員第1号)&浅見龍介

  @ 東京国立博物館 平成館大講堂
  

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 以前ご紹介した、トーハクの夏休み展示、「親と子のギャラリー 仏像のみかた 鎌倉時代編」(トーハク 本館11室&本館14室、すでに終了)との関連企画。

 生駒市子ども学芸員第1号の飯島可琳さんは、現在小学5年生。
 奈良という恵まれた環境の中で、日本を代表する多くの仏像に囲まれて育った可琳さんは、小学1年生の時に仏像のすばらしさに開眼。それ以来、さまざまな素朴な疑問をきちっと調べ、その基礎を踏まえた上で、可琳さんなりの感性で自分の大好きな仏像の魅力を伝える新聞、「仏女新聞」を発行し続けています。

 今回の講演会は、可琳さんが夏休みの宿題風にまとめた「わたしの仏像自由研究」というスライドショーをもとに、可琳さん自身が、仏像に関する基本的なことから、おすすめの仏像、自分なりの仏像の見方、考えまでを発表、もとトーハク研究員(現在京博に移動)の浅見さんが若干の補足説明を加えるというもの。

 聴いていた皆さんは、堂々とした発表ぶり、仏像を観るうえでの基本的なことが要領よくまとめられていることに驚嘆していたようだが、内容的な面で、今回の発表にも、しっかりとした基本の上に立ったユニークな視点が多く見られ、終了後は、すっかり見慣れた仏像のはずなのに、改めて見直さねば、と思わず仏像の展示に走ってしまった。(そういう方も多かったみたい) 
 

▽ 四天王眷属の足。靴がやぶれ、足がはみ出てしまっている。

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 この足のことはよく知られているが、可琳さんの新聞には、「四天王は、眷属たちの様子を見てクスッと笑ったりすることもあるんでしょうか」という感想が書かれていた。
 我々には常に憤怒の表情しか見せることのないる四天王様。
 そして、靴から指がはみ出ても文句を言わずに明るく働き続ける、ひょっとこ顔の眷属。
 彼らは常にいっしょにいるわけで、確かに、普段このユーモラスな眷属に接している時には、さすがの四天王様も楽しそうに笑ったりしているのかも?
 そういう新鮮な感性で仏像を観ると、またちがった情景が見えてくる。


 会場には多くの方がいらしていたが、親子連れも含め、子どもの姿はほとんど無かったのがほんとうに残念。
 せっかくの企画なのに、何かもっと広く子どもたちも集まるような宣伝方法は無かったものか。

 また、仏像展示コーナーに、可琳さんの新聞を置いておいてほしかった。配布ができないのであれば、せめてパネル等にできなかったのだろうか。
 新聞を読みながら展示を観れば、展示してある仏像に対する興味、観るポイントが絶対に変わってきて、今回の展示の主旨が何倍も生かされたような気がする。
 子どもはもちろんのこと、大人にとっても、より感銘が深まったことだろう。


 詳細記事、こちら



 以下、その他の展示。



 特集 春日権現験記絵摸本Ⅰ -美しき春日野の風景-

  @ 東京国立博物館本館特別2室 ~8月31日(日)まで


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 春日権現験記絵

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 原本は、鎌倉時代後期、左大臣・西園寺公衡の発願で、宮廷絵所預・高階隆兼によって描かれた、大和絵絵巻の最高峰の一つ。(現在、三の丸尚蔵館所蔵)

 今回展示されていたのは、トーハク所蔵の、江戸時代後期に紀州藩主・徳川治宝(はるとみ)の命による模写。
 おなじみ冷泉為恭(れいぜいためちか)をはじめとする錚々たる復古やまと絵師たちによる、渾身の復元模写。全体的に、筆致に緊張感みたいなものがにじみ出ているような気もするが、原本と同じく絹に豪華な絵の具を使い、技巧の限りを尽くして、原本の優雅で透き通った美しさにあふれた世界を再現している。
 数百年の時を超えて鎌倉時代に引き継がれた平安の精神が、さらに数百年後の江戸時代に見事に蘇り、現代に伝わっている!

 そしてさらに驚くべきことは、その風景が、絵の雅さ、清々しさそのままに、奈良の春日大社に残されていること。
 先日、春日大社に参拝したばかり、記事もアップし終えたばかりなので、実にタイムリーで感銘深い展示でした。
 
 春日権現験記絵、春日大社に参拝したことのある方、これから参拝しようという方は、必見です。今回の展示は終了してしまいましたが、タイトルに「Ⅰ」となっているので、続きもある模様。機会があったら、ぜひ。


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 詳細記事、こちら



 古文書の世界 頼朝の命令文書ほか

  @ 本館15室 ~8月31日(日)まで


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 息子・義詮にあてた足利尊氏の妙に丁寧な真筆の手紙や、俵屋宗達の真筆など、興味深い物ばかりだったが、ここはやはり、頼朝関係を。

 こちらも先日、長野善光寺に頼朝の足跡を訪ねたばかりだったので、タイムリー。

 頼朝の書状は約30通ほど知られているそうだが、これはその中でも、頼朝の対朝廷関係の考えが伺える最も重要なものとのこと。
 頼朝の書状はそのほとんどが自筆ではなく、これも右筆書だが、さすがに重厚な雰囲気。

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 左、土佐の香宗我部氏による、頼朝の袖判下文。
 右、初代政所別当・大江広元が右筆として執筆した手紙。

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 特集 蘇った飛鳥・奈良 染織の美 -初公開の法隆寺裂-

  @ 法隆寺宝物館第6室 ~9月15日(月・祝)まで


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 24、25年度の修理完成作品から。


 淡茶地白虎文描絵綾天蓋垂飾。
 美しい白虎の絵は、絹に描かれたものとしては、日本最古級の貴重な作品。

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 左の天寿国繍帳断片は、聖徳太子薨去に伴い、妃の橘大郎女の発願で作られたもの。

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 東京国立博物館・台東区立書道博物館 連携企画

 趙之謙の書画と北魏の書 -悲盦没後130年-

  @ 東洋館 8室 ~ 9月2828日(日)まで


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 その他の展示作品。



 おもしろいお江戸職人図絵をまた発見!

 いずれ詳細記事を書く予定。

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 夏のお色気系、再び。


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 カニと蛤

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 牛

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 おしまいに、またまた蕭白の、ちょっとすごい屏風を。


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 まずは右隻。

 大胆に余白の中での植物の表現が清々しい。梅の花なども、実にかわいらしい。
 
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 しかし、木の根元にはこの方が。

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 左隻。

 こちらも見事な植物の描写。生命力と静けさを兼ね備えた圧巻の超絶技法水墨画。

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 しかし、正面に回り込むと、植物の間に妙なものが。

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 さらに視線を左に移すとこの方が。

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 いた、というより、でた。

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 いったいどこに飾っていたのか。





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