♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 身近なシベリウス!インキネン。日本フィル杉並公会堂シリーズ〜シベリウス巡礼2【三位一体節後25】

<<   作成日時 : 2015/11/19 12:51   >>

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 今度の日曜日(11月22日、三位一体節後第25日曜日)のカンタータは、


 第1年巻のBWV90

 第2年巻(コラールカンタータ)のBWV116

 の2曲。


 コラール・カンタータの名曲、BWV116には、3重唱アリアが登場。
 バッハのアリアでデュエットは多々ありますが、3重唱というのはあまり記憶にありません。
 もっとも3重唱と言っても、決して華やかなものではなく、bcのみの伴奏による、しっとり、しみじみとしたアリア。

 この3重奏を聴くと、少し早いですが、今年もそろそろ終わりか、という気分になってきます。
 実際、今年は、この日、三位一体節後第25日で、教会歴も一区切り。
 今の季節にぴったりの心に染み入るようなこの名作アリアで、1年のカンタータ鑑賞をしめくくりましょう。

 来週からまた、クリスマス、新年に向けて新しい暦が始まりますので、よろしくお願いいたします。


 過去記事はこちら↓


 <三位一体節後第25日曜>

    お気に入りのアリア6・暦の終わりに 心に染みる3重唱(BWV116)



 先週せっかく、BCJのBWV26を聴いたので、同じコラールカンタータのCD(第28巻)に収められているBWV116も聴いてみましょう。
 穏やかなコンチェルト風の冒頭大合唱(佇まいは穏やかでも対位法的にはとても目がつんでいる)、孤独さが身にしみる嬰ヘ短調のアルトアリア、そして最大の聴きどころの3重唱、
 BCJの真摯極まりない演奏で聴くと、「バッハの最後のカンタータ」と勘違いしてもあながち検討ハズレとは言えないようなただごとの無さを感じる。
 一応、教会歴における「大晦日」の音楽、ということでは特別と言えるし。

 なお、音楽については、上記記事に詳しく書いてあります。


 また、このCDには、2週前のBWV139も収録されていますので、こちらも一緒に聴いてみましょう。
 たおやかな雰囲気の中にも凛とした気配の漂う冒頭大合唱からしてBCJの独壇場。
 VnやOb等のオブリガート楽器の技巧的なパッセージが炸裂する長調、短調両方のアリアのソロ楽器もとびっきり鮮烈!
 それにしても、この曲、何ていい曲なんだ!



  ☆    ☆    ☆



 シベリウス生誕150年、この秋(〜冬)、さまざまなシベリウス関連の企画をふまえ、わたしが勝手に実施しているシベリウス巡礼、前回に続いて第2回目。
 今回は、ちょっと寄り道して、交響曲ではなく、管弦楽曲。
 ずっと生で聴いてみたかったフィンランド出身のシベリウスを得意とする指揮者が、近場のホールでコンサート。十八番のシベリウスの、ちょっとめずらしい管弦楽曲もプログラムにあがっていたので行ってまいりました。
 プログラムには、バッハもあったし。



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 11月13日(金)


 日本フィル 杉並公会堂シリーズ 2015−16 第4回

 シベリウス 組曲「歴史的情景」第2番 作品66

 バッハ 2つのヴァイオリンのための協奏曲 BWV1043

 チャイコフスキー 交響曲第5番


  ピエタリ・インキネン(指揮&Vn)、扇谷泰朋(Vn)、日本フィルハーモニー交響楽団


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 かつてニュージーランドSOとの異色のコンビで、とびっきり魅力的なシベリウス全集をリリースした(記事、こちら)フィンランド人指揮者、インキネンさん。

 ここ数年は、日本フィルの首席客演指揮者としての活躍によって日本でもおなじみ。一度聴きに行かねば、と思っていたところ、ちょうど良いコンサートがあった。
 インキネンさんは、日本フィルとのコンビで2013年に一足早くシベリウス交響曲全曲チクルスを実現して、すでに全集CDもリリースしているので、今回は交響曲は聴けなかったけれど、かわりに、これまで聴いたことの無い、珍しいシベリウスの管絃楽曲を聴くことができた。



 プログラムの第1曲目が、一番のお目当て、シベリウスの曲。

 組曲「歴史的情景」第2番

 有名な「フィンランディア」の原曲を含む「愛国記念劇」から編纂された(すなわちフィンランディアの兄弟作)歴史的情景第1番という曲は何かで聴いたことがあったが、この第2番の方は、CD、実演通じてこれまで一度も聴いたことがなかった。

 第1番が歴史的背景の濃厚な祝祭的な音楽なのに対して、第2番は、「狩り」、「愛の歌」、「跳ね橋にて」という各曲の表題からもわかるように、もっと身近でのどかな自然の情景が思い浮かぶような楽想。
 つまり第1番がフィンランディアの延長なのに対して、第2番は本来のシベリウスならではの魅力にあふれている。

 絶対音楽である交響曲においては、いわゆる「シベリウスらしい響き」は必ずしも必要ないのでは、ということをこれまで書き続けてきたが、
 標題音楽の場合に関しては、「シベリウスらしい響き」はものすごい武器になる。
 
 インキネン&日本フィル黄金コンビの響きは、はじめの一音からしてひんやりと澄みわたり、「シベリウスらしさ」満点。
 交響曲の冒頭さながらの開始部からシベリウスならではの疾走感満点の音楽が展開する「狩りの歌」、夢見るように美しい「愛の歌」、極上のスケルツォを思わせる「跳ね橋にて」(いったい何を表現しているのかはよくわからなかったが)まで、シベリウスの世界を満喫することができた。
 しかも、初めて出会う曲。
 これもシベリウスイヤーならではの貴重な体験。


 2曲目は、打って変わってバッハの名曲。2つのヴァイオリンのための協奏曲

 前の曲が、シベリウスにしては珍しい薄めのオーケストレーションで、実に風通しがよかったので、バッハが始まったとたん、音楽のあまりの密度の濃さに驚かされる。しかもその濃密な音楽空間は、決して凝縮しているわけではなく、ホール全体を満たすほどに広がっているのだ。
 オケの数はずっと少なくなっているにもかかわらず、である。

 バッハのすごさを改めて目の当たりにした思い。今さらながら。
 
 ここで、ヴァイオリンを弾いたのは、何とインキネンさん。
 (もう一つのヴァイオリンは、コンサートマスターの扇谷泰朋さん)
 インキネンさんの初来日はヴァイオリニストとしてだったそうだが、(ヘンゲルブロックと同じだ)お客さんの前でヴァイオリンを披露するのはほんとうに久しぶりとのこと。

 インキネンさんのヴァイオリン、さわやかな風のような音色、もう一人の扇谷さんの方は、どっしりと大地に根をはった巨樹を思わせるような大きく温かい音色。
 こんなに音色のちがう「2つのヴァイオリン」は聴いたことが無く、実におもしろかった。

 インキネンさん、ずっと客席の方を向いてヴァイオリンを弾いていたので、指揮ということではほとんど具体的な指示はしていなかったが、ここでのオケの音色は、当然のことながらシベリウスとはまったく異なっていた。バッハにふさわしい明朗で美しい響き。

 モダン楽器のロマンチック・バッハ、やはり、いいなあ。 


 休憩の後、メインのチャイコフスキー 交響曲5番

 美しいメロディはどこまでも陶然と歌い、クライマックスはどこまでも力強く、そしてエンディングはまぶしいほどに輝かしく・・・・、
 実演はもちろん、CDもそれほど聴いたことが無い曲だが、これだけの演奏が聴ければ、わたしはもう他には何もいらない。
 そう思えるくらいの、全体を見渡す叡智と情熱を兼ね備えた名演だった。
 インキネンさんも、この曲をよほど得意としているのだろう。
 「わたしは何度もこの曲を演奏してきた。このオーケストラも何度もこの曲を演奏してきたことでしょう。そんなわたしとこのオーケストラが、今夜この曲を演奏する。これは特別なことで、ほんとうに楽しみです」
 そんな内容のことをインキネンさんはおっしゃった。同じようなことを言って、「だから練習する必要ないね」と言った大指揮者の逸話が有名だが、インキネンさんの言葉の方がわたしははるかに共感できる。

 オケもインキネンさんの思いに100パーセント応え、真っ赤に燃えさかるような音。もちろん、バッハとも、増してやシベリウスともちがう。
 わたしは、P席という、オーケストラのすぐ後ろ、インキネンさんの顔が正面に見える席だったのだが、そのせいかもしれないが、良い意味で?「加減を知らないオーケストラ」といった感じ。フォルテッシモになると、下から突き上げてくるような轟音に全身を包まれた。

 まあ、わたしにとってはめったに聴く機会の無い曲なので、貴重な経験だった。



 以上、インキネンさんのこだわりの結果と思われるあまり耳になじみの無いシベリウスの曲をやって、その後は、とびっきりロマンチックなメロディが氾濫する超名曲2曲、というプログラム。
 しかも、インキネンさん自身ヴァイオリンまで弾くサービスぶり。

 客席には、年配の客が多かったようだったが、みんな大喜び。
 とても良い雰囲気のコンサートだった。



 そして、その中で、わたしが最も感動したのは、このようなコンサートの場合、たいていそうなることが多いが、
 アンコールだった。

 すばらしかったアンコール。

 アンダンテフェスティーヴォ

 シベリウスのコンサートのアンコールで奏されることが多いので、これまで何度も聴いてきて、どれも心に残る名演ばかりだったが、これはその中でも特別と言ってよいものだった。

 文字通り、アンダンテの、遅すぎない柔らかなテンポ、
 それこそ透明な、深呼吸したくなるような音色。
 まるでフィンランドの森の、夜明けの風に包まれているかのようだった。
 何物にも代えがたい大自然の「祝祭」。

 これを聴けただけでもこのコンサートに行った価値があった。

 
 このアンコール、そして、はじめの組曲などを聴いて、つくづく思ったこと。

 上述のように、同じオケなのに、チャイコフスキーとシベリウスでは、音色がまったく異なり、空気感までもがまったくちがっていた。
 チャイコフスキーでは野性的と言ってもいいくらいの豪快さを迸らせていたオケが、シベリウスでは大気の微かな振動までが感じられるような繊細な響きを聴かせてくれる。

 「シベリウスらしさ」ということがよく言われ、真のシベリウスの音は本場のオケでないとなかなか難しい、と信じておられる方も多いと思うが、楽譜通りに心を込めて、きちんとした音を出しさえすれば、日本のオケでも十分「シベリウスの音」を響きわたらせることは可能なのだ、と改めて確信した。
 何よりもシベリウス本人が、そのように作曲をしているのだ。天才作曲家の力を侮ってはいけない。

 増してや日本フィルは、あの渡邊暁生さんが育てたオケ。
 渡邊さんがシベリウスの神髄を聴かせてくれてから長い年月がたったが、来年、その日本フィルの首席指揮者に、渡邊さんをリスペクトしてやまないフィンランド人指揮者、インキネンさんが就任する。

 今後はものすごく身近に、「本場のシベリウス」が聴けることになる。
 こんなに楽しみなことはない。
 お祭り状態のシベリウスイヤーが終わっても、お楽しみは続くのだ。



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 杉並公会堂

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 ロビーが充実。広い喫茶コーナーもある。

 出演するアーティストの過去のライブ映像も観られる。

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 サイン会

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 サインをいただいたのは、このCD。

 気鋭のフィンランド人指揮者インキネンさんと、シベリウスの伝統が脈々と息づく日本フィルとのかけがえの無い共演盤。

 シベリウス 交響曲全集

 首席就任目前のこのシベリウスイヤーに、満を持してリリースされた!

 最後の2曲、6番7番は、切れ目なく続けて奏されており(コンサートで拍手無しでそのまま演奏されたものをそのまま収録)、このあたりにもこのコンビのシベリウスに対する深い思い入れが感じられる。
 まず6番において、冒頭ではまだ柔らかなやさしささ等が感じられる音楽の純度、緊張感が、演奏が進むにつれどんどん研ぎ澄まされていき、エンディングでピークを迎える。そしてその状態のまま、7番に突入。全曲にわたってスキの無い音楽空間が維持され、その分、最後の和音に心が満たされることになる。
 このような演奏を聴かされると、フィンランドのオケの音色でないと、などと言っていたのが、他ならぬシベリウスに対してとても失礼なことだったような気さえしてくる。 

 全部聴いたわけではないが、いずれにしても、今後のこのコンビの活躍がほんとうに楽しみになるような全集だと思う。 

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 おまけでもらったチケットホルダー。

 このポーズばっかり。

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 荻窪と言えば、らーめん

 昭和な商店街。

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 丸福の中華そば。
 本店は無くなってしまったが、あの味はここで確かに息づいている。
 わたしは本店がある頃からこちらの店の方が好きだったので、問題無し。

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 先ほどの商店街を裏側から見る。

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