世界選手権終了!浅田真央選手共演ピアニスト・ブニアティシヴィリの「森の中のコンサート」【復活節後1】

 フィギュアスケート世界選手権。
 浅田真央選手、心技体が見事に一つになった、情感あふれるすばらしい「蝶々夫人」でした。
 芸術的には(そしてその芸術を表現するためのスケーティング技術ということに関しても)もはや完全に別次元に到達してしまっているのではないでしょうか。これを誰が採点できるというのでしょう。ただ確実なのは、その演技を心の目で観た者すべての胸に圧倒的な感動が残され、それが世界中に静かに広がってゆきつつあるということだけ。
 そんな孤高の戦いを、今彼女は続けている。
 浅田真央選手、1年間、すばらしい演技を見せてくれてほんとうにありがとう!


 さて、厳しい戦いはひとまず終わり、これからは楽しいショーの季節です。
 痛めているという左ひざの状態が心配ではありますが、無理をせず試合とはまた違った面を魅せてくれるのを楽しみにしています。

 今年はじめ、盛岡で行われたNHK杯フィギュア・スペシャルエキシビションにおける、浅田真央さん&東北の子供たちによる渾身のプログラム、「ジュピター」を観て、生演奏によるフィギュアスケートのすごさを思い知りました。
 演技だけではなく、演奏も一発勝負。音楽(この時はリベラ)もスケートの演技も、高い次元の緊張感の中で何倍にもグレードアップし、それらが完全に渾然一体となって胸に迫ってくる。
 そう言えば、一昨年のクリスマスのクリス・ハートさんの生歌とのコラボも、別な意味でめちゃくちゃ楽しかった。

 今後も、このような機会があったらいいな、と思っていたところ、
 2月の浅田真央さん情報のページにも追記した通り、浅田真央さんが来る4月22日にスイスのジュネーブで開催されるアイスショー、アイス・レジェンドに出演することが決定し、何とこのショーでは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのジョージア(グルジア)の人気ピアニスト、カティア・ブニアティシヴィリの生演奏もあることがわかりました。
 このショーには、コストナーも出演!
 (公式ツイッター、こちら

 クラシック等の生演奏とのコラボのアイスショーはけっこうあるとは思いますが、このような世界的に活躍する本格的ピアニストが、アイスショーの生演奏をするというのは、あまり無いのでは??
 さすが自由人、ブニアティシヴィリ。彼女の奔放な演奏で果たしてスケーターたちは無事滑ることができるのか??という心配が無くもないですが、彼女と一流スケーターの個性の激突を目の当たりにする楽しみの方がはるかに大きい気がします。
 天才同志の超絶演技がうまく作用した時の効果には、もしかしたら計り知れないものがある?

 と、いうわけで、これは是が非でもこの目で、耳で体験したいところですが、
 スイス・・・・、無理だな。

 映像等の形でもいいから、何とか観てみたいものです。


 ※4/15追記

 アイス・レジェンド2016がテレビ放映されることがわかりました。

 4/24(日) 19:00-20:50 NHK・BS1


 ※4/20追記

 アイス・レジェンド2016のプログラムが発表されました。
 詳細は記事下方にあります。↓

        


 ところで、カティア・ブニアティシヴィリには、

 「森のコンサート」

 というすばらしい映像作品があります。

 2013年7月にドイツ・ブランデンブルク州のザクロヴァー・ヴァルトというところで収録され、
 2014年の8月にNHKBSのプレミアムシアター第2部で放送されたものです。


 当然感想を書いているものと思って過去記事を調べてみましたが、見つかりません。バッハのカンタータも登場するので、当然書いていてしかるべきなのですが、どうやら書いていないみたい。

 そこでこの機会に、観ることのできない夢のアイスショーを想像しつつ、かんたんに感想を書いておくことにします。



 ブニアティシヴィリの「森の中のコンサート」

  ピアノ、カティア・ブニアティシヴィリ、グヴァンツァ・ブニアティシヴィリ

  @ ドイツ・ブランデンブルク州ザクロヴァー・ヴァルト(森) 


 コンサートの様子。

 深い森の中、少し開けたパティオのようなところ。
 木々の間から、穏やかな木漏れ日が差し込んでいる。(陽の光は次第に傾いてゆき、演奏会の終盤には夕陽に変わる)
 その中央に無造作にピアノが置かれている。周囲には土や草の上に直接椅子が並べられ、聴衆が座っている。
 すると、どこからともなくブニアテシヴィリが現れ、淡々とピアノを弾き始める。

 絵に描いたような「森の音楽会」。
 思わず賢治の童話を思い出す。聴衆がリスや鹿でもまったくおかしくない。
 いったいどういう企画なんだ??と思わず突っ込みをいれたくなる。
 森の中だというのに衣装は肌の露出がやたら大きいので、体中を蚊かに刺されまくるんじゃないか?と真剣に心配になってしまう。

 (ピアノのすぐ近くにマイクもセットされていたが、演奏が実際にこの時に収録されたものかどうかは不明)


 と、いうわけで、とにかく尋常ではないシチュエーションなのだが、

 音楽が流れだした途端、「耳」が釘付けになる。
 バッハのカンタータ。BWV208「狩りのカンタータ」の有名な野の女神のアリア「羊は安らかに羊をはみ」。

 木漏れ日が揺らぎ、木々がそよぐ中を、若き日のバッハの清新な音楽が静かに流れてゆく。
 ゆっくりとした足取りの静謐極まりない演奏。
 原曲ではリコーダーがオブリガートはどこまでも穏やかで美しく、コラール風のソプラノの歌はどこまでも真摯に。まるで、異なる奏者が演奏しているように、からみあってゆく。

 この冒頭の音楽を聴いただけで、この人はただ者じゃないな、と確信した。 


 全体としては、バッハで始まり、ヘンデルで終わるプログラム。
 その間に、「母の思い出」をテーマに挟み込まれたあらゆるジャンルの音楽。
 考え抜かれたプログラムの完全なコンセプトライブ。


 以下、プログラムをのせておきます。

1.世俗カンタータ「狩りだけが私の喜び」BWV208~第9曲アリア「羊は安らかに草をはみ」(バッハ)
2.四季 作品37b~10月 秋の歌(チャイコフスキー)
3.スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31(ショパン)
4.ベルガマスク組曲~第3曲「月の光」(ドビュッシー)
5.「アーモンドの花咲くとき」(ラナ・ゴゴベリーゼ監督)の映画音楽(ギヤ・カンチェリ)
6.間奏曲 変ロ短調 作品117-2(ブラームス)
7.ラ・ヴァルス(ラヴェル)
8.練習曲 嬰ハ短調 作品2-1(スクリャービン)
9.練習曲 嬰ハ短調 作品25-7(ショパン)
10.スラブ舞曲 ホ短調 作品72-2(ドボルザーク)
11.ハンガリー舞曲 第1番 ト短調(ブラームス)
12.ペトルーシュカからの3楽章(ストラヴィンスキー)
    ・ロシアの踊り
    ・ペトルーシカの部屋
    ・謝肉祭の日
13.あなたは私を愛していないの?(グルジア民謡、カティア・ブニアティシヴィリ編曲)
14.ハープシコード組曲第2巻HWV434~第4曲メヌエット(ヘンデル、ウィルヘルム・ケンプ編曲)
 <アンコール>
15.リベルタンゴ(ピアソラ)


 カティアの最新アルバム「カレードスコープ」(「展覧会の絵」とラ・ヴァルス、ペトリューシュカからの3楽章収録)と、その前のアルバム「マザーランド」(タイトル通り母をテーマにした小品集)という二つのアルバムを混ぜたような構成。

 レパートリーの広さと、それぞれを完全に自分自身の音楽にしている完成度の高さに、何よりも驚かされてしまった。
 数曲の連弾曲もふくまれるが、時折、姉のグヴァンツァ・ブニアティシヴィリがどこからともなく現れ、仲良く演奏する。


 内省的な音楽とハデでキャッチーな音楽とのすさまじい格差。

 静かな音楽。何でもないようでいて、ありったけの気持ちが込められている。
 顔芸がちょっとすさまじいが、これはかなり演技的。常に余裕をもって演奏に向かっており、演奏する姿勢はすばらしい。どうでもいいことのようだが、これは良い音楽家の条件。

 キャッチーな音楽では、キャッチーさの炸裂がハンパじゃない。
 どんなに音楽が激しくても、決してぶれない体幹、両手のしなやかな躍動、
 最後には山下洋輔ばりのまさかの肘打ちまで登場!

 様々な顔を持ったアーティストだと感じた。ただ、常に音楽への真摯な姿勢と音楽をする楽しみに貫かれている。
 この先、どの方向へ進んでゆくのか、ほんとうに楽しみなピアニストだと思った。



 ブニアティシヴィリの関連CD。

 いずれも、きちっとしたコンセプトアルバム。



 KaLEido Scope カレイドスコープ

  ムソルグスキー 展覧会の絵

  ラヴェル ラ・ヴァルス

  ストラヴィンスキー ペトリューシカからの3楽章


画像



 最新アルバム。
 華麗な大編成オーケストラ・ヴァージョンで知られる3曲のスタンダード名曲を並べた構成。
 極彩色にきらめくこれらの曲の魅力を、ピアノ一台でどこまで表現できるか挑戦、ということで、「カレイドスコープ」というタイトルも付けられたのだろう。

 「森の中のコンサート」でも演奏されている「ラ・ヴァルス」、「ペトリューシカからの3楽章」は、映像の興奮を彷彿とさせるような爆演。楽しさ満点な上に、もともと曲が持っている良いところが増幅し、ペトリューシカなど何て言い曲なんだろうと思う。
 しかし、このアルバムの最大の聴きものは、「森コン」では演奏されてはいないが、「展覧会の絵」だと思う。
 ここではヴィルトゥオーソ的な方向に突っ走ることなく、一音一音心をこめて大切に、ムソルグスキーの世界をじっくりと描きつくしている。
 スラブの魂の共感、ということだろうか。



 Motherland マザーランド~ピアノ少品集


 バッハのカンタータ楽章が入っているので購入せねば、と思うのだが、ほとんど「森コン」と曲目がかぶっているので、迷っている。

 (ジャケット写真はHMVのHPより)

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 さて、以上、ブニアティシヴィリの「森の中のコンサート」を中心にご紹介してきましたが、
 ここで演奏されているショパン、ドビュッシー、ピアソラなどは、ブニアティシヴィリの十八番の曲目とのことで、何とすべてフィギュアにもぴったり。

 ショパンで浅田真央さんが、ピアソラで高橋大輔さんが踊ったら、と、想像も膨らみます。
 どちらも豊かなファンタジーときらめきにあふれた演奏なので、もしそんなことになったらたいへんなことになるのでは。
 このピアニスト、テンポ等は自由の極みなので、踊るのほんとうに難しそうだが、やはり心配よりも楽しみの方が大きい。


 こうして書いていると、ますますショーが観たくなってきた・・・・。


 ※4/20追記

 4/22にスイス・ジュネーヴで開催される「アイス・レジェンド2016」(4/24夜にNHKBS1で放映)のプログラムが発表されました。
 ブニアティシヴィリとのコラボは、真央さん、コストナー、ランビエールの3人が中心となったスト-リー仕立てのプログラム。
 ショパン「バラード1」、ドビュッシー「月の光」、ラベル「ラ・ヴァルス」が演奏される模様。
 いずれも記事にも書いたブニアティシヴィリの十八番ばかり。これは楽しみだ!

 たぶん真央さんはバラード部分で登場?以前演じていたタラソワ振付のものとは別?
 他に、真央さんは個人プログラムで「蝶々夫人」を披露。
 なお、他のスケーターの演目に、「踊るリッツの夜」「アイ・ガット・リズム」「仮面舞踏会」「Sing,Sing,Sing」もあり。

 高橋大輔さんの個人プログラムは、「ラクリモーサ」、「マンボ」(トリ)の2プロ。さらにそれに続くフィナーレが熱帯Jazz楽団の「マンボ・メドレー」らしい。
 ブニアティシヴィリとのコラボプログラムにも登場の可能性あり。


 ※4/24追記

 アイス・レジェントが無事閉幕!
 公式フェイスブックに写真が掲載されています。

 バラ1は基本的にタラソワ振り付けのものでしたが、全曲演奏のため、他のスケーターたちが滑る演出を追加、真央さんは休んだり滑ったり、他のスケーターたちの間を縫って滑ったりと、変則的なものでした。
ピアノのテンポもさすがは?ブニアティシヴィリ、緩急自在!合わせて滑るのは大変だったと思いますが、真央さんは音楽の呼吸をつかんで素晴らしいステップ等を見せ、とても美しかったです!


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 浅田真央さんには、これからも様々なトップアーティストとコラボを続けていってほしい。

 ↓CDショップに、こういうコーナーがもっと増えるといいな。
 


▽ HMVのリベラのCDのコーナー

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 ついでに。

 また出た!

 スタバラ、今度はコーラサワー味だ。

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 最後になってしまいましたが、カンタータのお知らせ。


 今日(4月3日)は復活節後第1日曜日。
 カンタータは、今週までは下記の一覧表でご確認ください。

 復活節の雰囲気を色濃く引き継ぐ春の名作カンタータが並んでいます。
 折しも東京では桜の満開が宣言され、街は華やいだ色彩と柔らかな空気であふれています。これらの曲に耳を傾けながら、春の一時を過ごしましょう。


 過去記事↓

 <復活節後第1日曜>

    「教会」コンチェルト・バッハの最高の協奏曲は・・・・?(BWV42ほか)
    桜・さくら・サクラPart 2~江戸絵画でバーチャルお花見+BWV67簡単解説





そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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